石田のおじさんの田園都市生活

第81回 来年百姓

2015.5.31
いしだのおじさんの田園都市生活

暑いね。まだ5月なのに、、、連日30℃。
・6月になったら、40℃。
ヒドイ冗談。オモシロくもなんともない。
・からむねぇ。ジョークでも言って笑っていないと、、、
いないと?
・もっと暑くなるのはマチガイないから、ね。
だからっ?
・だぁから、そうイライラしていると、モタナイ、ってことでしょ。
それを聞くのが、イライラだぁ。
・でもね、ホタルはきれいに光っていた。たくさん、飛んでいた。
ふうん。(見ていないけど)
・例年より10日ぐらい早かった、って、ピークが、、、
見に行きたい、気もするけど、、、
・ここは田園都市から遠く離れているからねぇ。
遠いね。
・sigh、、、
(気を取り直して)畑はどうなの?
・sigh、、、
、、、
・その畑のすぐ近くの川にたくさんいるんだよ。ホタルが。
いいね。
・でも、畑は「いいね」とは言えない。
えっ?
・まぁ、55点ぐらいかな。
意味が分かんないんですけど、、、
・最近は、いろいろと採点しながら考えているんだ。
わからないことが、よけいにわからなくなる。
・反省して改善策を考えているってことだよ。
例えば?
・春の迎え方、だね。
具体的に言えないの?
・つまり、ネギの苗を注文するなら1月、とか、ね。
具体的過ぎて、わからない。もう6月でしょ。
・まぁ、ネギの収穫は秋だけど、いい秋を迎えるには春の前からが大事でして、、、
なるほど。
・5月も終わりで畑に植え付けるものはだいたい植えた。
うん。どんなもの?
・芋3種、わかる?
サツマ、ジャガ、サト、でしょ。
・おみごと!でも、順番がチガウ。
順番って?
・植え付けの順番ですよ。ジャガ、サト、サツマだよ。
そんな、どうでもいいじゃん。
・隣の農家さんは3月にサトイモを植えて、もう今いい感じでうちと差が出ている。
見習えば、マネすればいいじゃん。
・ま、ね。他にヤマトイモも植えた。そして、ネギにカボチャ、がメイン。
メイン以外もあるわけ?
・ダイコン、インゲン、エダマメ、オクラ、ラッカセイ、トウモロコシ、などなど。
いろいろあるじゃん。
・クウシンサイ、カブ、コマツナ、モロヘイヤ、、、オカヒジキも。
あるじゃん、あるじゃん、、、
・でも、人気者がいない。
ナニ?人気者って?
・トマト、ナス、ピーマン、きゅうり、など、夏の果菜。
そういえば、、、なんで? 難しい?
・いや、技術的に難しいのもあるけど、我々が毎日畑に行くのが難しい、んだよ。
そういうことか。
・毎日確実に収穫しなくちゃならない野菜は、あつかえない。
しかたないね。
・プチトマトくらいならやってもいいんだけど、、、
でも、やらない。
・収穫が面倒くさい。
はいはい。
・とにかく、メインの野菜は植え付けた。田植えも、これは手伝いだけど、終えた。
で、55点?
・そう。今はまだ野菜が小さくて畑のアラがよく見えちゃう。
そうなんだ。
・で、調子いいね、っていうか、合格点が出せるのは、、、う~ん、いくつかなぁ、、、
ま、完璧な仕事ってないでしょ。
・もちろん、完璧は無理だとわかっているけど、でも、反省点改善点を明らかにしたい。
そう。
・「来年こそは」って、毎年言うんだよ。毎年、性懲りもなく。
ははは、、、
・「来年百姓」って言うんだよ。これを、、、

・例えばね、畑で今のカボチャを見て、来年はこうしよう、って思う。
今すぐできないの?かな?
・そうなんだよ。1月2月前にやったことの結果が今の姿だから。
なるほど。
・できるなら2月にもどって、いや、3月でも4月でもいいんだけど、、、

・戻れるなら、戻りたい。今度はもっとうまくやれる。
そうはいかない、のが、人生。
・よその畑の作物がやたら立派に見える。
隣の芝生? そういうもんだよ、人生。
・人生、いろいろ。(戻れるなら、パートナーも考え直すし)
いろいろ。(つきあいきれない、この話)
・田植えも楽しんだけど、、、
けど?
・若い女の子の参加が無かった。
何を考えているんだか、、、
・(先週は、近代文学館で谷崎潤一郎を学んだから、感化されている、、、)
(田んぼで若い女の子も無いと思うけど、、、)
・我が社の娘たちも今回は日程が合わず、いや男性でもいいんだけど、、、

・若手が参加することで地域との関係性が前進する。
それは、そうかも。
・かといって、参加を強制するわけにもいかない。
でも、業務なら命令できるでしょ。
・今年は業務にまでできていない。山梨での田植えは業務だけど、、、
今年は行かなかったね。
・俺は行かなかったけど、また違うメンバーが行って来た。俺は別の機会に行く。
ふうん。
・草刈りして、温泉入って、むふふ。
どうせ、アルアルコルコルでしょ。
・いや、むふふ、で、夢を語るんだよ。
なんだか、かんだか、、、
・女の子じゃないけど、幼稚園児のママたちは頑張っていた、よ。
意外なところに田んぼ好きがいるんだね。
・パパよりママの方が働く。地主さんのお子さんの仲間たち。
あの、泥んこブラザーズ?
・そうそう、楽しそうで、真似したくなるんだよね。田んぼでドボン。
今後もその仲間たちは続けていく?
・いや、頑張ってきたお祖母ちゃんが「もう、しんどい」って。
そうなんだ。残念だね。誰かが引き継がなきゃ。
・今年もやってほしいと頼まれていたんだけど、1年待ってほしいと言った。
じゃ、来年はやらないといけないねぇ。
・うん。どういうやりかたをするか、考えているんだ。
どういうやりかたって、田んぼは田んぼでしょ。
・いや、そうだけど、例えば、今は手植え手刈りだけど、機械を使うとか。
なるほど。
・機械を使うとすれば、どこか?手植えの機械刈りとか、いろいろやり方はある。
ふむ、ふむ。
・手植えの苗の作り方も植え方もいろいろある。
そうなんだ。
・それも、効率を優先するとか、子どもがやりやすくするとか、いろいろ。
子どもができる方法がいいんじゃないですか。
・せっかく今、子どもたちが集っているんだから、それを継続できたらいいよね。
それでこっちの手間がやたらと増えても困るけど、、、
・そう。どっちかが犠牲になったら続かないし、ね。
でも、続けることだけが目的でもない、でしょ。
・スルドイこと言うね。
でしょ。
・そうだよ。守りに入ったら、つまんないよね。
でも、攻めの姿勢、っていうのも、どうなの?
・攻めるとか守るとか、人様の田んぼを勝手なこと言えないけど、、、
でも、攻める気持ちが無けりゃできないよね。
・それをおじさんがやるのか?向かないよね。若手のチャレンジに期待したいよね。
そういう風に言うことが、おじさんなんでしょ。俺も若手だって言ってみれば?
・ま、どうなることやら。来年が楽しみ。
田植えしたばかりで、もう来年のこと考えている?
・永遠の来年百姓、ですから。
(石田周一)