神奈川・緑の劇場 vol.6

2022.1.29
神奈川・緑の劇場

~初春にやさいのかたちはじけたり~

=野菜市だけではない集いをつくりたい=

2022年は、“すごーく楽しい野菜市”から始めることができました。『たけのまえんがわ新春まるしぇ』です。1月7日(金)8日(土)9日(日)の三日間にわたって催しました。

いつもの野菜市だけではありません。野菜市を支えてくれている仲間たちが、それぞれの得意技を持ち寄って、たけのまで一緒に過ごしてくれたのです。

私にとっては、とても幸せな嬉しい新年の始まりになりました。みんなに感謝です。

日本茶インストラクターの井上香織さんと、川本芽依さんによる「お茶と塗り絵」

伊藤洋子さんの「みどりのほんや=絵本の展示・販売=」

矢野真美さんの「筆文字講座」も一緒に開催できました。

生産者の柏木洋子さんにも、できたての玄米餅を持ってかけつけていただき丸まる一日参加して、来場の皆さんとお話してもらえました。

ふだんの野菜市でもお客様とおなじみの田島里美さんも3日間とも参加してくれて、ありがたかったです。

また、二階ではオーナーの内藤正雄さんが野菜の料理を用意して試食をおすすめし、果実酒などもふるまって来場された皆さんに喜んでいただけました。

さらに圧巻だったのは、4つの部屋ごとに正雄さんが造形した「やさいのかたち」展示です。生産者からの協力があって実現したのも嬉しいことでした。日頃から農産物を提供していただいている生産者の皆さんから、規格外・ハネダシ野菜を、いつもは子ども食堂や学生への食糧支援へと出してもらっているのですが、さらに「展示」に使いたいと趣旨をお話していたところ、飛び切りの個性的なかたちのものを提供いただくことができたのです。


あらかじめ何日も前から確保したものではありません。いつもと同じタイミング、鮮度です。つまり、ふだんから、それだけ個性的な、出荷できない野菜たちが出ているということがわかります。もちろん、味に変わりはなく、むしろおいしそうに見えたほどです。展示後には、切干し大根づくりワークショップをやったり、乾燥野菜などにしてムダなく使いました。

今回も集荷にも正雄さんに同行してもらい、生産者から流通、そして料理や展示になって来場された皆さんと分かち合える一連の流れ。プロセスの大切さ。人の数だけ歴史があるように、一つ一つの作物にも、物語を想うことができるのも、今回のような企画ならではかもしれません。

これからも、仲間たちといっしょに集う場をつくっていけたらと思います。

=ふだんの暮らしに地産地消・顔の見える関係を、そして有機農法・自然栽培に挑む生産者を支えたい=

農業とは関わりの無い生い立ちでしたが、農業や自然との関わりに関心を持ったのは、

激しい環境破壊を目の当たりにして育ち、直接の関わりが無くとも、水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくなど、各地の公害に取り巻かれて育ったために違いありません。本格的に生産者との関わりを持って「地産地消」の運動に携わるようになって35年がたちました。

今、環境破壊は、気候危機と新型コロナウイルスのパンデミックとなって、全世界の全ての人々に襲いかかっています。

農業、農林水産業に関わろう、農林水産業と関わった暮らしをしたい、という人々とのつながりを、いままで以上に求めていきたいと思います。

できることなら、元気で美しい、物語のできる野菜たちを携えて。
※金沢区の学生食料支援にて

(2022年1月28日記 三好 豊)

三好 豊(みよしゆたか)

1954年に生まれ父親の転勤により各地で育ちました。 1975年10月、杉並区阿佐ヶ谷南の劇団展望に入団。1982年退団して横浜に戻り演劇活動に参加してきました。1987年5月、(有)神奈川農畜産物供給センターに入職し、県内各地、各部門の生産者に指導を受けることができました。2004年に退職し「神奈川・緑の劇場」と称して県内生産者限定の野菜の移動販売を始めました。NPO法人よこはま里山研究所・NORAの支援はたいへんに大きく、これからも都市の暮らしに里山を活かす活動の一環として生産者との関わりを大切にしたいと考えています。また(株)ファボリとその仲間たちとの繋がりには、心躍るものが生まれています。