石田のおじさんの田園都市生活

第61回 稲刈り(稲束ね)2013

2013.9.30
いしだのおじさんの田園都市生活

稲刈り、おつかれさま。
・うん、ヒデもそこそこ頑張ったよ。
それで、バッティングセンター?
・ま、ご褒美としてはいいんじゃないか。ゲームなんかより。
まぁね。どう頑張ったの?
・バインダーっていう機械で稲刈りをしたんだよ。
へぇ、危なくないの?
・みんな、そう思うんだけどね。大丈夫なんだよ。
なんか、恐いなぁ、、、
・農業の機械には危険なものもあるけれど、ね。
私も田舎育ちだから聞いたことあるよ。事故のことは。
・でもね、バインダーは速度がゆっくりだからね。
そうかぁ。
・刃物が高速回転しているわけでもないし、、、
草刈り機やチェーンソーはコワイよ。
・バインダーで事故が起きるのは斜面とかトラックへの上げ下ろしなんだよね。
稲刈りではおきない?
・そういうことだね。コース取りのミスとかはよくあるけどね。
えっ?
・稲の列から外れて、稲をなぎ倒しちゃったりすることだよ。
どうするの?
・いや、バックして戻ればいいわけで、大丈夫だよ。
ヒデは、どうだった?
・ちょっとミスると「俺、もういい、やめる」とか弱音出ていたよ。
ははは。
・まぁ、性格が出るかもね。Yくんなんか、少々のミスは気にせず楽しんでいたよ。
あの子は2歳から谷っ戸ん田に来ているベテランだもんね。
・そ、だね。でも、最近野球とかやっていてあまり来ないんだよ。
残念でしょ。
・シカタナイね。子どもは大人を裏切って成長する。
うん。
・機械は大人も積極的にやりたい人と、ミスを恐れて手を出さない人といるよ。
へぇ、免許があっても車を運転したくない人みたいかも。
・免許を取ろうともしない人もいるよね。
ははは。
・バイクが好きか、乗りたがらないか、にも似ているかも、、、
で、バインダーって、どんな機械?
・あはは、それ、説明していなかったね。
名前が書類の山を想像させて、嫌なんだけど、、、
・だはっ! 稲を刈って束ねるんだよ。
束ねるって?
・稲は刈ったら束にして紐で結わいて、それを竿にかけて干すわけじゃん。
そうだったっけ?
・見たことない?
うーん、なんか思い出せない。
・最近ではバインダーでなくコンバインだからね。
えっ?
・バインダーは刈って束ねるわけだけど、それをしばらく干してから脱穀する。
うん(わかるような、わからないような)
・竿にかけるのは、ハザカケ(稲架掛け)っていうのが一般的だけど、、、
聞いたことあるかも、、、
・横浜では、掛け干し。オダガケっていう地方もある。千葉のほうかな。
ふうん。
・先週行った山梨では、「牛にかける」って言っていたよ。
へええ。
・それにね、掛け方にも地方色があるんだよ。形もチガウ。
どんな?
・東北のほうじゃ一本の竿を立てて丸く架けていく。
それって、気候のチガイがでるのかな?
・一度ホンモノを見てみたい。現地で、、、
なんで?
・楽そうだもん。竿を組まなくていいから、、、
楽することばかり考えて、、、
・それはともかく、バインダーとコンバインの話だよね。
そうだったっけ。(興味あるような、ないような、、、)
・そうだよ。コンバインは刈ると同時に脱穀するんだよ。
だから?
・だからって、稲を干す話じゃん。コンバインが刈ると稲を干す姿がなくなる。
そうかぁ。
・ま、バインダーは昭和の機械で、コンバインは平成の機械、かもね。
そうなんだ。
・いや、コンバインも昭和からあったけど、横浜で増えたのは最近だよ。
へぇ。
・で、ね、コンバインなら竿に干す手間の分人手を減らせる。
それは、いいね。
・いや、これを単純にいいとは言えない。
どうして?
・やっぱり、田んぼは大勢でやったほうが楽しい。
それは、素人の場合でしょ。趣味っていうか、、、
・まぁ、そうだけど。どっちがいいとか単純化はできないという意味だよ。
はぁ?
・うん。人手を省くということは、家族が協力する機会の喪失でもあるんだよ。
そういうとらえ方もあるか。
・まぁね、家が農家でも手伝いたくない人もいるだろうけど。
まぁ、家業の手伝いが宿命である時代ではないからね。
・でも、家族で協力して自分たちの食べる米を作ることは、、、
作ることは?
・尊いと思うんだよね。
そうだけど、機械がどっちかで決まるものでも無いと思うけど。
・見ていて全然違うんだよ。
そうかぁ、、、
・風景って人が含まれるものだと思うんだ。特に田んぼや畑では。
そういわれればそんな気もする。
・自然があって、そこで汗を流す人の姿があることが、俺は好きだね。
うん。
・機械がワガモノガオしているのは、なんかね。
でも、農家さんは風景のために田んぼをしているわけでもないでしょ。
・それはそうだけど、、、
でも、風景は大事だよね。
・そうだろ。風景は金を取らないけど、風景には金がかかっているんだよ。
金?
・いや、そういう言い方はマズイな。金じゃなくて、汗だ。
うん、金と汗をイッショクタにしたら、あなたの普段のお説とチガウでしょ。
・マズイマズイ。
思わずホンネが出ちゃったんじゃないのぉ?
・いやいや、コンバインとバインダーの値段が全然チガウってことが頭にあって・・・
そうなんだ。
・バインダーは50万円しないけど、コンバインは500万円はするよ。
そんなにチガウんだ。
・単に昭和と平成のチガイじゃあないね。
それにしても、刈るのは分かるけど、機械が結ぶってスゴイね。
・だろ。みんなびっくりするよ。
うん。
・特に今日なんか、最初、手で刈って手で結わいていたからね。
うん。
・機械が出てくると思わないイチゲンサンはそれが稲刈りだと思うわけじゃん。
意地が悪いね。
・いや、たまたまダンドリがそうなったんだけど。
そうなんだ。
・今日は初めて谷っ戸ん田に来た人が大勢いてね。イチゲンサン。
ええっ、それはよかったね。
・里山レンジャーズっていう取り組みがあって、そこの人が10人来てくれた。
助かったでしょ。
・まあね。
何、その言い方。
・うん。自分たちだけでさっさとデキないところがちょっと悔しくてね。
だからって、せっかく来てくれたのに、「まあね」はないでしょ。
・はい。
わかればいい。
・で、ね、まずは俺がエラそうに刈り方と結わき方を説明する。
偉くないのにね。
・はい。
わかればいい。
・とにかく、説明をして、そうするとみなさんやる気があるから頑張る。
そりゃそうでしょ。
・そこに機械が登場すると・・・
なんだよ、手でやらなくてもできるじゃん、って?
・いや、そんなことないよ。そんなこと誰も言わない。
そっかぁ。私なら言っちゃうけどね。
・機械は機械で「スゴイ」なんて言いつつも、負けじと手を動かすんだよね。
機械任せにしない。
・そう。やっぱやっぱ手を動かすのが楽しいんだよ。
谷っ戸ん田のフンイキが良かったんじゃない?
・そうだといいけどね。
楽しんでもらえたらいいよね。
・それで、(園主の)Tさんも「みんなに機械やってもらったら」って言ってくれて。
初参加で機械も運転できて、楽しさ2倍かもね。
・うん、それでまた参加してくれたらいいよね。
そうだね。

(本名:石田周一)