石田のおじさんの田園都市生活

第73回 告白

2014.9.30
いしだのおじさんの田園都市生活

稲刈り、ゴクロウサマでした。
・うん。
どうだった?
・う~ん。
???
・もちろん、楽しかったよ。
ヒデは行かなかったけど、、、
・ハマスタの約束があったからね。
そして、サヨナラ勝ち!6連勝!
・えっ?
ベイが6連勝じゃなくて、ヒデが観に行ったベイ戦が、だよね。
・6戦6連、って言うんだよ。
ねぇ。
・だって、チームの勝率は確か去年は3割台だよ。
う~ん。恐ろしい強運だね。
・そんなところで運を使わなくても、、、
まったくだ。というか、このコラムにそんな話題?
・稲刈りと全く関係ない。
ヒデと稲刈りが関係なくなっちゃった?
・ま、しかたないよ。子どもは親を裏切り続ける。
でも、その前の週は山に行ったよね。
・そうだった。檜原村。東京チェンソーズ。
憧れの東京チェンソーズ。
・俺の憧れだよね。農大探検部。
木登り。
・ツリークライミング、って言うんだよ。
楽しかったみたい。
・こんな田舎が東京なの?って、言っていたけど、ね。
お兄さんやお姉さんがやさしかった、って。
・うん、おじさんたちもやさしくて、薪割り教えてくれたよ。
でも、お兄さんやお姉さんのほうに親近感があったんでしょ。
・そんな若者たちが身近な林業の場にいることが嬉しいよ。
ヒデの憧れ、モデルになるといいね。
・うん、期待しているよ。期待しないで期待するよ。
そうだね。
・それに30代くらいの女性が大勢いたよ。
それはヨカッタねぇ。石ちゃんも。
・今まで山で元気なのはチュウコウネンばかりだったけど、今は山ガールも。
林業女子も。
・うん、そういう時代になってきた。
どういう時代だか?
・で、稲刈りの話。
そう。
・今回、初めての現場で初めての人たちと作業した。
今年は田植えもそうだったんじゃないの?
・いや山梨北杜じたいは何度も行っていたじゃん。
そうか。
・でも、いっしょに田植えしたのは法人内の他事業所の若き同僚たち。
田植えはして、稲刈りはしないわけ?
・ま、そういうことになって、で、今回は横浜。
そ。
・新治で借りている畑の地主さんの田んぼ。
どうしてそういう展開?
・いろいろ事情があるんだけど、まずは職員研修。
(よくわかんないけど)ふうん。
・そして、6年生のTくんがヤル気まんまん。
Tくん、いい感じ。
・だろ。
それが事情?
・いや、まぁ、、、
またまた歯切れ悪いですね。
・ま、大人の事情は置いておいて、ヤル気のある若い人がいてくれるのはアリガタイ。
それは、そうですね。
・若手だけじゃなくて、おじさんおばさんも頑張った、けど、、、
けど?何?
・やっぱり若手に期待しているし、若手がいると現場が楽しい。
なんか写真を見るとすごい若手というか、子どももたくさん。
・そう、地主さんのうちの6歳と5歳。と、そのお友達。
スゴイね。思いっきり泥だらけ。
・もう、水に突撃するし、泥を身体に塗りたくるし、感動的!
なにが感動なのよ。
・えっ?感動しない?
親は心配だし、ステキなTシャツが泥染めになっちゃって、、、
・いやいや、見ていてコーフンしたよ。
(呆れる)
・俺もいっしょにやりドロンコしたい誘惑にかられたよ。
(アホか)
・いっしょにいた久保さんも藤田さんもFBで感動を伝えている。
(どうして?わからない?)
・Tくんの母も、健康的な野生児になりそう、って笑っていたよ。
はいはい。
・ま、彼らの母は怒っていたけどね。
それが普通。
・いい地主さんと出会えたな、って思うよ。
そうですか?
・Tくんは稲刈りしながらお祖母ちゃんにいろいろと質問していた。
質問力のTくん。どんなこと聞いていたの?
・わらの使い方とか、籾をまくと芽が出るのか、とか、、、
興味が尽きないみたいですね。
・そう。お祖母ちゃんも喜んじゃってね。
Tくん、将来有望?
・籾を拾って、ポケットにつめていたよ。
畑もやった?
・そう、サトイモ、サツマイモ、エダマメと収穫したり、、、
楽しんだ?
・うん。興味が強いから、リアクションが良くて、ね。
じゃ、石ちゃんも楽しかった?
・そりゃあ、もう。Tくんが来なかったら暗かったよ。
子どもたちのドロンコを見て感動したんでしょ。
・そうだった、そうだった。
もう、話がブレてる。
・ゴメン。
そして、告白でしょ。
・はぁぁ(タメイキ~)
ナンナンダ。なんの告白?
・いや、ケミカルだよ。

・FBにも載せたよ。「ケミカルを振ってしまいました」って。

・今日、maaruのアラシロくんが畑に来たんだけど、さ。
うん。
・「ケミカルですか、石田さん、「いいね!」押せませんでした」って。
そんなに問題?
・いや、どう考えるか、でしょ。
石ちゃんの方針は?
・俺の方針は、「俺の方針でやらない」、ですよ。
は?、、、また、わからないこと言う。
・いや、つまり、俺の畑じゃないからね。
誰の畑?
・利用者さんたちの畑でしょ、そりゃあ。法人の畑でもある。
なんか、無責任な言い方じゃない?
・う~ん。有機にこだわって植える野菜ができなったら問題だよ。
それはそうですね。
・別に売り上げにノルマがあるわけでもないけど、ね。
そうなんだ。
・ゆる~くやらせてもらっている。
ところで、ケミカルって、何?
・ハハハ、それがワカラナイで話していた?
ま、そういうことになるかな。
・そのほうが無責任じゃん。
どうしてぇ?
・雰囲気でゼンアクを判断している。
いや、ゼンアクとまでは考えていないけど、、、
・空気に流されている。
いいから、教えてよ。
・追肥専用の化学肥料をね、パラパラと、ね、
な~んだ、そんなこと?
・え、えええ、そんなことが大問題なんだよ。いや、小問題かな?
そもそも、何のため?
・畑の土づくりが間に合わないからだよ。

・草もあまり生えないような貧弱な土で、野菜が育たない。
うん。
・育たないのを甘んじて見ているわけにもいかない。
うん。
・糠や鶏糞や油粕などもまいているし、ボカシも作ってまいた。
はいはい。
・しかし、それでも生育に不安が残る。だから、金肥、キンピ。

・化学肥料が使われ始めたころ、それは金肥と呼ばれていた。
金でできている?
・アホか。金で買う、ってことだよ。金で買うコヤシ。

・まぁ、昭和30年代ごろまでは、コヤシは当然作るものだった。
買うことはめったになかった?
・というか、売っていなかったんじゃないか?あんまり。
そうかぁ。
・人糞、家畜糞、刈り草、落ち葉などなど。
そういうものを集めて作るんだ?
・俺が子どものころは青葉台にも肥溜めがあったし、家畜もそれなりにいた。
ケミカルは無かった?
・いや、あっただろうけどね。
でも、コヤシもあった。
・そう、30年代、郊外では炭を焼いて荷車で街で売って、帰りには人糞を運んだ。
へぇ。
・今の都心では人糞の争奪戦もあったらいしよ。
へぇ。で、石ちゃんの畑の話に戻さなきゃ。
・だから、俺の畑じゃないんだって、、、
でも、利用者さんや法人が「ケミカルだ」って、言うわけでもないでしょ。
・そりゃあ、そーだけんど、、、
やっぱ、石ちゃんが決めたんじゃないかぁ。
・とりあえず、畑の半分にだけまいて違いの観察もしているよ。
どうして?
・そりゃ、金肥でも必ず効果があるとは限らんし、、、
効果が無けりゃ、もう、使わない。
・もちろん。
ホントは使いたくないから。
・もちろん。
じゃ、最初から使わないほうが潔い。
・うん。でも、、、
はっきりと効果があったら?
・そう、それなんだよ。
怖いね。
・効果があるのにやめる方が難しい。
いやぁ、一線を越えてしまったね。
・うん。
でも、なんでケミカルがいけないわけ?
・そりゃあヒトコトでは言えないよ。
ヒトコトで言って。
・野菜の見てくれはよくなるけど中身には問題が起こる。
へぇ。
・それに、環境にも悪影響をおよぼす。
じゃ、ダメじゃん。
・そして、コヤシを作らないと百姓は堕落する。
ずいぶん、エラそうに言いますね。
・うん、これくらいでやめておくよ。
結局は?
・これから土づくりを頑張るよ。今は、カンベンシテください。

(石田周一)