第96回 にんじんの味わいをつくるもの。植物は太陽エネルギーの転化ぶつ。

2025.2.1
映像の持つ力

なんとおめでたいことか。

旧正月の10日前、わたしたちの、小さな森のある畑の正面に、門松が出現です!!

素敵な新年のしつらえが、わたしたちを出迎えてくれました。

もぐら塚です。

 

こしらえたのは、モグラ。

土が小高く盛り上がり、まるで一対の塔のよう。

土壌の中で生きるモグラ。あなたが土を掘るひとかきは、つながる命といかに連鎖し、土壌の生物に作用しているのでしょう。

あなたのひとかきが、私たちがいただく、野菜の味わいの濃さ、密度にどれほどの影響を与えていることか。

モグラさん、ありがとう。

 

生態系は、お陰さまの関係

地上で太陽の光をうけ光合成する植物。その植物の根元に広がる土壌の生きもの。

ここには、植物と相性の合う微生物などの土壌生物が引き寄せあい、生産と交換の係わりがつくられている。

生態系の生きものは、自ずとあるがまま。それでいて、与え、与えられる緻密な連携にあります。

なにかが突出して増えることを許容しながら、増えるわけでもなく、減るわけでもなく。

畑一面を覆うほど茂る草は冬がくると立ち枯れ、隠れていた地表の草が日の目を見ます。

 

そうか、わたしたち人間の、いのちに必要な食べ物は、植物が太陽エネルギーを転化したもの。土壌の生物と変わらない。人も生態系の一部です。

 

世界で一番効率がいいもの、あれこれ

夫君が始めた、うちの、小さな森のある畑。16年目に入りました。

どんどん自給率が増えている。

農業資材も現地調達。

 

オクラの枯れ茎は、絹さやの支柱。髭蔓は、稲わらで誘引。

キクイモの枯れ枝に、百舌鳥の早贄

救荒作物の芋タワー

カボスの塔

ヘチマのタワシ 安心も自給できるのね。

 

耕さない、肥料を入れない、農薬を使わない。無い無いずくし。

木の抜根も手で掘り返します。

 

地中は、生命力がすごい。木の高さと同じぐらい直根が伸び、枝の広がりぶん側根が根が伸びている。

 

ノラしごとをしていると、先人たちが里山をつくりだした自然観は、土壌の菌でさえ、見える、見えないもの、という分別ではなく、あることが自然。自分たちを含めた命とのひとつながりで、現代が見えないものと区別する存在を捉えていたと思わずにはいられません。

人は、今までずっと、これからも、自然の一部。

(中川美帆・小さな森のある畑)

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