第190回 始める前に

2024.6.30
いしだのおじさんの田園都市生活

昼、弁当箱を開けるのが楽しみだ。
Hキッチン特製のそれは、俺の畑の野菜がたっぷり。
今日は、ジャガイモ、キュウリ、ニンジン、ナス、ピーマン、ズッキーニ、カブ、ダイコン、オオバ、ネギ、そして、イモガラが入っていた。
わーい!
しかし、肉や魚は入っていなかった。
俺、ベジタリアンでも、ましてや、ヴィーガンじゃないんだけど、、、
いや、肉、魚がたっぷりのときもあるな。両方だったり、、、
(豚肉ナスのはさみ揚げとチキンのハニーマスタードという日もあった)

晩酌も、野菜たっぷり。
キュウリはもいで数時間だから、もう、そのまま。
いや、昨日は自家製味噌をつけたな。
ニラを豪快に挽き肉と炒めたのも美味かった。
ズッキーニとトマトでラタトゥイユ。
で、ワイン。
「自給的晩酌おじさん」とSNSに投稿することもある。
ズッキーニ、毎日たくさんで、知り合いに配ったりしているけど、
どんどん、とれていて、もう、責められているかのよう。
それが、また、楽しい。

寄付野菜として地域の子どもや高校生のもとへ行くこともある。
野菜が苦手な子もいるけど、それはそれで。
「美味しかった。ありがとう」ももらえる。
密かな夢として、子どもや高校生と耕し、種まき、野菜作りをして、
彼らがわずかでも「自給」をして、楽しみ、誇れる、こと。
いつか、きっと。

畑にいるときは、
そんなことやいろいろと妄想しながら作業している。
いい時間だ。

ここのところ、
犬と畑に束縛された日々を送っている気がして、
好んでそうしているのではあるが、
田舎でアグリカルチャーばかりでなく、
都会でカルチャーもしたいのだが、、、
基本が菜園生活。

草や野菜に追いかけられる感じではなく、
畑に行くときはワクワクがあり、
予定したことをそれなりにこなし、
種をまけば、芽がでるのを心待ちにし、
生長を見守りながら、収穫し食卓へ、を楽しみ、
人にあげて喜んでもらえることを自分も喜び、
いい感じだ。

そんな菜園生活を、だから、誰かとシェアしたい。
(ぼちぼち仲間ができている)
また、ここでなくとも、多くの人に自給を楽しんでもらいたい。
余計なお世話ですが、、、
みなさん、いかがですか?菜園生活。

で、思うのですが、
野菜を育てよう、菜園生活を始めよう!というとき、
それは、人によっていろいろ、理由も、キッカケも、目指すものも、
いろいろで、それこそ、多様性があっていい、
わけですが、

最近思うのは、、、
始めるときに、そのときに、考えてほしいことがある。
まずは、、、
どれだけ手間をかけられるかの算段が必要だ、ということ。
毎日なのか、週に1度なのか、、、

いや、考えてみれば、
そういう石田も、実際の算段は不十分だった。
こんなに手間をかけることになろうとは、
というか、
畑にいる時間がこんなに長くなるとは、
思っていなかった。

しかし、それでも、
それだけ時間をかけられる状態になったからで、
仕事も生活パターンも変えることができたからで、
それに合わせて菜園生活の中身も変えられた。
なにより、畑にいる時間が楽しいから良いのだ。

5年前にこの畑を始めたころには、
仕事も生活もあまり余裕は無く、
それが分かっていたから、
作付けるものを絞り込んだ。
仲間はそれなりにいたんだけどね。
2区画に陸稲と大豆だけから始めた。
かけられる手間は限られていたが、
どちらも集中的に作業してけっこう豊作だった。
味噌も仕込めた。

今では、8区画に年間30種類以上を作付けている。
(しかも、他人の区画まで作業して、、、)
それだけ、かけられる手間が増えているから、だ。
あの5年前と同じ仕事と生活パターンだったら、
今の作付けは不可能だった。

野菜を育てよう、菜園生活を始めよう!
の、ときに、
「トマトを作って食べるのが楽しみ!」
とか、
「あれも、これも、ホームセンターで苗を買おう!」
とか、
「自然農がいいなぁ」
とか、
いろいろあるだろうけど、
まずは、
「週に1回、1時間くらいの作業かな」
とか、
「在宅勤務の区切りに1日30分は動けるな」
とか、
「仲間と分担すれば週当たりの手間は○人時間」
と、
手間を算段し、
そして、
その手間ならば、
「トマトやナスを○本ずつは植えても大丈夫」
とか、
「あまり時間がとれないなら、芋とネギくらいかな」
とか、
考えておいた方がいい。
何なら、石田がアドバイスをしてあげよう。

あと、
自分の性格というか行動パターンも、分析しておこう。
アキッポイのか、ノメリコミ型なのか、マイペースなのか、、、
失敗(菜園につきもの)に対して、
ナゲダスのか、メラメラ復讐するのか、ボチボチ改善していくのか、、、
このへんも、考えておきたい。

また、菜園の周辺環境というか地域性も考えたい。
周囲が草一本生やさないような人たちで、かつ、草を生やす人に不寛容で、
追われるように、亡父から受け継いだ区画を辞めた友人もいる。
荒らしていても寛容なのか、
適度に草刈りをしておけば大丈夫なのか?
これは、菜園で野菜を作付けるときの前提条件であり、
どんな野菜をどんな風に育てるかの前に理解しなければならないことでもある。

いろいろあるのだ。
準備、必要ですよ!

(ご相談ください。石田周一)