第52回 自然生えと野草化した野菜

2021.6.1
映像の持つ力

小さな森のある畑では、バラ科の賑わい!

ほー、イチゴが採りきれなーい。竹の腰籠は収穫した苺でいっぱいです。
ずっしり重く収穫の途中ですが腰から外したほど。

自然生えの露地イチゴ。肥料もなし。
手をかけたと言っても草刈り程度です。
ありがたいことに熟度や形の良いイチゴが揃いました。

イチゴの形は受粉が決めて。

草刈りをしたことで虫がイチゴの花を見つけやすくなり受粉が上手くいったようです。

色が緑色から赤に変わる仕組みは、太陽の光を浴びて、葉緑素が分解されアントシアンが生成されるから。(せっせと草刈りして良かった。)

 

 

 

バラ科の豊作御三家

小さな森のある畑では、イチゴ・グミ・ユスラウメどれも植栽以来の大豊作!!
ゴールデンウイークに旬を迎えたイチゴに続き、グミは枝のそこかしこに深い赤色の熟した実がぶら下がっている。
ユスラウメ(山桜桃梅)は枝にびっしりとサクランボを思わせる大実が連なっています。

 

 

ユスラウメの木

 

杏子は、夏日の太陽に反応したのでしょう。
昨日はまだ青かったのに一気に色づき始めました。

今週末に収穫できそうな予感。
摘果をした甲斐があり大粒に実っています。

「イチゴ・ユスラウメ・アンズ」。
バラ科の、豊作・御三家となりそうです。

 

この後、ウメ、スモモ、サワーチェリー(酸果桜桃)と、バラ科の果樹が、代わる代わる熟してゆきます。

ウメ

 

スモモ

 

サワーチェリー

 

ヘビイチゴもずいぶん増えました。
ヘビイチゴの実は焼酎に漬け、虫さされの薬に。

 

 

5月に入り、お米と夏野菜の種下ろし

ベランダは育苗場

わたしたちの野良しごとの基本は、自家採種、自家育苗、手刈り。
ゴールデンウイークの田んぼのお米に始まり、五月も二週に入ると、種下ろし(種蒔き)の最盛期です。

マンションのベランダも大事な作場。
芽生えのスイッチが入った、ナス科、ウリ科、アオイ科、マメ科で大賑わい。

紫唐辛子、ピーマン、プチトマト、プチ黄色トマト、大きめプチトマト
ヘチマ、十角ヘチマ、ヒョウタン、キュウリ、カボチャ
オクラ、モロヘイヤ
落花生


バケツ稲(あきさかり、大黒、バスマティ※)

 

今年の育苗は、階段状の段々畑ではなく、日本農業遺産に登録された・三富新田(江戸時代から続く循環型農法)の短冊状となりました。

 

こうして我が家のベランダは育苗が占有。
種のときは粒だったのに、芽がでて、幼葉、本葉、茎が伸びる・・
成長に合わせて大きいポットに入れ替えるから、広がっていきます。

地道な手作業の先に、収穫があり、食べ物をいただくことが出来ますネ。

 

 

大器晩成って落花生のことね!

すぐに芽が出て、大きくなるのはカボチャ。
紫唐辛子は、本葉が出ても茎は細く華奢。
他の野菜が発芽する中で、じっと種のままで変わらないのが落花生。

 

落花生は、数日経つと、もこっと種が上に持ち上げられています。
地中で根が張っている証拠。
根を張りおえ、発芽期に移行してからが面白しろい。

種が大きいだけあり、複雑な葉の形態を発芽で展開するための栄養が入っているようです。
落花生を観察していると、「大器晩成」という言葉がぴったりです。

大器晩成の対義語は「栴檀は双葉より芳し」。
むむむ、大器晩成の言葉の由来は植物観察から来ている?。
うちの「栴檀は双葉より芳し」は、ヘチマ。
本葉がアーモンドの香りがします。(意味が違うって?)

 

樹上完熟の知らせ

発芽の気運が高まるベランダ。
梅の木は、梅の実が完熟を迎えています。


毎日、ひと粒、ふた粒と自然落下。
いよいよ、梅干し作りが始まります ♡。

ベランダの梅の木は実生(みしょう)の木。
ベランダにあるコンポストから発芽したものを植え付けました。

 

小さな森のある畑でも実生の梅を見つけました!

 

今年、グンと大きくなった2本の梅の木陰で、ノラしごとの合間のティータイム。
相棒クンが、足元に梅の発芽を発見!!。

ほんとー? 梅? 葉をよく見ると梅です。
感心感心。下草が茂る畑で、よく梅だと判別できたね。

そうか、すでにベランダで梅の実生を発見している。
植えつけて実が成るまで6-7年。
今か今かと梅を観察していたものね。

 

梅は、実が成るまで、接ぎ木の苗でも3~4年、実生だと10年以上という話もありますネ。
山林の整備は100年200年単位。
気の長いはなし、ロマンのある時間だなぁ。

 

 

芋が豆なの? マメ科の入れ替わり

絹さやとスナップエンドウも豊作。
種採り分もたくさん残りました。
乾いてカラカラになるのを待っています。

種採り用の絹さやを観察していると・・、
絹さやの横でアピオス(アメリカほど芋)が蔓を伸ばしています。

ん、アピオスは芋でマメなの?
アピオスは、絹さやと同じマメ科のつる性植物
アメリカほど芋と呼ばれているのは、サツマイモと同じく肥大化した根茎を食べるからですよね。

相棒クンにいつから植えたか聞いてみると、数年前に数個ていど植えただけ。

アピオスは強い。
ほったらかしですが、収穫や植え付けで畝を掘ると、アピオスが出てくる出てくる。
地中で自由に広がっています。

アピオスの花は香りが濃い。
この香りは、東アフリカのザンジバル島で見せてもらったイランイランを連想します。
今年はお茶にして楽しんでみよう!

あるサイトでは、栄養価が高いから多食に注意と書いてありました。
アピオスは味が濃い、そんなに食べられないよね。

 

里山レシピ

<苺のスバゲティ>

イチゴの色が映えるように、麺はアルチェネロ有機スパゲッティを使用。
イチゴとハンペンをバターでソーテーし軽く塩と白胡椒で味を調える。
茹でたスパゲッティと合わせて出来上がり。
春だけのお楽しみ!!。

 

野草化した野菜たち

菊芋、アピオス、ヤーコンって三大栄養野菜なんですね(誰が決めたのかしら?)
うちのは畑には全部あります。

ヤーコンは一昨年におすそ分けで頂いたものを作付け中。
菊芋、アピオスは繁殖力が強いから野草化しています。
畝を通路を超え、自由に広がっています。

 

額縁はホースラディッシュ

小さな森のある畑の境界は、ホースラディッシュ(西洋わさび)と島ラッキョウで囲むようにデザイン。
ずいぶんフレーム状に広がってくれました。

ホースラディッシュはアブラナ科のワサビ属で多年草。
地中で株分かれし、どんどん増えます。
日本一美味しい大浦太牛蒡もすっかり覆われています。

株で増えるためホースラディッシュは花を咲かせませんが、今年は珍しく花をつけました。

毎年、異常気象が続いていますが、どのような環境変化のシグナルをキャッチして、開花促進遺伝子が誘導されたのでしょうか。

とすると、今までホースラディッシュが花芽を作らなかったのは、開花促進遺伝子が抑制されていから?

 

 

鳥が栽培委託? 種子散布

ニワウメ(庭梅)でした。
小さな森のある畑の一角に、わたしたちは植えていない木が実をつけている。
ユスラウメに似てるけど葉っぱが違う。
どうやらニワウメのようです。
きっと鳥が運んだのですね。

そういえば、落花生も植えていないのに芽を出していた。
自家採種を繰り返し今年も作付け中。
テグスで鳥よけをしますが、どれかは、カラスに食べられます。
ふふ、わたしたち人間が鳥に動かされている。

 

運ばせていたのは植物

鳥が畑に運んだ種。
今年も実がつくように世話しているのがわたしたち人間。

鳥に動かされているけど、
そもそも、鳥に種を運ばせているのが植物自身。
植物は、自分で動かず、種を鳥に運ばせている。

実の形状は鳥が見つけやすいように改良。
鳥に実を食べられても種が割られないように殻を固くする。

生態系のシステムは持ちつ持たれつの関係ですね。

 

君臨の意味するもの

わたしたちも植物に動かされている。
受粉の虫が好む草は残し、太陽光・風・水のバランスを考えて、せっせと草刈り。
植物が育ち、種を残す環境をつくっています。

山林の整備は100年200年単位であるように、
里山に象徴される連綿と続く人の営みが、
種の遺伝子の多様化の一役を担ってきました。

人間は生物界の頂点に君臨して、
人は、他の生き物から食べられることなく、他の生き物を食べて生きていくためのエネルギーを得ている。
君臨が意味するものは、絶対的な力や、優劣ではなく、役割分担の関係でしょう。

人の縄張りが生態系の全体だとすると、全体を健全化する方法も知っているはずですよね。
人も自然の一部だから。

(中川美帆)

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