石田のおじさんの田園都市生活

第29回  農薬は絶対的な悪か

2011.2.1
いしだのおじさんの田園都市生活

化学肥料や農薬を使わずに米や野菜ができたら、
それはスバラシイことだと思う。
「有機栽培」というやつだ。

化学肥料や農薬は自然のものではない。
それを土や植物や虫などにまくのは、
やはり基本的にはよろしくないことだろう。

グリーンでは「ほぼ有機栽培」で米や野菜ができている。
化学肥料や農薬は意識的には使ってはいない。
しかし、混入はある。
いや、混入を排除できていない、というべきか。
苗を作るときの床土には化学肥料が入っているし、
苗自体を買った場合、農薬もかかっているかもしれない。
あと、種自体にすでに農薬がまぶしてあるものもある。
こういったものをすべて排除して、
完全な「無農薬」にするのはなかなかに困難だ。
だから、ちゃんとした有機栽培ではないので「ほぼ」をつける。
お店の看板は「無農薬やさい」とあるが、
これも「ほぼ無農薬」とすべきか?
まぁ、意図して畑や野菜には薬をまいていないということで、
ご勘弁ください。

とりあえず有機栽培はスバラシイと思う。
が、
それに対して普通の農業というか慣行農法、
農薬や化学肥料を普通に使う農業はイカンか?
どうだろう。

「普通に使う」は使用基準の範囲で使うこと。
普通より少なく使えば、「減農薬」とか「低農薬」などという。
普通より多く使うことを「増農薬」とか「高農薬」とは・・・
聞いたことないですね。

不肖ながら、私、有機農業の方たちとのおつきあいもある。
昨年も何回か集まりに参加させてもらった。
しかし、地域でお付き合いしている農家さんはほとんどは、
「普通の農家」だ。
おそらく日本中のほとんどは「普通の農家」。
「有機」であるかそうじゃないかで色分けするのは、
どうも、かえってイゴコチが悪い、
と、も、感じる。

「農薬を使いたくて使っているんじゃあない」と、
知り合いの農家さんに言われたことがある。
ちょっとでも虫が食っていたら商品価値がなくなるから、
やむなく使っているということだろう。
使うことの「痛み」もあるということでもある。
「消費者が悪いんだ」とまでは言わなかったが・・・
消費者の、もしくは流通のニーズで農薬はまかれている、
ともいえるかもしれない。

逆に消費者と生産者の顔の見える関係の中で、
少々虫が食っていても、
また、少々化学肥料や農薬が使われていても、
美味しく食べられる場合もある。
そういう流通、そういう消費者に生産者が勇気付けられて、
減農薬や減化学肥料が進むこともあるかもしれない。

さて、
化学肥料や農薬は、
水俣病やベトナム戦争での枯葉剤とつながる部分がある。
どういうつながりかは、ここで詳述はしない。
水俣病やベトナム戦争を忘れてはいけないが、
そのことから化学肥料や農薬は絶対的な悪ととられるのは残念だ。
批判されるべきは、化学肥料や農薬の存在そのものではないだろう。

また、
有機栽培は普通の栽培よりランクが上のようにいわれるが、
必ずともそういえない。
しっかりとした栽培管理の中でやむなく薬をまく場合もあれば、
農薬は使わないがいい加減な栽培もある。
前者がちゃんと野菜を収穫し、
後者が野菜を全滅させたら・・・
そういうこともある。
有機栽培をやっているけど、野菜の収穫が不十分で、
結局自分も普通の野菜を買っている有機農家もある。

あれれ、それって、グリーンの「ほぼ有機栽培」のことかなぁ?
グリーンの場合はレベルが低いから農薬を使っていないのだ。
農薬をきちんと扱う技術がないから使っていないのであって、
農薬以上の技術で栽培管理ができているわけではない
そんなやりかたでできるものだけがとれているということだ。
技術のランクは低いから、
失敗も多く、確実な生産ではない、
が、できた野菜はそこそこのものではある。

(いしだのおじさん)