第145回 田園ふれあいランド、初秋
2020.9.30いしだのおじさんの田園都市生活
いつの間にか季節が進んでいた。
今朝は、肌寒さを感じながら犬と歩いた。
先週は短パンにTシャツだったが、今日はカッパの下にも着込んで出かけた。
三鷹上連雀の農家さんの畑では、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイがグンと育っていた。
駅から遠くない場所に1町歩以上の畑を持つ農家さん数軒が散歩途中にある。
街は碁盤状なので、畑もたいていは四角く規則正しいのが、羨ましい。
我が社の畑も、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、ダイコン、コマツナが育ち、
サツマイモ、サトイモ、そしてエダマメが収穫期となる。
暑さが苦手で先日までは疲れたような葉色だったネギも、緑が濃くなっている。
そろそろ鍋料理かなぁ。
薪ストーブも準備だな。
ダイコンの種まきは、子どもたちと楽しんだ。
9月初めの暑い日だった。
1年生のTくんが集中して丁寧にまいていた姿が印象的。
それを見ていた3歳くらいのチビたちも、母と並んでけっこう集中していた。
ダイコンの種は小さいけれど極小でもないので、3歳児だってまけるのだ。
生分解性マルチは破けやすいが、種まく場所は分かりやすい。
「3歳の子に種まきの意味、わかるのかなぁ」なんてしゃべっていたけれど。
意味が分からなくても、Tくんがモデルになったのかと思う。
別の日にやってきた年長児Sくんたちは母たちの誘いに応じず、母たち主役で種をまいた。
「自分でまいた大根を抜いて食べられるんだよ」と言っても、勝手に別の興味で動いていた。
反抗期?独立期?それとも個性?
いずれにしろ、俺は楽しませていただきました。
まかれた種はおおむね無事に双葉を出し、今は本葉も展開して育ちつつある。
収穫は11月からかな。
9月半ばの稲刈りにも子どもたちに参加してもらった。
バインダーを借りてきての作業だった。
3年前までは手刈りだったが、次週から出稼ぎで、なかなかのんびりしていられない状況。
利用者さんも何人かは刈って結わいてくれる機械を体験してもらった。
刈るだけでなく、結わくのも機械がするのは「スゴイですね」と感心する人たち。
確かにそうなのだが、「でも、これは昭和の機械ですよ」と、返した。
今は、刈ると同時に脱穀までしてしまうコンバインが主流だからだ。
コンバインが登場すると人は必要なくなる。
バインダーだと、結わかれた稲の束を拾って運んで掛け干しの竿に架けていく作業がある。
子どもたちが拾って運んで母に渡して架けるという賑やかな光景が見られた。
稲の束は幼児の身長と同じくらいだが、それを抱えて歩く子どもの姿はなんとも可愛い。
3歳ぐらいの子たちは1束ずつを運ぶが、張り切って4束も抱えて運んだ年長児もいた。
利用者さんに渡している連係プレーの場面も見られた。
自然な交流。
良かった。
コンバインが無くて良かった、と言っても、負け惜しみにもならないが、、、
架けられた稲の粒が陽を浴びてピチピチと歌っていた。
サツマイモは、ふだんの農耕班と別のグループに収穫を依頼している。
コロナ対応で組織内が縦割りになっているという事情がある。
本来はいろんな人たちが集って働くいわゆるゴチャマゼが良かったのだが、、、
いろんな人たちとは、自宅から通う人、グループホームの人、入所施設の人を指す。
ゴチャマゼを敬遠し、活動の場にいろんな人を集めないことが縦割りの狙いだ。
これによって農耕班のメンバー構成も大きな影響を受けている。
「M店長、いないの?」と子どもたちも気にしてくれている。
残念だ。
辛抱だ。
急ごしらえの芋ほり班は畑の初心者も多い。
土の中から紅い芋が出てくるとにわかにコーフンし、歓声が上がる。
「ホリノコシガクエンに注意しろー」と声をかける。
外に出かけて作業するのも新鮮なのだろう。
予想外の盛り上がりで、楽しんでくれているのは、それはそれで良い。
しかし、掘り始めの様子からは、芋のできはあまり良くないように見える。
7月の長雨と日照不足が響いているのだろうか。
サツマイモは、いや、サトイモも、まだまだこれから寒くなるまでは太る。
太るだけ太らせてからの収穫が人情かもしれない。
しかし、豊作だとそれはそれで困ることもある。
寒くなるとサツマイモは腐るのだ。
500株以上植えてあり、太るのを待ってからの収穫では、下手すると後半は年末になる。
グズグズ掘り残していると畑で腐る。
保管にはボイラー室を有効利用しているが、グズグズ売っているとそこでも腐る。
腐らせて無駄にするか、太る部分をあきらめて収穫するのか。
悩ましいのだ。
そこで、今年はとりあえず早めの収穫スタートとなった。
が、今は、掘っても量が少ないなら、もう少し置いておこうかと考えていたりする。
今、気にしているのは、大豆の実入りだ。
去年は、9月末から枝豆収穫ができていたのだが、、、
今、しっかり繁っているし、さやもそれなりについてはいるが、、、
実が太ってこない。
「ツルボケ」の恐怖が頭をよぎる。
6月に、子どもたちもいっしょに植え付けた豆たち。
初夏の別品種の枝豆が大好評だったので、秋の「本物の枝豆」にも期待しているのだが、、、
ガガガ、だ。
稲刈りから2週間。
そろそろ脱穀だ。
また、田んぼを走り回る子どもたちと共に作業する利用者さんたちの姿を期待している。
(石田周一、もうすぐ59歳)