神奈川・緑の劇場 vol.33

2024.3.30
神奈川・緑の劇場

神奈川・緑の劇場

~日本の文化・農耕・漁撈・山仕事を我がことに~

私たち国民のひとりひとりが、担い手の一翼を担う意識を
いよいよ持たなければ手遅れになります。
すでにかなり手遅れですが。

日本の食糧自給率はカロリーベースで38パーセントです。
地球上で最も生命力に溢れた島々。緑におおわれ、
豊かで清涼な水に恵まれた日本列島の、祖先が切り拓いてきた農地や、
国土の7割を占める森林も荒らし、水資源を汚染させて海の生き物も弱らせ衰退させて、
私たちはどこに向かうのか?

スーパーマーケットを見れば、肉・魚・野菜・果物すべてが〝高級品〟になっています。
100円で買える農産物は?3月末現在、モヤシ、白菜6分の一カット、
極少量の小松菜、同じくほうれん草、イチゴ一粒(もちろん一粒では売ってもらえません。)

不満、不安を抱えても、黙っておとなしく買い物をするしかないと諦めていませんか?

JAや生産者の『直売所』では、量はたっぷり、鮮度抜群、
生産者の明らかな作物が半値くらいで買えます。

外見、見た目が劣るからと、さらに格安品も並びます。
しかし、まだまだそんな格安品を手に取る人は少ないです。
スーパーに並ぶキレイな野菜に慣れた目には、
本物の味や安全性を見きわめる力は無いのです。

安心、安全を人任せに〝生協〟に加入してみても、
生鮮農産物は品物を組合員の望む数を揃えられなくなっています。
欠品もあたりまえです。

『直売所』に買い物に行ける人は限られています。
少しでも、安くて安心な農産物をスーパーに並ぶ中から選ぶか、
〝生協〟を利用するか。

スーパーにあたりまえに直売所なみの、それ以上の品質の農産物が並ぶ時代を
30年以上前から目指してきました。少しずつ前進しています。
消費者と流通小売の担い手と生産者の意識が変われば実現できます。
まずは、みんなが生産者の思いを自分ごととして共有することです。

しかし、急がなければなりません。

生産者たちの多くは70代になりました。あと何年もできません。
農水省は20年後には日本の生産者は30万人と予想しています。
現在は120万人です。

農水省の対策は?AI、ロボット、野菜工場、スマート農業で農地集約、規模拡大です。
生産者が家族と共に人生設計をつくる所得の保障なく、日本の国土を守ってきた
自給的な小規模農家は、農業政策の外に置かれ、中山間地のコミュニティを維持する気も、
生産者を増やすつもりも、今の政府にはなさそうです。

さらに、農耕・漁撈・山仕事の多面的価値、日本の文化の土台、心の支え、
自然神、八百万(やおよろず)の神々への畏怖も全く無視して
国民の食糧安全保障は安定した輸入と言ってはばかりません。

そのかわり非常時には、国民ひとりが一日1900カロリーを確保できるように
芋などを強制的に生産者につくらせ、従わなければ罰金を科す法律を
今国会で成立させるもくろみです。

ふだんから生産者を大切にしないで困ったら言うことを聞けと言うのです。

1900カロリーは、腎不全で入院した私に与えられた制限食で、
動かない入院生活を維持する最低ラインでした。
もちろん満腹感などありません。

農耕・漁撈・山仕事を自分たちの代わりに担って国の文化を守ってくれる
大切な生産者の皆さん。

財政的にも、ふだんの買い物でも、支援するのがあたりまえと、ひとりひとりが思って、
そういう政策の政府にしなければ、間に合いません。

2050年の日本の米の生産量予測は290万トン(三菱総研)現在は690万トンです。

(2024年3月29日記三好豊)

・京都で振り売り(伝統的な農産物の移動販売)をする角谷香織さん→★★
・日本の農産物流通に3つの提案 神奈川野菜を届けて36年 三好 豊→■■三好 豊(みよしゆたか)

“50年未来づくりプロジェクト”を提唱します。
“もりびと”が木を植えて育てるように、子どもたちが社会の真ん中で活躍する時代のために、今日できることを一つずつ。老いも若きも一緒になって50年のちの日本の景色を想い描きたい。
1954年に生まれ父親の転勤により各地で育ちました。 1975年10月、杉並区阿佐ヶ谷南の劇団展望に入団。1982年退団して横浜に戻り演劇活動に参加してきました。1987年5月、(有)神奈川農畜産物供給センターに入職し、県内各地、各部門の生産者に指導を受けることができました。2004年に退職し「神奈川・緑の劇場」と称して県内生産者限定の野菜の移動販売を始めました。NPO法人よこはま里山研究所・NORAの支援はたいへんに大きく、これからも都市の暮らしに里山を活かす活動の一環として生産者との関わりを大切にしたいと考えています。また(株)ファボリとその仲間たちとの繋がりには、心躍るものが生まれています。