第113回 マめイもファーム
2018.1.31いしだのおじさんの田園都市生活
豆芋ファームについて、以前にも書いている。
と
だ。
後者では、
「豆芋ファームを発展させるのが今年(2017年度)の課題だよ」
とまで書いた。
その年度が終わろうとしている。
目に見えての発展は、未だ、、、ない。
それどころか、今年は豆の栽培で過去にないダイシッパイ。
鶴の子大豆が全滅。
黒大豆も植え付けからコケて収量が極端に少ない。
味噌を仕込むための豆が確保できていない。
天候のせいもあるし、
稼ぎ仕事が忙しかったせいもあるし、
多様な主体を受け入れての作業であった、
などなど、イイワケもしたいが、
ま、つまるところ、俺の責任。
しっかり反省して次はリベンジだ。
PDCAシートを作成しなければ、、、
(面倒くさいな~)
しかし、
ここへ来て、
動きが出て来た。
行政の担当者と話をし始めたのだ。
豆芋ファームは、「マめイもファーム」で、
ごまめの歯ぎしりのように、大手に抗って(?)いるのだが、
(なぜ対抗するかは、イミフメイだけど、、、)
もともと、
我々幸陽園農耕班の畑は、豆と芋を中心とした畑だ。
人間の都合で動ける作物を選んでいる。
全体を6区画に分けている。
区画割りは連作障害を避けるための常套手段。
春から夏にかけて畑に現れる順に、作物を紹介してみる。
- 春のジャガイモ(2月末から3月初旬植え付け、6月に収穫)その後秋冬野菜
秋のジャガイモ(8月末から9月中旬植え付け、霜の後に収穫)春夏はウリ科など
- ネギ(3月初~中旬植え付け、8月から3月まで収穫)
- 里芋(3月下旬~4月中旬植え付け、9月から3月まで収穫)
- かぼちゃ(3月下旬種まき、4月下旬植え付け、6~8月収穫)その後、秋冬野菜
ズッキーニも同じ区画ないし秋ジャガエリアに植え付け、5~7月収穫
- サツマイモ(5月中旬植え付け、9月から霜が降りるまでに収穫)
- 大豆(6月中に種まき11月に収穫)
秋冬野菜は、大根、白菜、キャベツ、ブロッコリー。
この他に区画外エリアもあるし、
また、畑の空いている時季に適当なものを作付けたりもしている。
施設に隣接した別の畑もある。
他に作付けている野菜を挙げてみると、
玉ネギ、レタス、ゴーヤー、冬瓜、落花生、春大根、春キャベツなど、
施設に隣接した畑には、インゲン、枝豆、オクラ、空心菜、モロヘイヤなども。
やっぱりいろんなものを作りたくなるし、
お客さんも待っていてくれる。
しかし、この主要6種の作物の基本はくずさない。
なので「豆芋ファーム」なのだ。
「人間の都合で動ける作物」とは、特に収穫についてのことを言っている。
人間の方が作物の都合に合わせなければならない野菜もある。
例えば、キュウリは農家なら1日に2回収穫するし、
トマトやナスも基本は毎日収穫するものだ。
畑に行かれない日が続くとヒドイことになる。
キュウリはバナナになってしまう。(黒柳徹子『トットチャンネル』)
それに比べて、豆や芋やネギや秋冬野菜は、
作業できるときに収穫すればいいので、
我々のような畑に行けない日も多い兼業農家(?)でもこなせる作物だ。
(夏のインゲンなどはあまり放っておかないほうがいい)
この豆芋ファームについて行政と話をしているのは、
いくつかの理由がある。
横浜市には「栽培収穫体験ファーム」という制度がある。
横浜市のサイトには以下の様な説明がある。
プロの農家の指導を受けながら、野菜作りを学びませんか?
「栽培収穫体験ファーム」は農家が開設・経営する体験型の市民農園です。
利用者は毎週土曜日又は日曜日に開催される栽培講習会などを通じて指示に従って農作業を体験
します。言わば、農家が先生となった教室方式の「体験農園」です。
野菜作りが初めての方でも、トマト、ナス、キュウリ、ブロッコリー、ハクサイ、ホウレンソウ
など、年間12種類以上の野菜の栽培体験と収穫ができます。栽培に必要な種苗、肥料、農具等は
開設者が用意します。農園には、井戸、トイレ、ビニールハウス等の設備があります。
※ 区画貸しの農園ではないため、自由な作付けはできません。
な~に谷っ戸ん田もこの制度を利用しておこなっていた。
なので、私には一定程度の経験がある。
(学校水田を除いた水田での制度利用はな~に谷っ戸ん田だけ)
行政の意図を私が勝手に解釈すると、
市民の(本格的で統制の取れた)農作業体験の場をつくる。
農家の労力を削減しながら収入を確保する。
市民と農家の交流と相互理解を進める。
これらによって農地が保全されるようにする。
と、いうことだろうか。
現在、横浜市内に62箇所9.0haあり、
それぞれが特徴のある運営をしている。
ベテランが後輩を指導することで農家の手間がさらに省けたり、
利用者間にコミュニティができて楽しさ倍増していたり、
いろんな事例があるようだ。
しかし、農家の高齢化や後継者問題、
また、利用者もそれほど本格的な作業を望む人は多くないなど、
問題点もあるようだ。
そこで、豆芋ファーム、なのだ。
現行の栽培収穫体験ファームと、豆芋ファームを簡単に比較すると、
まず、豆芋ファームの方が作業の手間も技術も少なくて済む、
現行では夏場は最低でも週に2回以上収穫をしないとならないだろうし、
トマトやナスは仕立て(支柱を立てて誘引したり、側枝や脇芽を欠いたり)がある。
その分、収穫の喜びがあるだろう。
トマトやナスが食卓にたくさんあれば夏のパワーになる。
しかし、手間と技術のハードルが上がれば門戸は狭まるだろう。
しかし、豆芋ファームならば、
夏場の草取りは手間ないし工夫が必要だろうが、
あとは、行けるときに行けばよく、
2週に1度くらいの作業でも何とかなるだろう。
そして、そのために区画を広くすることができる。
現行の栽培収穫体験ファームは1区画が30㎡程度だが、
豆芋ファームなら50~100㎡以上、1作物30㎡でも良いと思われる。
つまり、少ない手間でより多くの農地の保全も可能になる。
それに、我々のような福祉団体でも開設し運営できるだろう。
農家でもさほど手間と技術を傾注できなくても取り組める。
大豆を作付けて味噌を仕込んでも良いし、
小麦でパン!ピザ!クッキー!うどんもいいだろう。
グループで楽しむのにむしろ向いているかもしれない。
最近、我々の畑には親子たちが収穫体験に来てくれるようになった。
3歳児たちが親子で芋ほりを手伝ったり、ネギやキャベツを収穫してみたり、
そして、買い物もしてくれる。
「おやま、のぼってもいい?」と堆肥の山を喜んでくれる。
堆肥の山づくりのやる気が増してしまう。
近くで自主保育をしているグループの親子で、
我が社の利用者ともすっかり仲良くなり、いい感じだ。
先日もM田店長と呼ばれている利用者が、
「僕、小さい子の面倒をみるのが好きなんだ」と言うので、
「え~、面倒みてもらってるんじゃないのぉ」なんて笑ったのだが、
楽しみに待つ人がいることはいい。
私もとても楽しみにしている。
私も面倒みてもらっているのだ。
自然な交流であり、お互いにいい経験だ。
今後、植え付けなどにもいろいろ参加してもらいたいとも思っている。
豆芋ファームは始まっている。
(石田周一)