里山ガーデンの過去と未来を考える(その2)
2018.7.13その他
NORAでは、2017年5月21日に「意見交換会:里山ガーデンの過去と未来~動物の森公園を考える」を開催、さまざまな意見をいただきました。
過去の資料を調べ、3度の里山ガーデンを経て、私たちはこの場所の基本構想を作成しました。
1.「横浜みどりアップ計画」では
「地域特性に応じた緑の保全・創出・維持管理の充実により緑の質を高めます」とあり、生物多様性の向上など、緑の質を充実させることが必要です、と謳っています。樹林地や湿地、草地のある公園や市民の森では、保全管理計画を策定し、生物多様性を高めるための考え方や技術の普及が、官民協働により行われています。
2.生物多様性横浜行動計画(ヨコハマbプラン)では
重点施策その1)「bプロモーション」において「谷戸の保全をすすめ、谷戸を訪れ楽しむライフスタイルを提案する」と、谷戸の重要性を述べています。
重点施策その2)「生きものにぎわう環境づくり」では、緑の10大拠点について適切な維持管理により生物多様性を高める必要がある、とも述べています。この谷戸は、10大拠点の中の、さらに2大拠点である北の森の一部です。
この谷戸では、希少な動植物がかろうじて残されています。
※横浜市は、環境管理計画・生物多様性横浜行動計画の改定素案について、現在パブリックコメントが行われています(7月31日まで)。
しかし、「横浜みどりアップ計画」「生物多様性横浜行動計画」はその中に盛り込まれているので考え方は引き継がれるものと思います。
3.里山ガーデンエリアは「ノアの方舟」では?
里山ガーデン時の「生物多様性ゾーン」は、ズーラシアの開発に伴い、絶滅危惧種の貴重な植物を移植した場所です。狭いエリアのため、将来的には拡大し、シードバンクの場として確保する必要もあるのではないか、と思います。ズーラシアに併設する横浜市繁殖センターでは、地元(北の森地区)のカエル類の系統保存に乗り出している、と聞いています。
谷戸全体を改変すると、周囲の湿度も低くなり、樹林地全体の乾燥化がすすむでしょう。多くの生きものが激減していきます。横浜市内だけではなく、県内であっても、水辺や湿地環境が危機的状況なのです。
横浜郊外部の里山的自然景観は、かつての「線引き」の効果でもあり、370万人が住む大都市にもかかわらず、素晴らしい環境が残されています。臨海部の人為的な美しさ・海と対比し、郊外部の源流域・里山環境とのコントラストこそが、横浜の持つ大きな魅力の一つである、と考えます。
谷戸については、田んぼとして機能していた頃に近い環境を取り戻し、まるごと活用展示とすることが、将来、ズーラシアにとって、横浜市にとって、誇れる取り組みとなり、素晴らしいエリアになるのでは、と強く感じます。かつて、この一帯は国蝶オオムラサキの多産地でしたが、やはり開発によって市内では絶滅に追い込まれました(現在、寺家町の一部で見られます)。オオムラサキやゲンジボタル、ヘイケボタルなどを象徴として、復元にむけての技術を結集・蓄積し、そのプロセスを見せていくことが大切なのでは、と感じています。
4.横浜市全体の森づくりの課題解決のためにも
みどりアップ計画により、公有地化した樹林地が増え、それに伴い樹林地の適切な管理をすすめていく量もふえています。しかし、「森づくり」という考え方、技術を持っている地元企業は非常に少ないようで、技術の伝承、レベルアップが喫緊の課題です。また、身近な地域の森を手入れするボランティア組織についても高齢化や安全対策、技術伝承等の課題があります。
市内全域の森づくり・里山再生の研修拠点として、子どもたちの環境教育拠点として、それらの方針を打ち出していただきたいと考えています。
ぜひ横浜動物の森公園未整備区域基本計画(案)パブリックコメントにご意見を寄せてください。
ちょっと判断に迷う質問が並んでいます。「その他」を選んで、自由記述欄に書くことをお勧めします。