第53回 大忙しの6月。果樹の収穫、田植え、植え付け・・暦は芒種から夏至。
2021.7.1映像の持つ力
二十四節気どおり、にぎやかです
小さな森のある畑。
イチゴに続き、アンズも大豊作です。摘果が功を奏し大きな実を結びました。
大忙しの6月。
果樹の収穫から始まり、草刈り、野菜の植え付け、田植え、草刈り、種まき、救出。
家に帰ると、収穫した野菜や果物を洗い、仕分けて加工の準備。
ほんと食べられるまでが、たーいへん。
果物は樹上完熟の収穫。
ていねいに扱わないと朝収穫したものが夕方には傷みが出てしまいます。
あぁ、土間が欲しい。納戸が欲しい。せめて加工や保管用の冷蔵庫が置けたらなぁ。
わたしたちのノラ仕事は週末だけ。
6月は田植えのために休みを1日取り金土日の週末3日間で農繁期に向かいます。
空間の垂直利用で解決!
さて、豊作のアンズは加工するまでどこに保管しようかしら?
そうだ! 天日干し用の網を使いベランダに吊るそう。
空間の垂直利用。
天日干しは栄養もアップするから一石二鳥です!!。
粒ぞろいのアンズ。
杏酒、砂糖漬け、コンポート、ジャムに加工します。
加工の前にまず計測。これでアンズ1キロ。
アンズの完熟に合わせて梅も収穫。
嬉しいことに梅も今までで一番の大玉が揃いました。
いよいよ今年の梅干し作りが始まります。
・・そっかぁ、6月は、二十四節気の暦でいうと芒種から夏至。
そこに雑節の入梅も迎える。
どうりで忙しいわけだ。
ほぼ草刈り要らず?! ~耕さない田んぼ、12年目
名付けて“小さな森のある畑”はメインの畑。ほかに仲間と借りている自然農の会での田んぼ&畑、ともに十二年目に入りました。
仲間と借りている田んぼの会は設立二十年ほど。
小さな森のある畑は、相棒クンが一人で始め、こつこつ手間ひまかけて十二年。わたしは四年目。
田んぼの稲は5月の連休に種下ろし(種籾を蒔く)、6月の第3週前後に田植えを行います。
去年に続き今年も田んぼは一面茶色です。ということは・・!
そうです、去年に続き、今年も草刈りが楽ではないか!!
《 田んぼが茶色 → 草刈りが楽 その理由 》
1)田んぼが茶色ということは、田んぼの全体を覆っているのは冬草。
いちばんのポイントは草が冬草だったことです。
2)つぎのポイントは田植えをする時期。
・冬草は、秋に発芽し成長しながら冬越して種をつけて枯れてゆく。
わたしたちが、田植えをする6月の中旬は、ちょうど冬草が枯れる時期と重なります。
・枯れた冬草は細くなり、倒すのも刈るのも楽なのです。
根切りもほぼ必要なし。
・田植えのとき、田んぼに緑の草が生えていたら大変なんです。
その草は、春に発芽し成長ざかりの夏草だから。
・もし、田植えのときに田んぼに緑の草が生えていたら、田んぼ全体の草を刈り、稲を植える時には周辺の根切りが必要です。
3)枯れた冬草は倒したり、刈り取っても田んぼの表面に敷くから、他の草が生える隙を与えません。
そして田の水が深くなると酸素不足になり、草の種は出芽しません。
4)ありがたいことに、田植えの後の草刈りも楽なのです。
田に水が入った後は水草が生えることが心配ですが、これも枯れた冬草が田んぼの表面を覆っているから、大発生にはなりません。
↓ 地鴨が来訪
耕さないことの有用性
ところで、
《 なぜ、田んぼに冬草ばかりで夏草が生えていなかったのでしょう?》
理由1)不耕起であること。土を起こしていないから田んぼの表面に夏草の種が出てこなかった。
理由2)稲刈りの後に、稲わらを田んぼ全体で覆ったことで、草の発芽が抑えられた。
ほー、去年に続き、今年も田んぼは草刈り要らずになりそう。
よかった。ほんとうによかった。年々、猛暑となり、屋内にいても熱中症対策が必要。
田んぼの草取りは屋外のうえに、腰をかがめての作業だから、体でも一番ひろい面積の背中を猛暑の太陽光にさらすことになります。
わたしたちのノラしごとは出来る限り自然農を取り入れ、自分たちの手作業で出来ることを繰り返しています。
小さな森のある畑、田んぼは、農業だけでなく、自分たちの暮らしが自然の循環機能の一部を担うよう、他の生きもののと循環する場でもあります。
自然農の田んぼは、12年目にして耕さないことの有効性が現れてきました。
種を蒔こうと畑に行くと・・
「トウモロコシ、あなたもか!!」
田植えを終え、トウモロコシの種を蒔くため畑に向かうと、
あら、畑の真ん中で育ってる。背丈は50センチにもなっている。
うちの畑では、自然生え、野草化があたりまえだけど。
去年、種採りで残さず土に還した種が発芽して育っていました。
もう種とりも必要ないのかしら?なーんて。
自然生え、野草化の代表ゴボウです。
栗のイガを小さくしたような総苞の先端に紫色の花を咲かせます。
草が勢いを増す時期ですが、ショウガはまだ葉の成長中。
草刈りはショウガを優先します。
小さな森のある畑。
トマトの結実、第一号。こちらも自然生え。
ここは、自宅のコンポストでできた堆肥が混ざっている場所だから栄養豊富。生育が旺盛です。
ベランダでも自然生え!!
先月は育苗のポット苗が占めたベランダ。
落花生、オクラ、キュウリ、ヒョウタン、ゴーヤ、ヘチマ、モロヘイヤ、ピーマン、紫唐辛子、トマトと畑への植え付けが進んでいます。
ブドウの木の株元では、赤ちゃんぶどうが育っていました。
もちろん見つけたのは、こつこつ手間ひまかけている相棒クン。
夜はヘッドライトを点けヨトウムシ(夜盗虫)を見つけてくれます。
数年前に育てたホオズキも芽を出しています。
刈り取った草がいつの間にか消えるわけ
人間が生きるための食べ物を生み出してくれる表土。
はじめは岩石が風雨で削られ細かくなった鉱物質の砂。
田んぼや畑で、生き物や植物、野菜が育つ、肥沃な土壌になるまでどんな工程をたどってきたのでしょう?
・無機質の砂=鉱物質 に、地衣類(菌と藻)やコケが棲む
・植物、動物の糞、死んだ生物がたまり微生物などにより分解される = 非腐植
・分解されずに残った有機物が結合し色が濃い高分子の有機物になる = 腐植物質
・初めの鉱物が分解生成され粘土を構成する粒子になる = 粘土鉱物、二次鉱物
この理解で合っているかしら? 少し調べただけでも、出てくる出てくる。
土壌には有機物と無機物が複雑に存在しますね。
耕作地の土壌は、どんな生物システムになっているのでしょうか。
切っても切っても草が生えるわけ
6月11日が入梅。梅雨は恵みの雨。
今年は、苗を植え付けたあとに、ひと雨がきてくれ助かります。
苗ポットから、畑に植え付けた翌日の紫唐辛子。
ポット中で育っている時とは見違えるほどに、ぴんと張りが出ています。
畑の中の土壌生態系と苗ポットの中では比べ物にならないのでしょうネ。
大忙しの6月。田植えが終わり、果樹はスモモを残し収穫は落ち着きました。
草刈り→野菜の植え付け→草刈り→種まき→救出。
このサイクルはまだまだ続きます。
次にトマト、キュウリの収穫が待っています。
果樹のある畑の醍醐味は、木陰でのひと休み。
果樹のある畑での楽しみは、木陰でひと休みする時間 ♡。
果樹は、手前左から順にポポー、スモモ、アンズ、梅、サワーチェリー・・と続きます。
木陰の反対側あたりには、ネズミが住んでいます。
相棒クンが見つけ「居心地よさそうにしていたよ」と報告してくれました。
このネズミはきっと去年サツマイモをかじったネズミかも知れないけど、この畑が居心地よいのかぁ、うれしいなぁと思う。
「居心地よさそうにしていた」と感じ取ることができる相棒クンは素敵だなと思いました。
生態系は持ちつ持たれつ、頭で納得と言うより、素直にうれしいと感じます。
今西錦司さんの「すみわけ理論」にうなずく。
週末のノラ仕事で生き物がにぎわう場所にいると、
今西錦司さんの「すみわけ理論」にうなずくことが多いです。
<今西錦司さんの「すみわけ理論」わたしの理解>
・生き物はその生き物の種類がもつ生態を超えて生きる要求がない。そもそも縄張り争いする発想がない。
・生き物全体が、すみ分けの原理で成り立っている。
・生物の主体性そのものが、他の生き物と生活行動を衝突させない生態になっている。
今西錦司さんの「すみわけ理論」は、DNAの設計図をつくる大元、自然の摂理の法則をあらわしているのかしら。
きっと、先人たちがつくりだした里山は、今西錦司さんの「すみわけ理論」でいうところの、
生物全体の原理、人の主体性が発揮されたことにより、他の生物の生態を理解し利用することで、何世代にも渡り人が生き続けることができる、持続可能な循環型社会をつくりあげた場所といえそうですね。
人も自然の一部ですもの。
(中川美帆)