第105回 Don‘t let me down
2017.5.31いしだのおじさんの田園都市生活
暑い5月だったね。
・うん。今日も背中がじりじりしたよ。畑で。
年々暑くなっているんじゃないかなぁ。
・実際にそうらしいよ。データー上も。
やだなぁ。
・うん、、、ところでね、今日はね、レタスの廃棄作業をしていたんだ。
へぇ。もったいない、というか、テレビで見たことあるような、、、
・そんな、畑ごと何トンも廃棄したわけじゃないけどね。
どれくらい?
・まぁ、個数にして100~150くらいかなぁ、、、
なんで?
・売れ残って、塔立ちして、あとに植えるサツマイモの畑も作らなきゃならないし、だよ。
そうかぁ?
・もちろん、残らないように売れたらよかったんだけどね。作りすぎた、かもね。
難しいもんだね。
・どうも、家庭菜園的な感覚が抜けない部分もあるね。
どういうこと?
・例えば、直売で売れ残っても捨てられない。
そりゃあ、そうでしょ。
・そうじゃないんだなぁ。
え?
・売れ残ったのは捨てて、また次の新しいものを並べたほうがいいんだよ。
そりゃあ、お客さんは新しいものがいいよね。
・でしょ。
売れ残らないように並べればいい。
・それもチガウでしょ。お客さんが来たときに売り切れてちゃ、マズイ。
うん。
・そもそも、ちょっとしか置いていないのも淋しい。
そうかぁ。難しいね。
・だから、日々たくさん取れて、たくさん売れて、残って捨てても、儲かればいい。
ほんとにそう思っている???
・いやぁ、どうかな?そもそもたくさん取れてないし、たくさん売れていない、けどね。
せっかく作った野菜がまだ食べられるのに捨てるのは、、、
・うん。フードロスだよ。心が折れるよね。
ゴクロウサマです。
・商売は生産とはまたチガウんだね、感覚が。矛盾があるね。
世の中はムジュンだらけ、、、
・商売のために生産しているわけじゃない、と、思いたいけど、、、
でも、稼がなきゃね。
・うん。うん。うーん。
大きなため息。
・もう一つ、ユーウツなことがあるんだ。
そうですか。
・稲の苗づくりに失敗した。一回全部捨てた。
へぇー。どうして?どうなるの?
・そんなぁ、、、ヤツギバヤに聞かないでよ。メゲているんだからぁ、、、
、、、
・、、、
心配しているんだけどね。
・ああ、ありがとう。まき直したのもあまり調子よくない。
あらら、、、
・なんとか田植えにはなると思っているけど、とても心配。
どうして?
・「苗半作」って言うんだよ。お百姓さんは。
苗で半分決まる、ってこと?
・うん。そうだけど、それは、普通か上等かは、苗によって決まる、ってことだね。
へぇ?
・ダメな苗からはいいものはできない。
あらら。
・かれこれ30年近く田んぼをやっていてこんな失敗は初めて。
そうなんだ。油断があった?
・うーん。
どういう失敗?
・発芽が悪くて、発芽したところも立ち枯れしたり、、、
今まではそういうこと無かったの?
・うん。生育不良はあったけど、発芽がここまで悪いのは、無かったねぇ。
原因、分かっているの?
・例年と同じようにやったつもりなんだけどね。
そういうもんなんだ。
・そりゃあ、人間は同じにやっても、自然はいろいろ条件がチガウからね。
例えば?
・今年で言えば、雨が例年の4割以下というカラカラ状態。
うん。
・種まき後にたっぷりと水をやってビニールマルチをして、いつもなら問題ない。
今年は問題だった?
・うーん、地中に水分がなかったかもしれないね。
かも、ですか?
・いやぁ、他にもいくつか要因は考えられるんだけど、これという決め手はないんだ。
専門家に聞いてみたら?
・うん。林くんには聞いたよ。
なんだって?
・いくつかの要因分析や改善案を教えてくれたよ。それに種籾を分けてくれた。
そうなんだ。参考になった?
・うん。彼もいろんな失敗しているようで、「いつも失敗から始まる」、って言っていた。
そう言えるのはスゴイね。
・大した男だよ。
石ちゃんは「大したことない男」
・知ってるよ、そんなこと。平凡がイチバンだろ。
平凡ではない。へん。
・それも知っているけどね。
だって、田んぼのことで一喜一憂している。
・そこは、フツーだよ。育て育てられているんだから、
そっか。
・来年はもっともっといい苗作りをするよ。
へん。
・去年は、苗もほどほどの出来だったから、浮かれていたような記憶がある。
ジロジロファイブとか、言っていたよね。
・彼は、今年も健在。喜々として泥にまみれている。
そうなんだ?
・彼らは一喜一憂しないからなぁ、、、
強いんだね。
・いや、作物のことでは、だよ。彼らにも心配事はけっこうある、よ。
そうなんだぁ、、、
・いや、人にもよる、ね。
はい。
・このあいだ、俺ね、貴重な苗を移動中に崩しちゃって、「わああ」って悲鳴が出ちゃった。
心が折れた?
・クラッシュ、した。
うん。
・でもね、そのとき、Iくんが、「ドンマイ」ってニコニコ顔で言うんだよ。
へぇ。
・折れた心が、ね、なんか、ね、、、ふわっ、っと、ね。
職員が利用者さんに助けられていていいの?
・いつも言っているだろ。双方向の支援だよ。
おたがいさま、って、こと?
・うん、ヒラガナで言ったほうがいいね。
でしょう。
・でも、なんだかこのユーウツは、田畑の失敗のことだけじゃない、気がする。
えっ?職場がうまくいっていない?
・いやぁ、、、そんなのはいつもだから、フツーのことだから、、、
じゃあ?家庭?
・ははは、それも、いつものフツーのことだから、、、
ははは。じゃあ、ヨノナカか?
・そうかもねぇ、、、バクゼンとした不安が大きくなっているよね。
キタ〇〇〇セン? ドナ〇ド?
・いやぁ、、、ミサイルもセーケンが民の関心を逸らすために、と、疑いたくなるくらい、、、
そんなことネットに署名入りで書いたら捕まるかも、、、
・悪い冗談がホントーになりそうな、、、
イヤだねぇ。
・Don’t let me down、Don’t let us down だね。
(石田周一)
幸陽園農耕班、Facebookページ、作りました。
よろしくお願いいたします。