第175回 菜種梅雨2023

2023.3.31
いしだのおじさんの田園都市生活

ジョリッ、ジョリッ
ジョリッ、ジョリッ
プチッ、プチッ、プチッ

桜の満開が早かったお彼岸のころ。

先月、書いた。

  上農は草を見ずして草を取り、
  中農は草を見て草を取り、
  下農は草を見て草を取らず。

  の、上農を目指している。 と、、、

そうやって、冬の終わりに草退治をしていた、
その庭に、花海棠、椿、などが咲いている。
そして、鎌を手に、やっぱり、草退治。

個人的に、土がムキダシの姿を好まないことはさておいて、
ここでは、草のない姿を目指していたのだが、
スギナやドクダミも顔を出してきて、
「草を見ずして草を取る」はあえなく過ぎ、
「草を見て根を掘る」ありさま。
そして、やはり、掘り切れない、という状況。
この後、暑くなるころの仕事がオモイヤラレル。

(畑だったら、トラクターでガラガラやってリセットだな)
と、思いつつ、
ジョリッ、ジョリッ
と、鎌を土に潜らせて根に当てる。
プチッ、プチッ、プチッ
と、
鎌を入れられないところの地上部はむしるしかない。

森では、ウグイスやコジュケイの声。
ウグイスが鳴き始めたのも早かった。
コジュケイが美味だとは鎌倉に住んだ無頼作家に、教わった、
といっても、文庫本のなかでのこと。(『冬の旅』が好き)
鳥の声を聞きながらの仕事という日常は心地よい。

雨風で椿の花が地面を真っ赤に染めた。
桜もいいが、辛夷がいい。
年明けの蠟梅から始まり、いろいろな花が咲き、
今までも見てはいたが、名前を知らなかった花たちとの出会い。
出会い直し、かな。
憶えきれないうちに、また、季節が過ぎていく。

お隣の畑からはノラボウ菜をいただき、
お昼にみんなでシェアした。
「美味い、美味い」春の味。
感謝を伝えたら、
「みんなで食べてくれて良かった」と笑顔。
畑が春を迎えたことを共にできた、と、思った。

月が替わるにはまだ1週間ある日に、
もう、タラの芽が採れた。
天ぷらが定番だが、ベーコンとパスタにするもよし、
と、これも、笑顔でしゃべった。
うん、春はいいよね。

自分の菜園では、白菜の菜花がたくさん、
FBに写真をアップし、
「白菜が巻かなかったからで、
栽培としては失敗だが、
売っていることもないレア物」
と、自慢だかなんだかわからんコメント。
アスパラもヒョロヒョロニョキニョキ、
で、アスパラの本当の味は収穫後数時間とかのウンチクを、
ヒトリゴチながら折ってそのまま口に入れる。
野趣といえばカッコイイかも、だが、ま、下品で野蛮、
も、また、よし。

庭では、フキがたくさん。
未だ柔らかいこの時季は葉が美味い。
ゆでこぼして、おかかと炒める。
「うん、これは、日本酒だな」
木の芽もいい香り。

そうこうするうちに、2月にほとんど降らなかった雨が続き、
「菜種梅雨になったね」
、、、
半袖になる日もあれば、重ね着をする日もある。
カラカラの続いた土に浸み込んでいくような降り方。

ダブルワークの合間に畑。
ネギを植え付ける。
土のコンディション、良くないなか、管理機とひっぱりくん。
1時間ほどで60m分の植え溝を切り、植え付けた。
今も、「家族一人1日1本」などと言っているが、
これだけ植えれば、夏、秋、冬、早春までネギには困らないはずだ。
生長、追肥と中耕除草、そして、収穫し食卓へ。
その過程を愉しもう。

60mは3者分。
maaruさんとボーノさんも頑張って!
もう、ここにも、イヤな草たちがいる。
ハマスゲ、スギナ、ギシギシが3大敵。
トラクターや管理機ではくたばらず、逆に増えたりする。
悪の地下組織、分身の術、、、

ま、そんな草との闘いも、愉しんでいけたら、、、
と、思う、早春ではある。
が、果たして、、、

20230331

(新年度、新生活、、、石田周一)