第95回 広さ10倍、収穫量は同じ。はて??

2025.1.1
映像の持つ力

今年(2024年)のお米は、脱穀、唐箕掛けまで終了です。

やっとここまで来ました!!(12/30現在)

(・・食べるまで、ほんと、時間がかかる。)

 

広さ約2.5畝(250平米)ほどの田んぼは、6種類の稲が出そろいました。

道路から田んぼを見渡すと、なんと、きれいなことでしょう。

紅色が縁取り、紫、黄金、焦茶、薄桃・・それぞれの色をおびた穂が風に揺れています。

 

4月下旬に種下ろし作業に入り、かれこれ半年が過ぎた11月17日に稲刈りスタート。

ところが、天日干しのために稲架に掛けた稲は5種類だけ。

6ヶ月の間に、何が起きたのでしょう?。

 

さらに、稲が軽ーい。

稲を刈るたびに、穂の重さを、この手にずしっと感じていたのに。

お米の収穫量は、およそ去年と同じぐらいではないですか。

 

同じなら良いのでは? 違うのです。作付面積が。

去年植えたのは、種採りだけなのです。広さは、ほんの20平米ほど。

今年は、2.5畝の田んぼの、ほぼ全体に植えたから、広さは200平米ぐらい。

 

稲を植えた広さは10倍。でも、お米の収穫量は同じ。一体どういうこと??

2年前まで続けた一畝の田んぼは、13年、継続的に30kgほど採れていました。

去年の収穫量は、面積あたりで言うと、今までで一番多い収穫量でした。

しかも、今年は、ホウネンエビ(豊年蝦)が現れ、伝承的にも豊作間違いなし!!

 

ところが・・、稲カメムシが現れたのです。

穂が出て花を咲かせ受粉すると、稲は籾の中を太陽を浴びて光合成により作られた、でんぷんで満たす登熟期に入ります。

稲カメムシは、まだ籾の中がミルク状で固まっていない穂を選び、次々と吸いとってしまったのです。

 

紅色に穂を染めた神丹穂は、ほぼシイナです。まさかねと、幾つもの穂を確認すれども空籾ばかり。

なすすべはなく、稲刈りした神丹穂は倒し、稲架掛けすることなく田にかえしました。

 

そうです!ホウネンエビ(豊年蝦)の伝承に、間違いはありませんでした。

稲の本体は、立派に育っていました。稲カメムシが来なければ、15年間で一番の収穫量だったでしょう。

 

立派な稲ですから、良い藁が採れました。と言うことは、来年の肥料は申し分なし。

この異常気候の中で、新年に使う、種籾分も確保できているから、ありがたいことです。

長い目で見ると。どんなことが起きるでしょうか。

 

人も自然の一部。であることが、うれしい。

ノラしごとは、人も自然の一部であることを、実感できる時間。

 

一本一本、稲の苗を手植えしたそばからアメリカザリガニに稲を切られても、田に立ち一本づつ捕植します。

稲カメムシの到来や、アメリカザリガニ、異常気候、観察して工夫して乗り越します。

工夫は、自然の摂理の中で、人間が人間たらしめるもの。

 

うちの、小さな森のある畑や田んぼは、耕さない、肥料を入れない、農薬も使わない
ないないづくしなんだけど、生きものがいっぱいで、にぎやか。

新年も変わることなく続きます。

 

私たちも、生きものの、いのちの環の一員。

 

(中川美帆・小さな森のある畑)

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