石田のおじさんの田園都市生活

第56回 谷戸遊び

2013.4.29
いしだのおじさんの田園都市生活

今日はヒデと寺家ふるさと村で遊んできたよ。
・ふぅん。何があるの?
ふるさと村自体は、田んぼと雑木林の大きい谷戸だよ。
レンゲが咲いて、カエルの声がして、空が広くてね。
・谷っ戸ん田とチガウの?
横浜にはこういう谷戸がたくさんあるんだよ。以前はもっとあったし・・・
・過去形?消えちゃったの?
うん、もとの形がよくわからず地名だけが残っているところもあるよ。
(友人の)Iさんの家のあたりも昔は谷戸だった。
谷戸を「横浜の原風景」と言うこともあるんだよ。
・で、何して遊んだの?
釣り堀に行ってね。でも、道具を持参しないとできなくて・・・
・えっ?
阿佐ヶ谷の釣り堀は道具を貸してくれるよね。
・夏に行っていたよね。
うん、ぶらりと気分で寄れるのが都会的。でも、谷戸の釣り堀はそうではない。
・どっちがいい?
いや、較べる必要はないけども・・・
・(・・・)
寺家はもともとは溜め池だったところだから、緑に囲まれている。
・でも、できなかったんでしょ。見ていたの?
うん、見学。
・見てるだけじゃつまんないでしょ。
いや、無料だから、俺は助かる。
・セコイなぁ。
だって、その前にボーリング5ゲームもやったんだよ。
・そう。休日っていうのは出費がかさむもんでしょ。
うん。でもボーリングもいいけど、やっぱ自然の中がいい。
ヒデ、「なんであのおじさんは沢山釣れるんだろう」なんて言いながら見ていたよ。
「餌がいいんじゃないか」なんてね。
・観察力、つくかな?
そんでね、車を置いて雑木林を歩いて、公園で遊んだよ。
谷戸の地形を利用した公園だよ。
・大きな公園?
ま、ね。それがさ、人が全然いなくて、貸し切りみたいだったよ。
・ほんと?
サッカーも野球も俺とヒデだけで、たっぷりできたよ。
・ラッキーだね。
これこそ、無料で遊びまくったよ。
朝イチバンで行ったフィールドアスレチックは満員でね。
・フィールドアスレチックも自然が多いんじゃない?
うん、あそこも谷戸の原形を利用しているじゃないかな。
・よっぽど谷戸が好きなんですね。
俺が子どものころはさ、団地の裏がずっと谷戸でね。
・あら、また、昔話ですか?
いや、現在につながる話だよ。
・でも、今は雑木林も田んぼもないんでしょ。
いや、まったくないわけじゃなく、残っているんだよ。
もえぎ野公園にふれあい樹林、そして川沿いの田んぼ。
どれも、俺にとっては大事なものだ。
・そう。
ふるさと、だよ。
・それをどうするの。
ふるさとは遠きにありて・・・
・遠くないでしょ、しょっちゅう行っているじゃない。
そうだね。
・言っていることがわからない。田んぼや雑木林はどうなるの?
こどものころは、遊び場だった。
今は、谷っ戸ん田では、生産にかかわれている。
・それも遊びのようにも見えるけど・・・
農は、谷戸をふるさととして次世代につなげる手段だ。
崇高な営みだ。
・そう、思っているってことですね。現実はどうだか???
農があるから緑がある。
今日はその緑の中に身をおいてヒデと楽しんだ。
・ヒデは何を考えているかな?
うん。
ヒデのふるさとはどこになるのかな?
・別に一ヶ所じゃなくてもいいでしょ。
そうなんだよ。いくつかのふるさとがあってもいいよね。
とにかく遊んでくれるうちに谷戸で遊びたいな。
(いしだのおじさん)