石田のおじさんの田園都市生活

第14回 田んぼに出会う

2009.10.25
いしだのおじさんの田園都市生活

先月のメルマガの田んぼ報告を引用、(きっと今月も報告あるはず・・・)

「NORAの野良仕事・田んぼ編、いよいよ稲刈りを迎えました」

今年「NORAの野良仕事」では、
田んぼ仕事のお手伝いをさせていただいています。

その田んぼは、横浜線沿いの住宅街に囲まれてはいますが
街中では得られないモノに気付ける貴重な場です。
稲の生命力への驚き、泥の感触の心地よさがあります。
しっかりと多種多様なイキモノが共存しています。
畦にも(実は田んぼの中にも…)様々な植物が生えています。
共有の水路やまわりに配慮する人々のつながりがあります。
以前そこを耕作されていた方々の手間と年月があります。
毎日の見まわりや、一緒に作業し収穫をともによろこべる仲間たちがいます。
季節の微妙な移り変わりと田んぼにまつわる年中行事の意味を学びます。
耕うん機に翻弄された4月の田起こしにはじまり、
泥の感触に感激した5月の代かき、
足をとられ四苦八苦した6月の田植え、雨中の夏の草取り、
9月のすずめとの闘いを経て、いよいよ稲刈りを迎えました。

詳細はこちら↓
https://nora-yokohama.org/news/info/post_91.html

稲刈りの後、台風で架け干しが倒れるハプニングなどもあったが、
先日、無事脱穀を終えて、あとは籾摺りをすれば食べられる段階だ。

脱穀後に仲間に回ったメールを引用

(キレイなお姉さんその1)
ハーベスターの威力はすごく、
あっという間に終わってしまった感があります。
稲刈りの後の喜びと比較すると、
作業後の田んぼを見ると、なんだかさみしい気持ちになりました。
1年って早いなあ・・・としみじみ。

台風や、草取り、スズメ、水まわりなどなど
日ごろの見回りなしにはすすめられないことを実感したなか、
週末だけの作業で、本当においしいところだけ関わらせていただいたような
気がしてなりませんが、関わらせてもらってよかったなあとしみじみ思います。
石田さん、みなさん本当にありがとうございました。

(キレイなお姉さんその2)
みなさま、脱穀作業お疲れ様でした。
参加できなく残念でした。
様子は聞いたのですが
次に田んぼへ行ったら、すっかり様変わりしているのですね…。

昨日、NORAの他プロジェクトの方たちと会議があったのですが、
「田んぼの一年は楽しかった?」ときかれ、
楽しさは勿論のこと、楽しさだけでないこと、楽しさ以上の事、
自分が触れられたのは田んぼ仕事のうちのほんの一部であること
農作業や自然や様々なことに謙虚であること等、
一年を通して(まだ終わってませんが)得ることの大きさをあらためて考えました。

本当に関わらせていただいて感謝しています。

(いしだのおじさん)
田んぼにかかわったみなさんが、
そのことからいろんな得るものがあったのなら、
それはとてもウレシイです。
そういう目に見えない収穫を、
私は「内なる収穫」と名付けています。
もともとはグリーンの仲間が懸命に働いて成長することをそう言いましたが、
みなさんに対して「成長したね」というのは失礼かもしれないけど、
でも、「内なる収穫」があったことは確かでしょう。
また、田んぼからはお米だけでない「タカラモノ」
田からのものが得られるとも言われます。
それは、かかわることが多ければそれだけ多いのかもしれません。
しかし、産業としての農業では、
まぁ、当然ですが、
田んぼにいる時間が短いことが、
つまり「効率」が求められるわけで、
(先月のコラムに書いています)
宇根豊さんが、「農の近代化」と名付けていますが、
「我々はいつから田んぼにいる時間が短いほどシアワセと思うようになったのか?」
という疑問・・・

「稲が米になるサミシサ」に共感してもらえたのも、
今年の私のタカラモノのひとつです。

引用ばかりでナンだが、
実感のこもったことばから伝わるものがあるはず。
次回以降も、この仲間たちと、
今年の総括をしたり、感想やトピックスを拾ったり、
今後の展望もしてコラムで報告してみたいと考えている。
前回、「100年を考える」で、
田園都市、田んぼの(一面ですが)50年を振り返った。
今回、50年後を考察しようと思っていました。

ここでのその主たるテーマは、
田園の緑の主役=田んぼを残すこと。
こうやって楽しみ学びながら田んぼに参加する人がいる、
その事実こそが大事なのだと思う。

前回、書いた。

50年の間に便利な機械ができて、米作りの労働は楽になった。
労働の辛さ苦しさはなくなったかもしれないが、共に力を合わせて働くこともなくなった。
田んぼから家族の姿が消えて、機械が跋扈するようになった。
家族で懸命に米を作り食う時代が去り、米を作っていたのでは食えなくなった。
米を作って、食って、生きるという日本人の根幹にかかわる労働は、その質を変えた。
これは、日本人の生き方そのものが変わったということなのではないか?
そして、田んぼ自体が年々減っている。
今年、田んぼにかかわり続けた仲間たちには、
田んぼとの確かな出会いがあったはずだ。
米を作って初めてわかる感覚がいろいろ。
彼女たちは、もしかしたら、「生き方」を少し変えたのかもしれないし、
今までのNORAの野良仕事で変えてきた生き方を反映したのかもしれない。

いしだのおじさんも、
田んぼに出会って「生き方を変えた」ひとり。

あなたも田んぼとの出会って、
「生き方」にもかかわるタカラモノをさがしてみませんか?

(いしだのおじさん=石田周一)
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