第2回「暮らしの映像は、目利きの記録」

2017.2.1
映像の持つ力

はまどまシアター2017年 新春上映会は2月26日(日)。皆さまからのリクエストにお応えして『越後奥三面−山に生かされた日々−』(1984年・民族文化映像研究所制作)を上映します。上映会の詳細はこちらをご覧ください。

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山にとりつき、山の恵みを受けた暮らし

「奥三面」これは、「おくみおもて」と呼びます。新潟県岩船郡朝日村奥三面。新潟県の北部、朝日連峰の奥深く山あいの村。縄文時代から人が住む歴史の古い集落。山にとりつき山の恵みを受けて暮らし続けてきた。その奥三面がダムの湖底に沈む。足掛け4年に及び記録された作品です。

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ダムに沈む。運命の岐路にある奥三面の記録

奥三面にダム建設計画が起こったのは昭和四十年代。撮影は1980年(S55)春に始まった。奥三面集落はこの年の秋には小中学校の閉村式が行われ翌年には集落がなくなるという岐路に立つ時期であった。一年の四季を通じて奥三表の人々が自然を活かしながら暮らす様子を丹念に追い、ダム建設により村がなくなる人々の想いが綴られた145分の記録です。

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 暮らしの知恵の宝庫

奥三面は縄文時代から人が生きてきた記憶のある集落です。堅果類の採取、狩猟、漁労、焼畑、山菜の採取、田んぼ、畑作。四季を通した年中行事。映像で記録された主な習俗を拾い上げただけでも、民俗用語に触れずにはいられません。具体的な技術も貴重な記録となり、丸木舟、クマオソ(ワナ)、ぜんまい小屋づくりは短編として別に制作されたほどです。

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 農業は科学者がやること

「研究を支えた基礎は、幼少のころ稼業である農業の手伝いをやったことにある。」

2015年ノーベル医学・生理学賞を受賞した北里大学特別栄誉教授の大村智さんが受賞インタビュー答えていらっしゃいました。

嬉しいー。(o^∇^o)。大村智さんありがとうー。(鼻息あらくなりました) 映像に記録されている、地域の先輩方の暮らし方の確かさやに専門家の太鼓判をいただけたようで本当に嬉しかったです。

大村さんのコメントは私の記憶ですので客観的な情報がないか調べたところ、NHKのテレビ出演時の書き起こしを発見。(※1)

「実は農作業というものは科学者のやることなんですよ。気候を気にする、温度を気にする、それから水分がどうであるかとか、まさに科学者なんですね。」

大村智さんは具体的に、農業を従事することは何の専門家であるのかをお話しされていらっっしゃいました。

はまどまシアターの上映会で観ている映像は、日本や世界の各地で行われてきた、地域に根ざす自然を生かした暮らしの記録です。人が生きていく上で基本の、理に叶った生活の知恵の宝庫であると言えます。

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目利きと加工技術

隣のおじいさん、おばあさんの「目利き」の判断と加工技術は、科学者的だと思いませんか?。「目利き」の例を映像作品から一つ挙げます。「竹縄(たかなわ)の里」。竹から縄をつくる技術と暮らしの記録です。

◆ 縄にするための竹は太ければ良いのか?。

・・実は、使う竹はその年に育った若い竹のみ。
しかも適した時期は7月下旬から8月上旬にかけた3日ほど。

たった3日の猶予期間で竹伐りの最適期を見極めていたのです!!

◆ 竹を収穫するタイミングが早いと? ・・・節から折れてしまう。
◆ 時期が遅くなると? ・・・竹が硬くなり後の縄にする加工が難儀になる。

竹を縄にするために適した時期に竹を収穫する。最適期は3日間。こ3日の猶予はどれ程の年月をかけて会得したのでしょう。

経験から裏打ちされた目利き、大したものだと思いませんか。

 

最後に、おまけ話しを一つ。

◆ 人も忙しい。竹の伐りどきの3日に用事が入るなんて事もあるはず。そんな時の解決方法まで持っていらっしゃいました!。

・・竹に傷をつけておく。傷をつけると成長をおさえることが出来るから。
竹がぐんぐん伸びようとしている動きを、竹に少しだけ待ってもらう。人の都合に竹の成長を合わせてもらう方法があったのです。
自然の性質を知り尽くし利用してきた経験の成せる技ですね

 

*** 暮らしの知恵者の記録は、まだまだあります!。先輩方の生き様も垣間見れます。はまどまシアター上映会、次回は2月26日。その後は4月23日から月に一度、開催します。2017年度もどうぞよろしくお願いいたします。
(2017.1.31記 中川美帆)
2017年度の上映予定はこちらをご覧ください。

 

※1 引用:クローズアップ現代
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3713/1.html

▽ ご参考までに

*「奥三面のダム建設の様子」
平成13年に完成した、奥三面のダム建設の様子は、(新潟県)村上地域振興局地域整備部のサイトで紹介されています。
http://www.pref.niigata.lg.jp/murakami_seibi/1200330048102.html

*「縄文の里・朝日 奥三面歴史交流館」

縄文時代から続く自然や人の生きた足跡と共にダムに沈んでしまった奥三面。朝日村教育委員会で発掘調査や保存を行ったものが展示されているそうです。
http://www.city.murakami.niigata.jp/asahi/okureki/