なぜいなかに
2015.8.29和歌山県高野町富貴暮らし
田舎、きてますね。田舎暮らし関連のテレビ番組とても多いですし、私が以前お世話になっていた田舎暮らしの相談窓口でも、相談に見える方がとても増えているようです。先日、地元高野山大学の先生から、富貴筒香に移住した人としてインタビューを受けました。これから町が移住定住施策に取り組んでいくための参考に、ということでした。田舎にいることがだんだん普通になって来ていますが、改めて自分にとって田舎の何がよいのか考えてみる機会になりました。
緑の濃い山奥にいることは、精神的に落ち着くようです。通勤で山を降りるのですが、下りても緑はたくさんあって、まあ田舎なのですが、それでもざわざわとした町中に出て来たようで少し緊張感があります。横浜に住んでいた時、旅行に出かけて帰って来た時には、我が家に帰って来た―というほっとした気持ちはありましたが、家に帰って来たという安心感だけではなくて、人工的な建造物が、知らないうちに自分にストレスを与えているのかなと思っています。
今白いユリが真っ盛り。花は年によってたくさん咲いたり、少しだったりすることを田舎に来て知りました。ユリは今年とても元気で、いたるところに顔を出ている感じです。自分の背丈くらいのすごく背の高いユリがあったり、花を5つも6つもつけていたり、昨日はつぼみだったのに、今日は咲いていることとか、家に帰って来て車を降りると、暗い中まずユリの香りがすることとか(夫は香はしないと言うのですが…)、月が明るいと夜道は歩きやすくて、星がある日はちょっとうれしいとか、帰り道にうさぎが横切ったり、鹿がいたり(鹿はコラ!畑を荒らすなよーという気持ちで見てしまいますが)することとか、改めて考えるとそんな些細なことに、日々楽しませてもらっています。
「そもそもどうして田舎に住みたいと思ったのですか?」という問いがありました。6年前、横浜に住んでいた時、家でご飯を食べながら外を見ていて、この風景をずっと見て暮らすのかな、田舎に住んでいたらどんな気持ちがするのだろうと思いました。その気持が田舎暮らしをしてみたいという発端のような気がします。先生に、それで実際に住んでみてどう思ったのですか?と聞かれ、「とても清々しい気持ちがしました」と、元気よく答えていました。
田舎に住んでいても日々の生活の悩みは普通にあるわけですし、また集落の人口が減っていくことへの不安もあります。また田舎のいいところ、悪いところ、という言い方は何か違和感があります。ただ筒香に縁があって、とても清々しい気持ちになれることは幸せだなと思いました。