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第13回 ふよふよ ふよふよ

2010.6.30
イキモノのにぎわい

先日、NORAからの帰り道、途中にある大岡川を覗くと、大量のミズクラゲが
海から上流に向かって漂っていました。ちょうど満潮の時間帯で逆流している
ようにも見え、夕日が水面を照らし、なんとも言えない不思議な感じでした。

ふよふよ漂うものと言えば、マンボウを思い浮かべます。
このマンボウ、クラゲが好物。
クラゲは水面だけでなく海底にも沢山おり、マンボウはクラゲを食べに海底に
潜ります。潜っていると冷えてしまうので、身体を温めるために水面近くにプカーっ
と浮いて漂います。(そこを人間に捕まってしまうのですが)
マンボウはふよふよ漂っている印象が強かったのですが、これは冷えた身体を
温めているときだけで、普段は俊敏な動きをしているんだそうです。

マンボウだけでなく、ウミガメやタイやサケをはじめ、クラゲを好んで食べる
生き物は多くいます。
“プランクトン”という言葉を聞いたことがあるかと思います。
ゾウリムシやミジンコ、微生物など小さい生き物をイメージしますが、プランクトンとは
“浮遊生物”のことで、水中や水面を漂って生活している生き物の総称です。
したがって、ふよふよ漂っているクラゲもプランクトン。
クラゲも生態系ピラミットの底辺を支える重要な生き物なのです。

最近は癒しという面で人気の高いクラゲですが、夏もお盆を過ぎて海に入ると
クラゲにさされるから気をつけろ、とよく言われるように人間にとって危険な
生き物という一面も持ちます。

数日前にビーチコーミングしていたところ、青い風船のようなものが打ち上がって
いました。思わず触れたくなる美しさなのですが、触ったらとんでもないことに・・・・。
「カツオノエボシ」という猛毒を持つクラゲです。
春から夏にかけて吹く季節風に乗って、熱帯地域から漂い、太平洋側に流れ
着きます。三浦半島や伊豆半島では古くからカツオの訪れを告げるクラゲとして、
その名で呼ばれてきたそうです。
恐ろしい面を持つ生き物ですが、季節を告げる使者と見立てるところが
昔の日本人は風流だなと思いました。

クラゲを漢字で表すと「水母」「海月」「水月」「鏡虫」など。中国では「水母」という
言葉には「水の神」という意味があるそうですが、漢字ひとつを見ても、水に映る
月に重ね合わせるなど神秘的な印象を与える生き物だったのだなということが
わかります。

夏はミズクラゲの繁殖シーズン。
NORAにお越しの際は大岡川を覗いて見てください。

(Tanji)

参考文献:
並皮洋 『クラゲガイドブック』 TBSプリタニカ 2000