水の流れは絶えずして

第二十六話 沈む低地

2015.10.31
水の流れは絶えずして

前回、低地の便利さと昔からそこに住む人たちの知恵みたいな事を書いたところですが、横浜でマンションが傾斜するという事件が残念ながら起こってしまいました。この問題は業者の責任問題なのでここでは触れませんが、今回は、低地が沈む『地盤沈下』についてお話ししたいと思います。

地盤沈下は、地震などに起因する自然現象として現れることもありますが、多くは、地下水の大量くみ上げや地下工事など人為的に地下水位が低下することで発生しています。
地下水が低下すると粘土層内の圧力が低下し、粒子の間に蓄えられていた水(間隙水といいます)が絞り出されます。この結果、地盤が圧縮し地面が沈下するものです。

プリント

地盤沈下のしくみ:
地下水位が低下すると、粘土層から地下水が絞り出され、地盤が収縮し、地表面が沈下する

みなさんもご存知と思いますが、東京都の沿岸部にはゼロメートル地帯と呼ばれる海水面より低くなってしまった地域があります。

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東京のゼロメートル地帯 (東京都港湾局ホームページより)
http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/jigyo/plan/kaigan-plan/tokyo-bay/tokyo-gaiyo/

この地域で地盤が少しずつ沈んでいたことは、測量関係者の間では、気づかれていたようです。
大正4年(1915)に陸地測量部が公表したデータに、江東デルタに地盤の沈下があることが寺田寅彦に指摘されていましたが、関東大震災後に東京大学地震研究所と陸地測量部が関東地方全域で実施した水準測量によって、地盤が沈下していることが確認されたとされています。その後の産業活動の発展と都市の発達に伴って工場やビルが多量に地下水を使ったことで地盤沈下は進み、江東区南砂2丁目では大正7 年の測量開始以来、昭和50年代までに4.5m 以上の沈下を記録しました。

横浜の地盤沈下は、東京都とは事情が異なります。
地下水のくみ上げによって地盤が沈下しているところもありますが、横浜駅周辺、新横浜駅周辺などで、開発ラッシュに伴う地下掘削工事の際に地下水を排除したことが原因となっていることが特徴となっています。

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横浜駅西口 帷子川沿い、道路が沈下している様子

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横浜駅西口5番街周辺
道路が沈下したことによりビルが抜け上がり、段差ができている
(ビルができた当時は、看板の下が縁石だったと思われる)

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後から足された階段

 

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横浜市役所に見られる地盤沈下の爪痕
(写真左側は高層ビルのため基盤まで杭が打たれており、建物は沈下していない
写真の右側は低層階で杭が打たれていないため、地盤とともに沈み、つなぎ目に段差ができてしまっている。

いずれにしても、地盤沈下は、人が地下水の流れを変えたことによって発生している ということを考えなければならないと思います。