わけ入れど谷戸はなお深く

2025.3.23 第11話 シカが消えたらどうなる
神奈川県内をはじめ、全国の山林でシカが増えすぎて困っているという。友人からも報道でもその話は聞く。主な原因は天敵のオオカミが絶滅したためらしい。関係者のご苦労や生態系の変化は気になる。と同時に僕の空想 […]
2025.2.28 第10話 碩学は何を悟ったのか
戦後の高度経済成長がスタートした時期に、この国の農業の大方針を定めた法律が生まれた。「農業基本法」である。1961年(昭和36)にできたこの法律は、東畑精一(以下敬称略)という農業経済学の大家が中心と […]
2024.12.29 第9話 雑木林のせせらぎ
雑木の林から水音が聞こえてくる。小川のせせらぎの音だ。それに気づいたのはこの場所に住みはじめて数年経った頃。でもあたりはなだらかな傾斜地で、そんなところに水の流れはない。僕は首をひねる。 あまり考えた […]
2024.11.28 第8話 重年さん、ゴジラってクヌギですよね
中川重年さんを偲ぶ会が12月8日に催されるという。 偲ぶ会が持たれることをNORA松村さんのFBで知ったのが9月。それならばと、長年気になっていたある課題に急遽取り組むことにした。それから三か月のあい […]
2024.10.29 第7話 ヤタガラスはトキだった仮説:トキは不思議な鳥
僕がそもそもこのトキ=ヤタガラスばなしを思い描くようになったのは、自分が暮らす村の村社が羽黒神社だからである。その神社の由来を調べて、蜂子皇子の故事に行き着いた。そこから山形の羽黒山の「羽黒」が、ヤタ […]
2024.9.23 第6話 ヤタガラスはトキだった仮説:ヤタガラスはなぜ三本足か
前回(第5話)では、佐渡に伝わる鳥追い歌を紹介した。鳥追い歌とは田んぼに害をなす鳥を、とにかく自分のところ以外へ追い払うための歌のことであり、また、その歌を唱和しながら村をまわる行事を言う。佐渡のいく […]
2024.9.1 第5話 ヤタガラスはトキだった仮説:鳥追い歌のカンガラス
前回(第4話)では、ヤタガラスとは「八咫烏」であるということ、「咫」とは古代の長さの単位で概ね18cmだということ。18cm×8であればトキの「翼開長」、すなわちひろげた両方の翼の先端の間隔140cm […]
2024.6.26 第4話 ヤタガラスはトキだった仮説:トキの大きさは140センチ
旅の空。それは旅人が仰ぎ見る空のこと。では旅人はなぜ空を見るのか。 ある写真家は、旅先では「夢判断」ならぬ「鳥判断」をするのだという。人や街の顔で土地の相を判断するように空の顔も見る。なぜなら空に飛ん […]
2024.5.30 第3話 ヤタガラスはトキだった仮説:貴種流離譚
有限とは無限である。佐渡に居るとそんな禅問答をしたくなる。たとえば島とは海にうかぶ限られた大地ゆえに、限りなく四方八方から異質なものたちが流れ着く。 あるいは今年もまもなくおわる田植えは、冬にこの島の […]
2024.4.28 第2話 ヤタガラスはトキだった仮説:征服者と受難者、それぞれのヤタガラス
のっけから余談で恐縮だが、最近、「のぼる人」には二通りあると思い至った。まずは山にのぼる人。麓のどこから登り始めてもテッペンの一点に収斂していく。とてもわかりやすい。 一方、それと真逆なのが川をさかの […]
2024.3.30 第1話 ヤタガラスはトキだった仮説:トキ博士のひそやかな野望
佐渡ヶ島の空からいちどは姿を消したトキ。16年前から始まった放鳥につづき、野生下でのヒナの誕生も順調で、いまや500羽をこえるトキが舞っている。わが家の庭のクヌギにまで普通にやってくる。※上の写真 そ […]