水の流れは絶えずして

第五十一話 環境活動の共通言語としてSDGsを考える

2020.12.1
水の流れは絶えずして

よこはま里山研究所も今月12月20日に二十周年を迎えます。この間、里山とかかわるわる暮らしをテーマに、いろいろな活動を行ってきています。
多くの仲間も増え、活動に対する理解も深まっていると思います。
それぞれの活動の里山とのかかわりや活動していることの意義、どのような成果が得られているかということは、NORA関係者には理解されていると思いますが、これが一般の方々に届いているかを考えたとき、まだハードルは高いと考えています。そのなかで、SDGsは一つの共通言語として考えてみたいともいます。

公害問題から環境問題への移り変わりを個々何回かお話しさせていただきましたが、公害問題での取り組みでは被害者と加害者の関係が比較的明確で、公害の程度や達成目標、企業が守るべき内容も環境基準や排出基準などを法律で規制することで、取り組みの監視や目標がわかりやすかったと思います。
公害問題から環境問題へと移り、明確な目標が見えにくくなったと考えましたが、それでも、極度の貧困と飢餓の撲滅などを目標に2000年から始まったMDGs(ミレニアム開発目標)では、それぞれの取り組みが数値目標化され、国際機関が協力、モニタリングしていたことで、達成の進捗が容易でした(詳細は、また別の機会にお話ししたいと思います)。

さて、NORAでは里山とかかわる暮らしを再考するため、
「私たちの暮らしと里山との間の距離を近づけることによって、
生命(いのち)のつながりが感じられる機会を取り戻します。
そして、身近な里山が輝くようになれば、
その自然の恵みを生活に取り入れることにより、私たちの暮らしも豊かになると信じています。」を掲げています。
NORAのホームページ(https://nora-yokohama.org/?page_id=4)から

NORAのそれぞれの活動、里山とのかかわりや活動していることの意義、どのような成果が得られているかということは、それぞれのホームページなどで紹介され、NORAの活動に関わっていただいている方々には理解されていると思います。これが一般の方々に届いているかを考えたとき、まだハードルは高いと考えています。
活動に参加された方からは、里山とのつながりを初めて知った、という内容の感想も多く聞かれます。そのなかで、SDGsをNORAの活動を広く知ってもらう一つの共通言語として考えてみたいともいます。
よこはま里山レンジャーズの協働団体である自然環境復元協会が主催したSDGsワークショップでは、若手が多く集まりレンジャーズ活動がSDGsとどのような関わりや役割があるのかを考えた結果、169ターゲットに対して20近くのターゲットに関連することができるのではないかという提案がなされました。
陸域生態系の保全や気候変動などはわかりやすい関連ですが、レンジャーズ隊員が高齢化が課題となっている活動団体の活動に参加することによる「地域社会の課題解決」や、自然体験活動に参加することでの「ストレス社会の解決」など、一般に説明が難しいつながりを容易に見つけることができました。

ここまでは、いわゆるターゲットのラベリングという作業です。実際にSDGsへの取り組みの評価を得るためには、ラベリングしたターゲットに対しての課題解析と達成目標の設定、そして目標達成のためのロードマップづくりが重要な鍵となると考えています。

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