石田のおじさんの田園都市生活

第83回 自然農について その1

2015.7.26
いしだのおじさんの田園都市生活

暑い中、日曜日にわざわざ、出かけて行って、何してたの?
・草取り。ネギ畑。
ゴクロウサマ。聞いただけで、メゲルけど。
・楽しかったよ。
へぇ?
・暑いときは、汗をかくのがイチバン。
そんなもんかなぁ?
・それに、今日は3時ころのスタートで、ね、これがいいんだ。
少しは涼しい?
・それもあるけど、なんか、この暮れていく感じがね。ヒグラシが鳴いたり。
そうかぁ。木陰で聞いていたい、かもしれない。汗はかきたくない。
・いや、草取りそのものも楽しいんだよ。
そうかなぁ、、、キレイになるのは、まぁ、気分がいいかもね。
・うん、そう。なんか、心もキレイになるなんて言うとベタだけど。
おじさんが言うと、ベタというより、キモいけど。
・ふん。草を抜いてくこと自体がちょっとカタルシスなんだ。
それは、それは、、、
・ま、いい日曜日だったよ。
先週はワザワザ山梨まで行っていたし、、、
・ま、ね。若い衆に草刈り機の使い方を、ね、レクチャーしてきたよ。
えー、何人くらい?
・8人で合宿してきたよ。1泊2日。
ワザワザ山梨まで行かなくても、、、
・いやぁ、泊りがけでやるところが、いいんじゃん。
お酒もいっぱい飲めて、ね~。
・うん。デカンショだよ。
何?それ?デカ、、、?
・デカンショ。デカンショ節。出稼ぎしよう、だよ。
横浜から山梨に出稼ぎ?
・そして、デカルト、カント、ショーペンハウエル。
はっ?
・哲学的に学ぶんだよ。草について。
???
・草刈り機未経験者を初心者に育てた。
それは、よかった。
・でも、まだまだ。使えるレベルになっていない。他所様の現場では、、、
どういうこと?
・来年は、他所様の草刈りにデカンショすることを考えている。
なんで?
・野菜を作っているより草刈りのほうが稼げる。
そうなんだ?で、山梨に行ったわけ?
・いやいや、あくまで、本来は農耕をやろうという職員の有志だよ。
でも、草刈り?
・山梨津金では、田んぼ仕事の半分くらいが草刈りだよ。

・山あいだからね、田んぼの法面が広いんだよ。
わかるような、わからないような説明です。
・現場に立てばわかるんだけどね。
いつか、行ってみようか、どうしようか、、、
・ふん。いずれにしろ、ずいぶん、草のお世話になっているよね。俺。
お世話になっている?
・このコラムでも夏の話題は草のことばかり、のような気がするね。
草は、憎くむべき相手?
・いや、緑の恐怖だけど、でも、撲滅して絶滅させてしまっても、ね。
そりゃあ、草の全く生えてこない畑も不気味だよね。
・あり得ない話だけど。
でも、草が無かったら、楽だよね。
・そうだよ。
でもライバルがいないのもサミシイ。
・うん。上農は草を見ずして草を取る、の話は前にしたかな?
何? ジョーノー? 見えないのに取る? 魔法使い?
・中農は草を見て草を取り、下農は草を見て草を取らず、、、

・草は芽が出るか出ないかのタイミングで軽く耕してやれば消えるんだよ。
へぇ。
・ま、小さいときに削るというか、「中耕」、って言うんだけど、ね。
なるほど。
・そうすれば、いちばん小さい労力で畑がスッキリ。
草が出て、大きくなればなるほど、仕事はタイヘンになる。
・うん。それが、中農、下農の世界。種も落ちる。
今日は?
・ま、中の下くらいかなぁ?この7月は異常に雨が多かったし、仕方ないよ。
上農を目指してはいる?
・畑の部分によっては、あまり草を出さずにできているところもあるよ。
そうなんだ。
・いや、大豆の畝の間なんかは、先手先手でやっていかないと大変なことになる。
作物によって違うわけだ?
・そう、サトイモなんかはマルチの間に草が生えても機械で刈ってやればいい。
いろいろありますね。
・いろいろと言えば、草を敵としないと主張する自然農法なんていうのもある。
前に言っていたよね。敵にしない、戦わない、でしょ?
・そう。戦わない。ラヴアンドピース、、、
平和が好きだもんね。
・そうそう。「平和主義」。って、最近このコトバ、ヘンな人に悪用されてるけど、、、
そっちに話しが流れるか?
・俺も国会前に行って来た。10万人の一人になってみた。
集団行動キライなのにね。
・うん。集団行動や一致団結がキライ、というかニガテ。
それでも、行って来たんだ、集合場所に。
・うん。でも、あれは、集団ではあるけど、個人の集まりだったよ。
ふうん。
・できることをしたいね。今。若い者たちの後ろについてでも。
うん。
・さて、草と戦わない農業。
戦わない。
・きょう、ちょうど、草取りをしながらその話をしていたんだよ。TさんやFさんと。
へぇ。
・Tさんの参加している別のグループは自然農なんだって。
グタイテキには?
・農薬を使わないのはモチロン、肥料も使わない。
へぇ?ラクそう、じゃん。
・そうそう。あくまで冗談だけど、農薬も肥料も使わなければ経費節約じゃん、って。
でも、そういう野菜って高いでしょ。
・そうなんだよ。経費と手間を省いているのに野菜を高く売るのはおかしいだろ、って。
そんなこと誰も言わないでしょ。
・誰も言わないことを言うのが、俺の真骨頂だろ。
それを世間ではアマノジャクとかヒネクレモノとか言うんだよね。
・ははは、その通り、です、ね。
なかなか草と戦わない農業の話にならない。
・自然農は奥が深いからね、軽々に扱える話題ではない。
逃げている。
・いや、この間、いろいろ勉強もしているんだよ。
そう?
・いや、20年以上前から、気にはしているんだ。
へぇえ。
・『妙なる畑に立ちて』を買って読んだのは1993年。
ずいぶん前ですね。
・実は川口由一さんの勉強会に行ったこともある。
ほおぉ。
・宮城県丸森。
先月は秀明自然農法を見てきたしね。
・気にし過ぎかもね?なんだろうね。
でも、自然農法をやっているわけではない。
・そもそも、〇●農法とか、仕事で出会う◆□療法っていうのが好きでない。
また、アマノジャク。
・と、いうか、そうやって方法を目的化する集団に違和感ブリブリ。

・それは手段であって、目的じゃないでしょ、って、思うんだ。
はいはい。
・ヘンな話ね、方法に合わせて対象を見るようになるんだよ。

・おかしいだろ。対象を見て方法を検討すべきなのに、、、
? ? ?
・どうも、話が先に進まないね。
進めてよ。
・草と戦わない、だけじゃなく、耕さない、というのも大きな特徴。
トラクターを買わなくてもすむ。
・またまた経費節約。
なんか、そういう言い方すると、自然農法って、セコい農法、みたいじゃん。
・そんなことない、けど、篤農、勤勉、朝星夜星とうイメージではないかな?
どうしてもワルクチ言っているようになる。
・いやいや。自然と共にあり自然に従うステキな生き方だよ。
ほんとーに、そう思っている?
・インディアン、いや、ネイティヴアメリカンは草原に穴をあけてトウモロコシを播く。
どういう意味?
・耕さないし、肥料もやらない、自然の摂理に任せる。
なるほど。やってみたら?
・我が社の畑では、よくよく耕して、ビニールマルチをして種をまくか、苗を植える。
どうして?
・耕せば、草は出にくくなり、苗は雑草より大きいから、数歩リードしているわけだ。
最初から戦いを前提として、しかもフライングもしているんだ。
・そういうこと!
開き直った!
・ま、ね。野菜を作るときには、その目的や規模や技術や労力と相談しながら、だよ。
どういうこと?
・あと、その野菜を誰がどのように食べるかも大きな問題。

・前も言ったけど、自分で食べる栽培と多くの人に提供する商売では、全然チガウ。
そりゃそうだ。
・俺らも、できなかったら飢えるわけでもなく、甘い、と言えば、その通りだよ。
うん。
・あとね、〇●農法の人たちって、他のやり方を認めないんだよね。
そうななんだ。
・やっぱ、多様性が大事でしょ。
やっぱ? やっぱ、そこに行きつく? ターヨーセー?
・うん。この話、また、そのうち、ゆっくり、、、
今日は、草取り、ゴクロウサマでした。
・そういうことだ。

(石田周一)