第94回 釜飯仲間・おこげのお話
2016.10.1神奈川・緑の劇場
このコラムは、日ごろから「はまどま」の活動を通して出会った出来事や、仲間たちのことなどを記してきました。月日を重ね、近ごろは、町内会をはじめとした地域の皆さんとの結びつきが多くなっています。嬉しいことです。
10月15日(土)には、大岡川アートプロジェクト「光のぷろむなあど」のプレイベントが開かれます。子どもたちを中心にしたこの企画は年々参加の輪も広がっていますが、その輪に加わることで出会った皆さんと、一方では、身近な神奈川の生産者とのつながりを日々の暮らしに大切にしていこうとすることが活かされた出来事がありました。
南太田小学校「オヤジの会」が、「流し素麺」を企画しました。竹の樋に流れる素麺。夢中になる子どもたちの笑顔。本物の竹の風合いと素麺の味、オヤジたちの愛情が子どもたちの心深くに刻まれることでしょう。自分の幼いころの体験でも、ささやかにみえる地域の企画は、すごく大事だと思います。年を重ねると、親や、身近な大人たちが頑張ってくれたことが、とても懐かしく思い出されるのです。
けれど「竹などどこで手に入れることができるのか?塩ビの樋でも仕方がないのでは」と思っていたら、すぐそばにNORAがいた、というわけです。「光のぷろむなあど」のキックオフイベントで出会いました。
NORAが里山に暮らす生産者と日常から繋がっていればこそ、“いともたやすく”都会の子どもたちに、本物の竹を提供できるというもの。今回は、小田原の小沢和義さんの孟宗竹を用意しました。かつて、NORAで手入れをお手伝いした竹林ですが、最近がご無沙汰していました。そして、近年は、猪の食害が深刻になっています。人間が掘る前に、彼らが筍を食べてしまうのです。人家の目の前までやってきて泥池を作り体に泥を浴びていきます。
県の西部では利用されなくなった竹藪が、畑や森林を侵食して手に負えなくなっています。竹は、かつては暮らしの中のありとあらゆる道具、様々な資材として利用し、日本人の暮らしを支えてきた自然の恵みです。
石油資源製品を、再び自然素材に置き換えることはできないものか、と思います。
自然素材の良さが様々な角度から見直され、利用する人も広がっています。「衣・食・住」私たちの祖先は自然素材100%の暮らしから、手しごとも極め知恵を働かせて代々伝承してきました。
昔に戻ろうというのではなく、未来に向かって、人間の、あるべき暮らし方を選択し構築したいのです。その先に、生きやすさがあり居場所づくりも見えてくるのではないか、と思うのです。
9月22日(木曜日・祝日)あいにくの天候の中、しかし、オヤジたちは頑張って、無事に「流し素麺」を実施できたとのことでした。良かったです。
(2016年10月1日記 おもろ童子)