第93回 コガネグモを連れてきちゃった
2024.11.1映像の持つ力
あのとき撮っておけば・・・。 田んぼの写真です。
夕焼けの空と。紅、紫、緑、黒、薄紅、黄金など、六色の稲穂が揺れる田んぼ。なんと美しいことか。
田んぼを覆う、工場で作られた赤い網も、夕映えに染まる田んぼの姿に溶け込んでいる。
今年はスズメ避けの赤い網を、三畝(約300㎡)の広さに張りました。網の大きさは18✕27メートル。
夫は15年目、わたしは6年目の網張り作業。たわわに実る穂をつけた稲をかき分け、稲の上空と周囲に網を広げます。
細かな手順を打ち合わせするわけでもなく、二人それぞれ、様子をみながらの作業。慣れたものだと感心しきり。
やれやれ、作業を終え、田んぼ全体を眺めると、なんときれいな事でしょう。風に揺れる稲穂、田んぼを覆う赤い網も夕映えに包み込まれています。
2日後、様子を見に田んぼへ。
ああ、 網がはがれている。
台風の影響による風速7メートルの強風にあおられ、田んぼの網が半分も、めくれ上がっています。
網がめくれるぐらいのやり直しは軽い方。ごうごうと風が吹きすさぶ中、気持ちを切り替え、被害の状況を確認。
あっ、糸が切れている。
ということは・・ 網の端のループに通した糸も、途中まで抜けています。これ以上糸が抜けないように杭打ち。
強風のさなかでは、網の張り直しは出来ない。被害を広げないように養生まで。修繕は明日に持ち越しです。
網の張り直し作業も慣れたものだねぇ。二人、田んぼを眺め、強風にあおられても倒れない稲の底力にしみじみとする。
アメリカザリガニ、猛暑、水枯れ、大量発生したカメムシ。その上、うちは、肥料も入れない、耕さないし無農薬。
ほんと、稲は、健気に耐えてくれています。
一昨日に網を張り終えたときに見た夕空の田んぼ。
あの調和の美しさは、頑丈なヒエ、アメリカザリガニ、カメムシ、夜中に現れるアライグマなど、生きものと自然の営みの上にある。
そして人間も自然の一部。
田畑にいると、生きものが人を利用する持ちつ持たれつの関係がみえます。それもうれしいネ。
小さな森のある畑
ごめんね。コガネグモの赤ちゃんを家に連れてきてしまった。
にぎやかなベランダ
スズメが帰ってきた!
(中川美帆)