第66回 ある谷戸で その3
2014.3.1いしだのおじさんの田園都市生活
パシフィコ横浜で研修会?
・俺には似合わないよね。職員が300人以上集まってね。
スゴイ人数。
・知らない人ばっかりだよ。ま、横浜だったから、終わってすぐに食事会に行けたよ。
石ちゃんは年上の方でしょ。いい話ができた?
・小グループでのディスカッションでは若者にアドバイスしたよ。いちおうね。
どんな?どんな?
・多様性が大事だって。
そこでも多様性?どういうこと?
・自分の中に多様性を持とうよ、って、ね。
ふううん。抽象的で意味不明じゃない。
・いや、そんなことないよ。一つは他の法人や他の事業所で体験をさせてもらって、普段とはチガウ場に身を置いて体でものを考えてみよう、でしょ。二つ目に、障害者福祉の歴史を知って、これは書物や映画だよね、今とはチガウ社会状況からも学んでみよう。そして、三つ目に趣味などで異業種の友達を持って、酒飲んで福祉以外の世界からものを見てみよう、って、ちゃんと具体的に三つも挙げたんだよ。
なるほど。酒はよけいだけど、たまにはちゃんと仕事しているみたいね。
・いや、みなさんマジメすぎで、同じ方向ばかり見ているようで気持ち悪かったから。
石ちゃん、アマノジャクだもんね。
・多様性のためにそうしているんだよ。
そう?
・で、谷戸の話だけど、、、
またまた、ゴーイン。
・「多様性」といえば谷戸でしょ。
それもかなり強引グまいうぇい。
・今、俺は谷戸のことばかり考えている。
どこの谷戸?
・それが、あっちこっち、で、もしかしたらまだ見ぬ谷戸かもしれない。
えー、わかんない。具体的じゃない。
・具体的に谷戸遍歴を語ってみようか。
どうぞ。
・グリーンの仲間たちと10年ほどを過ごした谷戸では、斜面の畑でシイタケの栽培などをして仲間たちはたくましく育ったし、職員も農作業で体を動かして共に育つことを学んだ。(この経緯は拙著『耕して育つ』(コモンズ)に詳しい、です)
うん。
・桜がキレイなところだから、こんど行こうよ。
今、そこはどうなっているの?
・グリーンが使っていた部分は市に寄付されて公園みたいになっている。
みたい、って、どういうこと?
・ここではその話は省略。
ま、いいけど。
・グリーンが始まるよりもっと前、休日にときどき訪れていた谷戸もある。
だいぶ前の話ですね。
・30年は経っていないけど、25年は経っているね。
私は何していただろう、、、
・このコラムの第12回に書いたんだけど、都会の職場に通っていたころの話。
へぇ。何していたの?仕事?
・それもここでは省略。都会で疲れて谷戸に吸い寄せられて、深呼吸していた。
ヘンな人。
・そのころはいずれ田んぼを耕すなんて思っていなかった。ただ見ていた。
そうなんだぁ。
・あとは歩いたり走ったり自転車乗ったり、写真を撮ったり、、、
そこはどうなっている?
・しばらく行っていないけど、今は耕す人がいないんだと思うよ。
残念ですね。でも、残ってはいるんだ。
・そう、山奥だからね。開発はされない、と、思う。
そんなところがあるんだ?
・でも、田んぼだったところが藪になってしまっているだろうな。
悲しい、ね。
・周囲には老人ホームは建っているけどね。
老人ホームなら開発もできる?
・そうなんだよ。その周辺で「農に学ぶ」と田んぼをしているNPOがあるよ。
そう。石ちゃんはそこには参加しないの?
・うん、何度か顔を出したことはあるけど、ね。また、いずれお邪魔しようかな。
でも、また、新しい活動も始まるしね。
・今までは、谷っ戸ん田にも行っていたしね。
行かなくなってどうですか?
・淋しいけれど、なんか解放感もある。
そんなこと言っていいの?
・うん、複雑だけど、もうまた新しいことを考える方がいいからね。
前向きに、ですね。
・本当はちゃんと総括をするべきだと思うんだけど、いろいろね。人それぞれだし。
そこで消耗しても、ね。
・今度の活動は、まだ見ぬ谷戸だよ。と、いうか、どうなるか見えていない部分が多い。
知らない場所じゃないでしょ。走っていたんでしょ?
・そう、急坂でトレーニングしたりしていた。若かった。
今は?
・歩いて登るよ。それとも鍛えなおすか?
???
・谷戸だけでなく森も深いんだよ。
へぇ、横浜ってスゴイね。
・2年前に職場も替わって、今度のメンバーもまだまだ新しい付き合いだし。
新鮮ですか?
・新しいことを始めるワクワク感と、不安も少々、と、ヒラキナオリと。
石ちゃんはもうおじさんだけど、ね。
・うん。若手を育てる場にしたい。利用者さんももちろんだけど、職員さんだよね。
頑張れ!
・考えると、ずっと前の子どもの頃も谷戸があった。実家のまわりも谷戸だったんだよ。
谷戸、谷戸、谷戸、ですね。もう、私にはわからない。想像つかない。
・それぞれの谷戸に個性がある。多様性だ。
と、いうか気が多い。あちこち渡り歩いている。
・うん。それはホメられたことじゃないかも。一所懸命じゃない。
浮気性?イヤァね。
・渡り歩くことを目指していたわけじゃない。意図してそうしたわけじゃない。
女性はどうなの?
・なんで、ここでそんな話?
ははは。どうぞ、新しいこと、頑張ってください。
・新しい子?
バカ。
・今度の春の迎え方を少し具体的に話してコラムをしめたい。
閉めるの?
・いや、閉店じゃないよ。引き締めるんだよ。
せっかく、新しいことをするんだもんね。で、具体的には?
・乗用耕耘機と管理機マルチャーと自走式草刈り機を買った。いや、買ってもらった。
?
・ヤンマーのアグリカ、クボタのべジマスターとカルマックス。
??
・面積を考えるとトラクターは必要。それを乗用耕耘機でなんとかする。
聞いただけじゃわからないけど。
・そしてマルチャーがあれば、イモ類などの畝はすぐにできる。
そうなんだ。
・手でもできるけど、やってられないよ。日が暮れちゃう。
そう?
・そして草刈りも刈り払い機は利用者さんには危険だけど、カルマックスならOK だよ。
へぇ。
・いずれも、「利用者主体に機械作業を進めるため」って、起案書に書いたよ。
ふうん。
・「畑は広いから機械は必要。管理と効率性と生産性のため」とかなんとか。
危なくないの?
・だから、効率優先だけでなく障害のある人でも使える機械を選んだ。
そういうものがあるんだ?
・いや、操作を簡単にしたユニバーサルな機械ということで障害者用ではないけどね。
でも、いいですね。
・うん。きっと利用者さんはよろこぶよ。電車や車が好きな子たち多いから。
そう。
・車の免許も夢の夢という人もハンドル握ってゴーだよ。
で、どんな野菜を作るの?
・まずは初心者でも確実というものを中心にね。チャレンジも少々ね。
具体的には?
・うん、次回それはまた次回に、ね。お楽しみに、ね。
わたしだけにちょっと教えてよ。
(本名:石田周一)