第201回 田んぼパワー

2025.5.31
いしだのおじさんの田園都市生活

以下、いきなりの引用。
ある教育機関のインスタグラムから。

昨日は新治の田んぼで
田植えの体験をさせていただきました。
石田さん、幸陽園のスタッフの方々に
教えていただきながら
最初は恐る恐るの子もいましたが
一度田んぼに入ってしまうと
みんな黙々と田植えに集中モードでした

暑い日で、太陽と田んぼの照り返しに
挟まれて子どもたちの額には汗が滲んでいました。

4月5月と環境の変化、学年を超える時期で
心身共にダウン気味の子どもも多かったのですが

田植えをしているうちに
大地のパワーをもらって
みんなの笑顔がぐんぐん晴れやかになっていくのが
眩しかったです。

お弁当をにいはる里山交流センターで
モリモリ食べて
体がほぐれ
心もほぐれたのか

午後の教室は
笑い声がいつもよりさらに多く
学年を越えた一体感も増していて
楽しくて優しい
空気になっていました

場所があること
見守り教えてくれる方がいること
そこで安心して挑戦できること
とても大事で
ありがたいことです

稲の成長も楽しみです!

以上、
子どもたちと過ごしている先生の実感、なのだと思う。
(ネットに公開している文章だから、引用、いいよね。)

フリースクール。
いわゆる既存の学校での学びに多少の困りごともある子たち。
俺の印象として、ナーバスでセンシティブな子たちに見えた。
(もちろん、一人一人に個性があり、まとめて言うのは良くないのだが、、、)

去年、公園で出会って、畑に来てもらい、
ここのところ月に1回、畑でいろいろ体験!
日によってメンバーが多少違うけど継続している。

「心身共にダウン気味の子ども」とサラリと書かれているが、
いろいろと、、、
そう、この世をサバイブしていくのは、タイヘン。

泥に入るのは遠慮して、畑で種まきなどした子もいた。
田んぼでは、へっぴり腰の職員より集中モードでしっかり植えた子もいた。

食が細い?身体も細い?という子もいたが、
モリモリ食べて
体がほぐれ
心もほぐれたのか
と、いう感じだったのは、ウレシイね。
ほんと、田んぼパワーだよね。

今後、竹に関するプログラムでもごいっしょする予定なので、
稲の生長も見守りつつ、
子どもたちもいっしょに育っていくといいなぁ。
草取りもしてもらおうかなぁ。

この田植えの前日、
俺も別の田んぼで、パワーを感じていた。
寺家ふるさと村!
友人が多くの参加者を集めておこなっている体験田んぼで、
スゲー久しぶりで、テーラーで代かきをした。
助っ人を買って出てのこと。

テーラー、って、歩行型の耕耘機のことでして、
機械を押すように歩いて、耕し、
左右のクラッチを手元のレバーで切ったりつないだりして駆動輪をコントロールする。
そんな機械。
片方のクラッチを切り、そこを支点にして、もう一方のかご車だけを回すテクニック。
これは、師匠であった故村田さんに教わったもの。
「地団駄踏ませるんだ!」、って、言われた。
上級者のテクニック、か?
トラクターの時代に、こんなこと、自慢してもシャーナイけどね。

代かきは、田植えがしやすいように、
土の表層をトロトロにするのが理想なのだが、、、
これがなかなかのハードワークでして。
かつて、「牛の会」というやつがあって、
まるで牛耕のように田んぼで泥をかき回す、
丑年生まれ(昭和24、36、48)の3人の男でやっておった。

早朝の愛犬の散歩に始まり、
職場その1,職場その2,我が畑、そして、家事雑事、、、の日々で、
ご老体はなかなか疲れもとれないのだが、
このテーラーでの代かきをやったら、
身は疲れても、それを上回るパワーが心にみなぎった。
100人以上を集めておこなわれる田植えの準備を、
させてもらった満足感もあった。
その心身で、夜の赤坂に向かった。
東京農村での勉強会。もちろん、懇親会付き。
(東京農村の話は、また、別途書きたい)

そして、翌日からの幸陽園農耕班の田植えは、
3日間をかけて、おこなわれた。

2日目は、利用者Mの独壇場だったようだ。(俺、不参加、報告のみ受けた)
「強度行動障害」のある重度の立派な自閉症スペクトラム障害の若者。
彼が田植えをしている姿は職人としか見えない。
小気味よく、どんどん植えていく。
しかも、正確。
目印があいまいなところも、正確。
体力もある。

その障害ゆえに、ときに強烈な粗暴行為が出ることもあり、
いつも誰かに見守られ、
言い方を変えれば、監視されて過ごしている彼だが、
農の現場では、労働に向き合うことで解放!
持てる力を発揮する。
こういう彼の姿を見たことのない、「支援の専門家」が見学に来ていて、
うん、それは、オドロキますよね。
でも、これも、いや、これこそ彼の真の姿なのかも、、、

3日目土曜日も、また、違った楽しさがあった。
恒例の!森の自主保育グループ!
この日は4月に1年生になった子たちの同期会のようだった。
それぞれ違う小学校に行った子たちがワイワイ。
母たちも再会を楽しみ、泥と稲を楽しんでいた。
このグループは母たちが率先して作業するところが、とてもいい。
3年間、母が田植えをする姿を見ていた、田んぼには入らなかったRくん。
今回は、なんの抵抗もなく田んぼに入り、しっかり植えて、
最後は友達と泥を投げ合って大騒ぎ!

その楽しそうにしている親子たちを、
また、別の要件で畑に来ていた人たちがニコニコ見ていた。
そして、
「私も、子育てするなら、こんなところがいいなぁ」と、
普段は泥の田んぼとは対極にある場で過ごしていそうな若き女性がつぶやいていた。

いろんな形でいろんな人たちと田んぼを愉しんで、
まさに、田んぼパワーを感じた5月だった。

(6月にもまた田植えがあるよ : 石田周一)

いしだのおじさんの田園都市生活