第174回 上農は、、、

2023.2.27
いしだのおじさんの田園都市生活

カリカリ、サクサク、
カリカリ、サクサク、、、
草退治である。
畑ではない。
自分の家の庭でもない。
静かに、
カリカリ、サクサク、
カリカリ、サクサク、、、
その庭にはジョウビタキやシジュウカラが現れる。

ときどき、
場所によっては、
ググ、ググ、、、
ササの根を切るように刃を入れる。
そして、また、
カリカリ、サクサク、、、

  上農は草を見ずして草を取り、
  中農は草を見て草を取り、
  下農は草を見て草を取らず。

の、上農を目指している。

草は、
土の上に芽を出す前に、土の中で芽を動かしている。
根も動いている。
そのタイミングで、
鎌や鍬で土をカリカリ、サクサクしてやると、
草は芽を出せずに、つまり「見ずして」「取る」ことができる。
これが上農の草取りだ。
と、思っている。
これだと、時間当たりの作業面積も広くなる。
畑なら、1日あれば、1反だってできる。
すると、他の仕事がいろいろできる余裕が生まれる。

中農は、
「あららら、草が出てきたなぁ」と、草を取り始める。
草をつまんで抜く。
できれば、根まで抜きたい。
草や土の状態にもよるが、鎌や鍬で草を削っても、根までは難しい。
草が小さいうちにできればそれなりに畑はキレイになる。
面積は稼げないし、次の草がもう出てくる。
余裕はあまりない。

下農は、
草がだいぶん伸びてから、「ああ、草とりしなきゃ」となる。
伸びた草と闘いながら、ちょっと進む、が、先は長い。
1反やるとすると、10日はかかる。
夏だったら10日すると、スタート地点を振り返るとまた草は伸びている。
骨折り損のくたびれ儲け。
畑にはいつも草がある。
余裕は、まったく、無い。

見えていないものを意識して、
段取りを考え、
先手を打って仕事をしていく、
と、効率がいいし、楽だし、
これは、何も畑に限ったことではない。
よね。

草のないキレイな畑。
上農の畑。
世間体がいい。

世間体は大事だ。

職場の旧家の庭で、上農を目指そうかと、考えている。
2年目ですから、、、
業務の効率化。

しかし、上農でもなく、中農でもなく、下農でもない、
別の農がある。
「自然農」だ。

草を敵と考えず、草も畑に生やしながら、野菜を育てる。
いろんな流派があるようだが、耕さず、草を敵とせず、が基本のようだ。
農薬はもちろん、ときに有機肥料も使わない。
草は必要があれば刈って草マルチにする。
上農とも、中農とも、下農とも、根本的にチガウ。
しかし、これ、世間体は良くないことが多い。
なにしろ、畑に草が生えているのだ。
ときに、どこに作物があるのか分からなかったりする。
地権者さんや近隣と基本的な価値観が相容れないことになったりする。

石田の個人の畑(認定市民菜園)では、
以前の仲間が3人も!自然農を志向しており、
私も、なんとなくそんな感じでやっていたこともあった。
草マルチの下ではミミズが元気で、いいなと思ったりして、、、
機械で耕耘することもなければ楽かもしれないし、と。
「趣味なんだから、好きなようにやればいいよ」と地権者さんも鷹揚だった。
ま、中学高校の同級生、地元の仲間だからね。
だが、なかなか思うように野菜が育たなかったり、
かえって手間がかかるようにも思え、
結局、挫折。

この春は、ドラグシャベル(ユンボ)で土をひっくり返し、
トラクターで耕した。
もう一度、小さな耕耘機で耕し、マルチャーで畝を作るつもりだ。
ビニールマルチ。
先日、有機肥料を180㎏ほど購入してきた。
そして、畝間には敷き藁をする予定。
なにしろ田んぼ1反分くらいの藁をその同級生の田んぼからもらってあるので。
地面が見えないくらい敷きつめようかと考えている。
これが上手くいけば、つまり、藁が草の発芽を抑え、有機肥料になってくれたら、
草とりの手間を省き、肥料や耕耘も減らせるかもしれない、と期待している。
なんちゃって自然農、と言ってみようか。

(定年退職後、むしろ忙しく、ちょっとオツカレ : 石田周一)