第80回 田に五色の穂が実りました。
2023.10.1映像の持つ力
田んぼでは、五色の穂が実っています。
晩生(おくて)の、緑米をのぞいて、他の稲は、ずいぶんと穂先が垂れさがっています。
分けつ振りもなかなかです。
というのも、この稲、田植えではなく、 7月の中干し時期に 植え替えした稲なんです。
雨が少ないうえに酷暑のなか、よく育ってくれました。
あら、田んぼに白鷺が羽を残しています。
水か枯れて乾いた田の表土には、誰かの足跡があります。
どうやらこの足跡、アライグマのようです。
何を食べたのかしら?カエル、ザリガニ???
そうかぁ、50年ぶりに水が流れた水路の側面には、びっしりずら~とアメリカザリガニが並んでいました。
もしかして、アライグマは、流しそうめんではなく、流しザリガニを楽しんだのかしら?。
新しい畑に蒔いたソバの花が咲きました。
ソバは収穫できるまで75日。成長が早いですね。
考えてみると、アメリカザリガニもアライグマ、もともと日本にいなかった生きもの。
ほんの50年、100年で、個体数を増やし生息域を広げ、現在、どちらも日本の侵略的外来種ワースト100※に選定されています。(※日本生態学会選定)
その土地独自の生物の多様性は、40億年もの時をかけてつくられた息づく命の営みとひとつながりです。
外来種自体は、時間をかけてその土地で生き残る適応力を獲得しただけ。
とは言え、うちの田んぼの水路に所狭しと並ぶアメリカザリガニを目の当たりにすると、人の都合で生態系に手をかけたことの結果が軽くないことが、ひしひしと感じます。
うちの小さな森のある畑は、肉食のスズメバチが昆虫を物色しによく訪れます。
スズメバチは体が大きいから、ふとした出会い頭に、驚くときはあっても、野菜の葉を食べる虫を食べてくれるから大歓迎です。
先日は、スズメバチが小さいハチを捕まえたハチで、幼虫に食べさせる肉団子をつくっていました。
これは観察できるまたとないチャンス、少しドキドキしつつ近づくと、スズメバチはどこかへ飛んでゆきました。残念。
どの生きものも、その命はだれかの命の糧となり、他の命に支えられ生きていますね。
人間も生態系の一部。
人は他の生き物から捕食される事がないうえに、
こんなに人の暮らし方が、自然を壊しても、太陽は変わらず今日も出て、生きものすべてに命の源を注いでくれます。
植物は太陽エネルギーを変換して、あまり余るほどのたべもの、そして種を、わたしたち人間に与えてくれます。
生きものがにぎやかな、畑や田んぼにいると、元気になります。
ここは、人が生態系の一部だということを実感できる場所ですもんね。
(中川美帆)