水の流れは絶えずして

第三十三話 トンボと田んぼと樹林地

2016.9.1
水の流れは絶えずして

金沢区にある長浜公園の田んぼで田植えから3ヶ月、夏の暑い日を浴び稲もだいぶ育ち、実をつけ始めました。そして、田んぼの上空は、シオカラトンボ、ショウジョウトンボ、オオシオカラトンボなどがいつも飛び交うようになりました。

ところで、8月にはNORAも参加する「トンボはドコまで飛ぶかフォーラム」によって、鶴見区・神奈川区の京浜臨海部10カ所、内陸部で5カ所、中区の本牧市民公園の16ヶ所でトンボのマーキング調査が行われました。1カ所あたり3日、午前中の2時間ひたすらトンボを捕獲し同定・記録、マジックで標識をつけて放す単純な調査です。14年間の活動で工場地帯の緑地や水辺が内陸の里山と同様の役割を持っていることなど、多くの成果が出されています【トンボフォーラムで検索】。今年は16カ所で3日だから延べ48日、延べ約260人を動員しての大規模な調査でした。調査の結果はこれから専門家の田口先生によって解析されていきますので結果を楽しみにしてください。

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工業地帯での調査(鶴見第二水再生センター)

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油性マジックで標識をつけられたシオカラトンボ

さて、トンボフォーラムの調査を通して学んだことのひとつ、トンボと樹林地の関係について紹介したいと思います。多くの人は、トンボは水辺にいるものと思っているようですが、水辺はトンボが繁殖するために訪れる場所です。水辺では強いオスが縄張りをはって、メスを待っているのです。池の上で縄張り争いをしているトンボを見たことはありませんか?ここでオスを捕まえると、周りの木陰で縄張りの獲得を目指して待ち構えている別のオスがさっと入ってくるのです。このため、捕獲されるトンボの7割から8割がオスです。

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メスの割合が多い樹林地での調査(入船公園)

では、樹林地や草地ではどうでしょうか。トンボ博士の田口先生の話では、トンボは樹林地や草地で餌をとり、また、はねを休めているとのことです。水辺ほどの多さでないにしても、よく見るとトンボが結構飛ンでいます。ここで捕獲されるトンボはオスとメスの割合が同じか、メスが多いぐらいです。そして水辺に比べ若いトンボが多いように思います。
つまり、トンボの多くは樹林地や草地で暮らし、水辺に子孫を残すためにやってくるのです。

里山の樹林地と水田やため池の構成は、まさしくトンボの生息環境をつくってきたということです。そして、この空間の多様さが日本で生息するトンボの種類の多様さにつながっているといえます。