第四十三話 水を得るために
2018.2.1水の流れは絶えずして
今年の1月中旬、5年近く仕事で通い続けている長野県飯田市を訪れた時のことです。帰りの高速バスを待っているとき、観光案内所で「信州の農業遺産 魅力ガイド」というリーフレットが目にとまりました。
早速手に取ってみると、長野県内の疏水(農業用水路)、ため池、棚田 113カ所が信州の農業遺産として紹介されていました。
この農業遺産の選定にあたって説明されていた「世界農業遺産」や農水省の「棚田百選」というのは知っていましたが、その他にも「世界かんがい施設遺産」、「疎水百選」「ため池百選」(農水省)があることがわかり、勉強不足と言われてしまえばそれまでですが、いろんな農業施設が様々な形で選定、紹介されていることに改めて驚いてしまいました。
さらに、この魅力ガイドで紹介されている113施設のうち、景観的に絵になりやすい棚田は16カ所、ため池は21カ所で、残りの約7割が疎水であることもびっくり。
魅力ガイドで紹介されている戦国時代から江戸時代にかけてつられたよこね田んぼ(飯田市)
飯田市の農業用水路 ガイドには紹介されてないが,飯田市内にはこのような水路が多くある
ガイドを目にしていると、長野県内に2万kmにも及ぶ農業用の疎水があること、古くは平安時代から水を得るために、その地域の地形や気象条件を克服しながら延々と疎水が造られてきたことが語られていました。
確かに、確かに神奈川県の箱根用水、滋賀県の琵琶湖疎水、福島県の安積疏水など、先人が農業用水を得るために英知を結集して水源から何キロも先に水を引くために人力で造られた疎水が、歴史的にも文化的にも貴重であることに改めて気がつきました。
掲載されている写真から、まさに農業の歴史と文化を感じることができるのですが、残念ながら紹介されている疎水はほとんど訪れたこともなく手元に写真もないので、これから意識的に訪れたいと思ったしだいです 。
「信州の農業遺産 魅力ガイド」は以下のURLからダウンロードできます。
https://www.pref.nagano.lg.jp/nochi/miryoku-guide.html