第159回  2拠点生活 2021年初冬

2021.11.30
いしだのおじさんの田園都市生活

金曜日、5時半、起床。
ストーヴに火を入れる。
今、薪が豊富でウレシイ。
エネルギーが一部とはいえ自給できている喜びもある。
しかし、薪の入手にはエネルギーを使っている。
その過程を思い出しながら、薪を足していくのも楽しい。
この暖をもっと大勢でシェアできれば、また気分は上がるだろう。
と、思いつつ、今は一人、火を見つめている。
静かだ。
音楽をかけよう。

(中略)

その日の夜、
夕方の会議を終え、三鷹に、行くのか?帰るのか?1時間半の運転。
玄関を開けるとお約束の愛犬の大歓迎。
家族そろっての時間。
みんなは夕食はすんでいて、ゆっくり一人晩酌。
他愛ないおしゃべりでワイワイ。
今は、この2拠点のギャップを楽しんでいる。

朝に話を戻す。
自給野菜と自給味噌と納豆の朝食。
その前には当番のトイレ掃除などして、食後も雑用。
家を出るのは7時ごろ。
職場へ向かう車は、エンジンが暖まる前に、自分の畑に寄る。
ここでも、一人の時間。
野菜に霜がおりるようになり、朝は収穫ができない。
野菜たちを眺める。
白菜、ブロッコリー、キャベツ、大根、春菊、ケール、、、
草の間で育つ野菜たちには虫食いも少なく、去年よりいい姿。
土ができてきたか。

出勤。
みんなで新治に向かうころには初冬の日差し。
前日までの駐車場ドサ回りの出稼ぎを終えて、畑へ。
この職場では、いつも不測の事態が起きて、それがまた楽しい。
(と、余裕を見せてもいられないことも多いのだが、、、)
この日も、飛び入りメンバーがあって雰囲気がチガウ。
いつメンは5人ほど。
だが、
この日のスタートメンバーは、利用者さん8+1人、職員1+1人。

農作業初参加の女性。
いつもはクリーニング工場でホルダーという機械の担当。
タオルを流し込むと4つ折りにたたむ機械で、モダンタイムス?
「気分転換に行っておいで」と工場の職員に言われた、と。
実際に畑に出て、「先ずはのんびりマイペースで、ね」と草取り。
だが、15分ほどすると、「ちょっと疲れた」と。
私はホルダーの方がよほど疲れると思うのだが、、、
「いいよ、いいよ、お茶飲んで休憩しなよ」(なんて他の男どもには言わない石田のセリフ)
風も無く彼女を歓迎しているような日差し。
真面目な彼女は10分もしないうちに草取りに戻った。

もう一人、突然参加の男。
(彼なりには予定を組んで他の事業所を並行利用しているようだが)
彼の来歴はここには書かないほうがいい。
元気なあいさつで気の良い男だが、いろいろとワケアリの人生を送ってきた。
初夏に入所施設に戻ってきたときには健康状態が悪く、ドキドキさせられた。
が、今は、少し働いて長く休みながらだが、元気な姿。
里芋の皮むきなどの地味な作業が好きなようだ。

そして、久しぶりに参加の若手職員。
別にサボっていたわけではないが、畑以外の場での勤務が多くて、、、
だが、私の定年退職後は農場長を担ってもらわねばならない。
はずだ、、、
トラクターでの耕耘とマルチャーでの畝作り。
任せておこうと思っていたが、横目で見ていたら、やはり指導が必要と判断した。
機械の扱い、野菜や土のコンディションを見て視て診ての判断。
自分の身体のポジショニング、、、
仕事はちょっとしたコツをつかむまでにいろいろ失敗して試行錯誤する過程が大事。
なのだ、けれど、自由に失敗してもらう余裕がない現状。
言いたくない見せたくないアレヤコレヤ、、、
それも今のうちか?
逆説的に楽しかった?
玉ネギ用のきれいな畝ができた。

(中略)

土曜日の朝、愛犬と散歩、2時間弱。
先週は、東に歩いて井の頭公園でラジオ体操に参加。
北に歩いて犬と入れるカフェでランチをしたのは数週間前だったか。
西に歩くと玉川上水沿いに独歩の森公園や農業公園もある
今日は、南に歩いて、深大寺北の畑の向こうに富士山。
屋敷林。
武蔵野あたりでは、畑と家が隣接し一体化している農家が多い。
安定を感じる。
愛犬は、家の近くではあちこちの匂いを嗅ぐのに忙しいが、
遠出をすると歩くペースが上がる傾向がある。
来年の今ごろは、、、

(石田周一)