神奈川・緑の劇場 vol.18

2022.12.27
神奈川・緑の劇場

日常に指針を示してくれる先輩たちからの贈り物

『食べもの通信』新聞『農民』さらに『日本農業新聞』も!

子どもたちの未来を作るのは、今を生きる大人たち。

2022年の漢字は『戦』。戦の年、私を支えてくれている身近な大切な仲間に家族が増えた。しかも3人!80万人に満たないであろうと言われる2022年生まれの日本の子どもたち。乳を飲み、すやすやと眠る彼らの未来を作るのは、今を生きる大人たち。どんな未来?

コロナ禍を経て、みんな真剣に楽しんでいる。

杉並区南阿佐ヶ谷の『劇団展望』に入団したのは47年前。もうすっかり舞台からはご無沙汰してしまった。が、朗読・紙芝居・民話の語りなど、とにもかくにもしがみついてきた。コロナ禍で開催できなかった各種の催しが復活した今年、紙芝居やナレーションなどの担当をさせていただけた。集まって心を通わせる取り組みが当たり前にできないことに気が付いた大人たち。3年も間があいてしまっては、ほとんど初体験と言ってもいい幼い子どもたち。みな真剣だ。真剣に夢中になる。演ずるほうも一回一回、精いっぱいに、でも、笑顔を忘れずに、穏やかに、肩の力を抜きたいけれど、なかなか難しい!でも楽しい!

『演劇の心』を大切にしたい。

私に演劇を授けてくれた師・大沢郁夫氏。お元気なうちに、演劇の仕事を見ていただきたかったが、かなわなかった。が、大沢氏の盟友、姫田忠義氏を民族文化映像研究所に尋ね、上映会を企画し、何度かお話をさせていただいた。それは、私がすでに地産地消の産直運動に携わるようになってからのことだったが、のちに姫田氏が「郁ちゃんは良い人を育てたね。」と大沢氏に言っていたと、大沢氏の妻、林陽子氏から聞くことができたのは、姫田氏を偲ぶ会でのことだった。真偽はどうであれ、年齢を重ね、今、あの劇団展望での稽古の日々の貴重さを思う。大沢氏はもちろんのこと、劇団の先輩たち、演劇を通して出会った多くの人々。多くの仲間たちから授かった『演劇の心』を大切にしたい。

各地で沸き起こる本物の『農の営み』

演劇と同時に、前後して、いや、一体化して、農業に導かれたのは必然だった。『演劇の心』と『農の心』。いよいよ、日本の農業が壊滅しようとしている。だが、廃墟の中から、命が蘇るように、戦後78年を経て、本物の『農の営み』が、各地で沸き起こっている。

日本の有機農業が勃興したのは、1970年代初頭だと言われる。当時、大沢氏は、農民が本物の『農の営み』をこころざし土に向き合うように、『表現の畑』の土づくりを豊かにしようと呼びかけた。農に学ぶ表現。50年を経て、今に生きる。

日常に指針を示してくれる大切な財産

昨年、亡くなった農民作家、山下惣一氏は「国民皆農」を提唱されていたが、いよいよ、各方面から消費者も一体となって農業を支えよう!という声が聞こえてくる。国民存亡のかかる時代の、日常に指針を示してくれる『食べもの通信』と新聞『農民』そして消費者こそ携えたい『日本農業新聞』。私たちが生きてきた時代に光を与えてくれた先輩たちからの財産を、乳飲み子たちの未来のために衰退させてはならない。

(2022年12月26日記・三好豊)

三好 豊(みよしゆたか)

“50年未来づくりプロジェクト”を提唱します。
“もりびと”が木を植えて育てるように、子どもたちが社会の真ん中で活躍する時代のために、今日できることを一つずつ。老いも若きも一緒になって50年のちの日本の景色を想い描きたい。
1954年に生まれ父親の転勤により各地で育ちました。 1975年10月、杉並区阿佐ヶ谷南の劇団展望に入団。1982年退団して横浜に戻り演劇活動に参加してきました。1987年5月、(有)神奈川農畜産物供給センターに入職し、県内各地、各部門の生産者に指導を受けることができました。2004年に退職し「神奈川・緑の劇場」と称して県内生産者限定の野菜の移動販売を始めました。NPO法人よこはま里山研究所・NORAの支援はたいへんに大きく、これからも都市の暮らしに里山を活かす活動の一環として生産者との関わりを大切にしたいと考えています。また(株)ファボリとその仲間たちとの繋がりには、心躍るものが生まれています。