第100回 小説「里山家族」?

2016.12.27
いしだのおじさんの田園都市生活

・小説を書くことにしたんだ。

またまたぁ、、、付き合いきれません。

・いやいや、昔から考えていたことだよ。

昔からおかしかった。かなり、おかしかった。

・ははは。まぁ、書くことは自由だし、、、

読む人がいるかどうかも、その人の自由だからね。

・そういうこと。

テーマは?

・里山だよ。

なあんだ。

・なあんだ、は、ないでしょ。

恋愛とか、犯罪とか、はたまた、社会問題とかじゃないんだ。ドロドロとか。

・なんだよ。ドロドロって。

ははは。

・里山は社会問題かもしれないけど、ね。

自分の体験をもとに書くわけ?

・いや、自分というか、、、事実がネタにはなるけど、想像や妄想も含めてだよ。

ふうん。

・先日、ちゃんと打ち合わせもした。

誰と?

・〇〇の編集者。

ええっ?もう、発表先があるの?

・ははは。それは何と言おうか、、、まぁ、小説の依頼があるわけないよね。

依頼は小説じゃないのに小説を書く?

・俺とY女史とで書くことになるかと思うんだけど、、、

へぇ。

・そのY女史とね、打ち合わせをしたところから妄想が膨らんだ。ふふふ。

よく、分かりませんねぇ。

・編集者には里山公園に来てもらったけど、Y女史とはファストフード店で打ち合わせた。

なになに?

・ショッピングモールの駐車場があって、人がいなくて、穴場のお店。

へええ。

・そこで話し合っているうちに「小説を書こう!」と決まった。

どういう話し合い?

・まぁ、ね。編集者からの依頼は「里山にかかわる暮らし」というテーマ。

どこかで聞いたことがあるような、、、

・どこかで聞いたでしょ。

どこだったかなぁ、、、

NORAのテーマというか、キャッチフレーズじゃん。

そうだった、そうだった。

・ちゃんとおぼえておいてよ。

ははは。でも、なんでそれが小説?

・ま、ね。「里山とかかわる暮らし」の主語の問題かな。主語。

どういうこと?

・里山の暮らしや農業や自然について、説明・解説などを書くことがまずは浮かんだ。

例えば?

・今、12月なら、餅つきとか正月飾りとか、麦踏みとか、冬の鳥とか、冬越しする生き物とか、、、

なるほどね。ネタはいろいろだよね、季節によって。

・そういう里山らしい暮らし、農業、生き物のことが題材としてある。

いろいろあるよね。私なんか知らないこともたくさんありそう。

・そう。だからその一般的な都市生活者があまり知らないことの紹介がオーダーだと思う。

そうでしょ。小説じゃないでしょ。

・うん。そうだね。でもね。

「でも」とか「だって」とかは言わないほうがいいんじゃなかったっけ?

・ははは。でも、でも、なんだよ。

ヒネクレモンだからね。石ちゃんは。

・そうだよ。俺はね、「里山とは何か」ではなくて「私にとって里山とは何か」を発信したい。

はいはい。でも、「里山とは何か」を書けない、と言ったほうがいいかも。

・ま、ね。アカデミックな専門家じゃないからね。

バカデミック!

・せーかいっ!

ははは。

・で、ね。かと言って、「私」を俺に限定して書くわけにもいかない。

じゃ、どういう私?

・ま、いろんな人。その人にとっての里山だよ。

なるほど。

・人の多様性だよ。

ちゃんとしたものを書かなきゃいけない場所なんだ。

・ま、ね。それで、Y女史と話したのは、まずは主人公を想定しようということ。

小説の?

・いや、小説って言ったのは後からの話で、最初はルポルタージュを考えた。

なんか、大袈裟にいうのが好きなんですね。

・うん。ノンフィクション、でもいいんだけど。

横文字。

・いや、サザエさんでもいいとかも言っていた。

・要は、家族が里山体験をしていく物語。

なるほど。

・実在の家族をモデルとして、実在の里山のことを、、、

つまり、新治の話?

・まぁ、そうなるね。

そんな家族がいるの?

・子どもに里山体験をさせたくて新治の近くに越してきた家族がいるんだって。

へぇ?どこから?

・中区か西区の都会からみたいだよ。

そういう人がいるんだ?

・その家は新治の里山を子どものためにと明確な目的があったらしい。

スゴイね。

・でも、小説の主人公はたまたま郊外の住宅街を選んだら、そこに里山があった、ことにする。

オシャレな街の閑静な住宅街のすぐ近くに。

・そう、自然体験ができる里山や農体験ができる田んぼや畑。

新鮮野菜が買える直売所や地産地消のレストラン。

・そうそう。交流センターに市民活動などなど、意識していなかった意外な地域の魅力に出会う。

なるほど。

・そして、地域の事情を知り、都市と農村を比較したり、ローカルとグローバルを考える。

そこまで行く?

・里山的価値観から社会を考える。

もーそー、もーそー。

・ま、そこはどうなるか?小説だから、主人公がどう動くかによっても変わってくる。

無責任ですね。

・いや、楽しみだよ。いい動きや予想外の出来事を期待しているよ。

どういう家族構成?

・父母と姉と弟の4人家族。ティピカルな。

お父さんはサラリーマンで、お母さんは主婦で?

・ま、元OLで、今はパートかなぁ。

社内恋愛?

・いやいや、その辺には入り込まないよ。

でも、細かいところも考えたほうがいいんじゃない?

・いや。そこは、幅広くいろんなモデルから話を持ってくるから、、、

そ、か?

・お姉さんは小学5年生、弟は年長さん。

ふうん。ありがちですね。

・俺、な~に谷っ戸ん田のYくんが田んぼで裸になって泥んこになった姿が目に浮かぶ。

うん。あれは良かった。

・子どもが泥んこになると幸せを感じる。

はいはい。

Y女史は生き物観察する子どもにテンションが上がるみたい。

やっぱり、子どもが里山体験をするストーリーは読者にもうけるかもね。

・そうでしょ。

お姉ちゃんはHちゃんのイメージ?

・うん、Sちゃんもね。田植えや味噌づくりを楽しんでくれた姿とか印象的だった。

実在のモデルがたくさんいるね。

・うん。な~に谷っ戸ん田のホームページなどを見返すとネタはたくさん。

あれは新治じゃないじゃん。

・ま、ね。結局はいろんな人やいろんな里山をモデルにしていくことになると思うよ。

なるほど。

・事実からデフォルメして書いていくんだ。

あとは書き手の文章力?

・そうだね。

こんな与太話のコラムを書いている人で大丈夫ですかぁ?

・ははは。これでもそれなりに読者もいるようだし、、、

いつの間にか100回だし、、、

・ま、楽しんでやっていくよ。

  

(石田周一)

先日、出版社コモンズの忘年会でこのコラムを「おもしろい」と言っていただき、光栄でした。

そんなぁ、100回のお祝いなんて、、、そんなぁ、、、

ご指導ご鞭撻。応援、お叱り。お待ちしています。