第24回 石積み、煮炊き、小屋作り、イベント主催

2019.2.1
映像の持つ力

生きるために必要なもの

石積み、煮炊き、小屋作り、イベント主催。秩父地方の7-15才までの子どもたちの行事(通過儀礼)で行われる一例。子ども主体で執り行います。映画「秩父の通過儀礼その2」※で1980年当時の様子を観ることができます。

石積み、煮炊きは四月のオヒナガマ行事。子ども組みで行うおひな祭り。川原に石を積み囲い、おひな様を飾る石壇や、お粥を煮炊きする場を作ります。各自持参したものを集めてお粥を炊き一日河原で遊びます。

>> この石積みって技術が必要。今では講座が開かれ、お金を払い学ぶ人もいますが、秩父では通過儀礼を通し子供の遊びの中で習得したのですねー。

5月にはお釈迦様の花祭り。神社に籠り自分たちで詰み集めた花で飾り、お釈迦様に鎮座してもらう花御堂を作ります。その様子はまるで曼荼羅を描いているよう。

7月、無病息災を願う天王焼き行事では、男の子ども組が山の中腹に4本柱で尖り山した四角すいの掘っ立て小屋を作ります。

柱の竹は山から切り出し、壁をふく材は麦わら。脱穀中の家をたずね麦わらを調達します。小屋の中は3階の層に分かれ、みんなで一晩おこもり。翌日に花火をあげ、厄払いと村内安寧を願い小屋に火が放たれます。行事の大事な役を子供も担います。(映画の1980年当時は子供が少ないため高校生や大人も手伝っていました)

>> なんと大麦と小麦。同じ麦ワラでも燃え方が違うのですって。ばっと一気に燃やすには大麦が良いのだと。そーいえば、清瀬市中里の富士講の行事「火の花祭り」のお焚き上げで使う、ワラも大麦が使われていたなぁ。

話は、天王焼きに戻り、子供に配る花火は子供たちが集金し子供たちが考え平等に分配します。すごいな・・。かつては秩父のように、どこの地域でも、その土地で生きる技や知恵を15才までに伝え一人前に育てる。そこには行事を通し衣食住、芸能・文化やアートまで経験します。

きっと、こうした年齢に合わせた行事を通して。私たち人が、生きるために必要なものを体で学び取ってきたのですね。

すごいな、すごいですね。地域に残る年中行事には、この生きる力を学ぶ仕組みが組み込まれている。

さて私はどうする? 去年からの野良仕事で300坪の大きさや、四季を通してどれだけ汗して風雪に耐えるのか、何とか身についてきました。だから次は、田んぼや畑を見て、ここだと、人が1年、何人食べられることが出来るのか、分かるようになりたいな。

(中川美帆)

 

※ 「秩父の通過儀礼その2」「鹿児島の正月行事」は、はまどまシアターでは上映終わりましたが、川崎・世田谷で上映しますよ。ぜひ観にいらしてください。詳細はこちらをご覧ください。
*2/2(土)川崎小島新田 FBイベントページ
*2/16(土)世田谷代田 FBイベントページ

作品クレジット
「秩父の通過儀礼その2」 埼玉県教育委員会委嘱/民族文化映像研究所制作/制作指導 埼玉県歴史資料館
「鹿児島の正月行事」鹿児島県教育委員会委嘱/民族文化映像研究所制作

 

里山の恵み上映会!次回は3月25日(月)
手仕事シリーズ「小川和紙(細川紙)」「奄美の泥染め(大島紬)」

人々が地域に根ざして暮らす中で改良された技術とその心。受け継ぎたいものですね。ぜひ、はまどまシアターに、足をお運びください。

* 小川和紙は2014年ユネスコ無形文化遺産に登録された細川紙のことです!

 

里山の恵み・伝統文化に出会う上映会~『小川和紙』(細川紙)『奄美の泥染め』(大島紬)

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