第181回 夏痩せ

2023.9.29
いしだのおじさんの田園都市生活

勤務を終えて直行しても、日没を過ぎ、作業ができない季節となった。
サビシイ。
秋の夜長には、別のサードプレイスを探そうか、、、

レタスの苗を植え終えて、ちょっとヒトイキ。
いや、大きなヒトイキ、かもしれない。
先週植えた白菜、ブロッコリー、は、活着して一回り大きくなったし、
前後してまいた大根、青首、大蔵、三浦、も発芽し、本葉を伸ばしている。
おろぬきがナムルになって弁当に入っていた。

それに、なにより、
猛威をふるっていた草たちもそろそろ落ち着いてくる。
稲刈りも、子どもたちと楽しく、終えられた。

異常な、異常すぎる暑さの夏だった。
一昨年あたり、「来年はバナナでも植えようか」とジョークが飛んだが、、、
今年は、「ああ、もう、猛暑日のない沖縄に引っ越そうか」と、
これは、本気で考えている。
20年前に妄想したエメラルドグリーン計画、、、

空梅雨にも苦しんだ。
「人間がまく水なんかタカが知れているよ」
という師匠の言葉がずっと頭に残っているのだが、
さすがにそのタカが知れている水を、今年はまいた。
畑に井戸があって、ホント、良かった。

夏野菜の収穫が終わる。
ナスやピーマンはそれでもとれている。
今朝も、味噌炒めでたっぷりいただいた。
オクラ、ササゲ、空心菜も夏の名残り。
これからは、大根や蕪の間引き菜、枝豆、落花生。
そして、ネギが太り始め、白菜の間引き菜ができれば、もう鍋か?
里芋、サツマイモも掘り始め、まだまだ小さいけど、それもカワイイ。

種まきは、ホウレンソウやノラボウ菜など、
パクチーは先日まいた。
10月になるとまける種は少ない。
エンドウやソラマメは、今年も畑に作れる場所がない。

植え付けは、11月下旬の玉ネギくらい。
サツマイモの跡地に植えるから、それまでには、サツマイモの収穫を、、、
俺は、大丈夫だけど、あとの二人はどうだろうか?

バタバタして、追われるようにしていた季節は、、、
うん、終わりだ。
しかし、夕方の畑の愉しみも、ああ、終わりだ。
8月末までの畑は、19時ころまで明るかった。
職場からの帰りに長いと2時間、日没までを畑で過ごす至福があった。
今、ホッとしているけど、サビシイ。

どうすれば、より効率的に生産ができるか、
と、考えないわけではない。
でも、それは、稼ぎたいというお仕事マインドではない。
労働と思っていないから、それを削減したいとも思っていない。
もちろん、実りは豊かな方がいいが、畑にいる時間そのものが豊かなのだ。
なかなか説明し難い感覚がそこにはある。
いやいや、自己満足かもしれないね。

とはいえ、上半期を終えて、振り返りの必要はあるな。
良かったこともいろいろ、だけど、反省点も多い。
反省点は、今後に、来シーズンに、いかさねば、、、
PDCA?
かな?

3月から9月末までに収穫できた野菜。
小松菜、ルッコラ、菜花、カブ、春大根、(春菊は失敗)
レタス、ケール、キャベツ、ブロッコリー、
ズッキーニ、カボチャ、スイカ、ゴーヤー、冬瓜、
ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ムカゴ、
ネギ、玉ネギ、キュウリ、インゲン、
トマト数種、ナス数種、ピーマン、シシトウ、
ササゲ、シソ、赤ジソ、バジル、落花生、
空芯菜、モロヘイヤ、オクラ、ニラ、レモングラス、
何か、忘れているモノないかな?ってくらい。
あ、ルバーブもあったな。

常に食卓に畑からの野菜をのせることができた。
「美味しい」と、家族の声。
(最近は、もう、なんか、アタリマエで、、、声も減った?)
特に、トマトやナスが切れ目なく食卓にあったのは嬉しかった。

家族だけでなく、友人、知人、
いろんな仲間たちにも食べてもらえた。
豊かさをシェアできた。
収穫祭ができなかったのは、ちと残念だが、、、
今後につながる動きもあり、(今はナイショ)ワクワクする。

しかし、思うようにいかないこともいくつもあった。
草に覆われて世間体の悪い状態。
これが、イチバンの反省点。
改善策のひとつは防草シートの導入か?
これも、世間体としては問題もあるが、草だらけにしておくよりはいい。
幸陽園農耕班の畑も導入しようかと話している。
あと、マルチは生分解を使おう。

ただ、草が伸びてしまったのは、そこの担当者が、、、
うん、表現が難しくなるけど、(他人のことだから)
つまりは、畑をじゅうぶんに楽しめていなかった結果のように思える。
だから、テクニカルなこともあるけど、
どうすれば、楽しんで畑に向き合えるかという話になってしまう。
そして、そもそも仕事が忙しかったり、
何かしらのやんごとなき理由で、
畑に行きたくても行かれない、
時間的物理的な事情がイチバンなようで、、、
そうすると、策も限られてくるわけで、、、
ああ、

そんな世間体の悪い状態の畑を、
認めているわけでもないだろうが、苦言も言わないSちゃんには感謝だ。
おおらかな男。
(ほかに畑を任せられる輩がおらずに、そうなっているのかも、、、)

先日、Sちゃんが畑に来てくれて、立ち話。
「石しゃん、今年も(田んぼの)ワラいるかい?」
「うん、頼むよ。もらっていい?」
「じゃあ、(稲刈りを委託している)○○くんに、(コンバインで)切らないでくれ、って言っておくよ」
「悪いねぇ、なるべく早くまるって乾かして(田んぼから)片付けるよ」
「やや、いいんだよ。暮れのうちに一回うなえればいいから」
「ホント、ワラはいろいろと重宝するから一財産だよ。Sちゃんとこはいいの?」
「なんか、切って田んぼに入れると田んぼがあふれちゃうような気がしてさ、持って行ってくれると助かるよ」
「ははは、そうなんだ」

去年は、人を頼んで、いっしょに、稲束をまるった。
今年は、一人でやってみようかと、チャレンジしている。
コンバインを通った稲は束になって、田んぼに寝ている。
それを4束で1つのタワーのようにして、先をバインダー紐で結わく。
稲束を拾うには腰をかがめるし、結わくときにはしゃがんだりもする。
いい運動?過酷な労働?
独り黙々と作業していると、瞑想のようでもある。
今朝も通勤途中に10個ほどタワーを作った。
これで、170個。
50個くらいから身体が自然と動くようになったような、、、
身のこなし、って、これくらいはやらないと、でしょうか?
おそらく、あと、50くらいは作るようだな。
田んぼは1反5畝くらいか?
楽しいわけでもないけど、達成感はあるし、
農家なら、これくらいこなすのはアタリマエだろうから、ね。
修行にちょうどいい、かも。

そんな、9月末のおじさん、です。
体重は、春よりも3キロ以上、減。
秋には、肥えたい、な。

(石田周一)