
神奈川・緑の劇場 vol.45
2025.3.31神奈川・緑の劇場
神奈川・緑の劇場
=農業・食べものを通して意見交換の場へ再び!=
『食糧・農業と国民の健康を守る神奈川会議』(食農健神奈川会議)の毎月の、昼間の会議に大桟橋の入り口近くにある波止場会館まで出てこないかと誘われた。
出席することを目標に体調を整えたい。
同会議は、全国各地で組織されている。秋の全国統一行動『グリーンウェーブ』などを通して、あらゆる立場の市民が農業・食糧の問題を自分ごととして考えるという実績を重ねて来た。
神奈川でも、民主団体と言われる数十の団体が名を連ね共闘してきた。今年は、三月に第37回目の総会を迎えた。創設当時の意気盛んな様子を思い出す。当時、私は神奈川農畜産物供給センターに入職したばかり。与えられた任務が異なり、直接の関わりを持つことはないまま40年近い年月が経った。
同センター時代の、かつての同僚が農民連・農民組合神奈川連合会の総会報告を農民連新聞〝農民〟に寄せているのを読んで連絡を取ったのをきっかけに、食農健神奈川会議の総会に顔を出したのだ。同会議や農民組合県連を、事務局を担って支えていた人が数年前に亡くなって、先行きが気になっていたが、久しぶりの人たちにも会い、話をすることが出来た。懐かしい顔の面々は元気だった。
=可能な限りの回復を目指して=
今、私は、わずかな行動でも、体力が足りず、すぐに不調に陥って動くのが辛くなる。
この1年間、週に三日の透析クリニックへの通院がやっとだったと言っていい。
子ども食堂や老人ホームでの紙芝居や、民話の語り、朗読くらいならば出来ると思ったが、とんでもなかった。体力と集中力がどれほど必要なものか、思い知った。
それでも、かろうじて、仲間たちに支えられて『食べもの通信』の読者会を主宰し、この稿も、約15年間、毎月書かせてもらい、特に最近は、農業・食糧を中心に言いたいことは尽きることは無い。
先日の食農健神奈川会議では、加盟団体を代表した挨拶に、それぞれの団体の若者たちが立ったのが特に嬉しかった。懐かしい思い出とともに元気をもらい気持ちが若返り、帰路の足取りも軽くなった。
港湾施設での輸入農産物の現地視察を呼びかけ、横浜港で働くからこそ知り得た実態を全国に告発した港湾労組、横浜市内350校の小学校給食のうち10校程度に初めて地産地消の食材を供給し始めて、栄養教諭や調理担当職員の苦労や情熱、喜びを知り、生産者への見学会も担当した横浜市従業員労組とその給食支部。
バブル崩壊前夜、取り返しのつかない大不況・数十年規模の経済低迷を予見した全労連・労働組合時代。
=演劇活動・劇団展望育ちを財産に=
予見、と言えば、演劇活動と、師匠・大沢郁夫の薫陶を財産に、時代の先を、〝たまに〟予見してきた。それが、けっこう当たる。長い年月をかけて、とうとう現実になってきたのが、食糧不足と飢餓の拡大だが、2001年には、狂牛病が発生して、政府は牛の全頭検査に踏み切った。あの時、すべての主要政党が全頭検査は当然だと賛成する中、全頭検査に反対し、必要無し、税金の無駄使い、と畜産農家にも、農民連幹部にも訴えて、たぶん私は嫌われた。まあ、最終的には、1頭だけは発見できたのだから無駄ではなかった?風評被害は防ぐことができたけれど、国民が本当のことを理解すること、真実を知らせる努力からは遠退いたと思っている。
今は、食糧自給率向上は手遅れ、それを求めるのは時代遅れと言い続けている。このことは改めて書きたい。
今の米不足は、私は、2023年の9月には予見していた。2024年の6月に不足が始まると言って周りには生産者の親戚や知人がいたら大事にして手を握って死に物狂いで離してはいけないと、注意を促していた。ぴったりだったが、予見したのは私だけではない。米の業者・関係者は皆、予想していたに違いない。だから、不足する米をあらかじめ確保しようとして、ますます不足することは目に見えていた。
問題なのは、メディアがなぜ、いつも、本当のことを報じないのか?国民に本当のことを知らされると困る奴は誰で、どこにいるのか?知らされず、いつも苦しめさせられるのは誰か?
10万円の商品券を配り、一人あたり一万五千円の食事を20人以上で囲んで、〝ポケットマネー〟で済ませることができる連中には、米や野菜の高騰など、関係無いのだと言うことを、飢える者、貧しき者こそ知らなければならない。学ばなければならない。それこそ、富めるものたちが得意な〝自己責任〟なのだ。
米不足はこれからも、ずっと続く。そして、今の店頭価格は、まだまだ安い。
身近にふるさとの田んぼの田植えに、稲刈りに、通う人がいたら尋ねて欲しい。生産原価はいくらになっているか、もちろんご自分の労賃をいくらに見積もるかも。
今の政府のままでは、輸入米が当たり前に店頭に並ぶ日も近いということを、メディアはわかっているのだろうが、いつどのように国民への報道を始めるのだろう?
ロサンゼルスや大船渡や国内各地での山林火災。韓国でも山林火災で犠牲者がでている。SNSでは、真偽不明な怪情報〝陰謀論〟が飛び交っているらしいが。
原因を探り、確かめてみたい。里山と農業を守る立場からも。
(2025年3月29日記三好豊)
・京都で振り売り(伝統的な農産物の移動販売)をする角谷香織さん→★★
・日本の農産物流通に3つの提案 神奈川野菜を届けて36年 三好 豊→■■三好 豊(みよしゆたか)
“50年未来づくりプロジェクト”を提唱します。
“もりびと”が木を植えて育てるように、子どもたちが社会の真ん中で活躍する時代のために、今日できることを一つずつ。老いも若きも一緒になって50年のちの日本の景色を想い描きたい。
1954年に生まれ父親の転勤により各地で育ちました。 1975年10月、杉並区阿佐ヶ谷南の劇団展望に入団。1982年退団して横浜に戻り演劇活動に参加してきました。1987年5月、(有)神奈川農畜産物供給センターに入職し、県内各地、各部門の生産者に指導を受けることができました。2004年に退職し「神奈川・緑の劇場」と称して県内生産者限定の野菜の移動販売を始めました(現在終了)。NPO法人よこはま里山研究所・NORAの支援はたいへんに大きく、これからも都市の暮らしに里山を活かす活動の一環として生産者との関わりを大切にしたいと考えています。また(株)ファボリとその仲間たちとの繋がりには、心躍るものが生まれています。