和歌山県高野町富貴暮らし

蛇口をひねれば水が出る

2015.6.29
和歌山県高野町富貴暮らし

田舎は水がおいしいでしょうね?と言われます。おいしいです!下筒香の先輩は「たまに町に住んでいる息子の家に行くと、水がカルキ臭くて、かなわんね」と言います。そして「水のタンクができてからほんっと助かってる」「金なくても、水ない程じゃないって、昔よく言ったなあ」と続きます。

こちらに引っ越してくる時、トイレは汲み取りだろうなあと思っていましたが、水道については気にしていませんでした。田舎のおばあちゃん家は、外に井戸があって野菜など洗っていたけど、家の中には水道が来ていたから、そんな感じかなあと。

下筒香の家も普通に蛇口がついています。でも水道ではなくて谷の水をホースで引っ張ってきています。井戸水は知っていたけど、谷の水?? そういえば、谷から黒いホースが何本も出ているのを見たけれど、あれがそうか!最初に聞いたとき、普段見ていた?な風景と合点が行きました。 山の上の方、家も田んぼもないところ、湧水が集まって谷になっているところを、土や木の枝などが入らないように石を並べ、その下を流れた水がタンクに集まるようにしているようです(私は、まだ水を集める最初の地点を見たことがありません)。ホースは土の中を通って各家へ分岐しています。

4,5年前に集落に1つ大きなタンクを設置しました。その前は1軒だったり、4,5軒小さなタンクを各々設置していたらしいのですが、「そのときは、水のトラブルがしょっちゅうあった」そうです。誰かが洗濯機を回しっぱなしで忘れてしまって水がなくなってしまった! 冬は凍って出なくなって、ホースのジョイント部分を外して、陽に当てて溶けるまで水が使えなかった。水が出なくなってしょっちゅう水取り口を見に行った(砂が詰まったりしている)。炊事場で水を使っていると水圧が足りなくて洗濯できなかったなど。水の事でお隣と口げんかもよくしたし、大変苦労したと言われます。

もっと昔々、話を伺った先輩がお嫁に来た頃(65年前くらい)は、集落に2つ大きな井戸があって、飲み水はそこに汲みに行ってたそうです。体の小さなお嫁さんはそれは大変そうだった。野菜を洗ったりする使い水は、谷から竹を割って樋を作って引いていたそうです。

今共有の大きなタンクは、年に2回みんなで掃除しています。タンクの中に人が入ってブラシでごしごし。年末には一年の感謝の気持ちを込めて、しめ縄、サカキ、餅を供えています。