第96回 夏ネギ2016

2016.8.31
いしだのおじさんの田園都市生活

台風、直撃しなくて良かったね。

・うん、ホッとしたよ。でも、東北や北海道で被害が出ている。

うん。

・今まであまり台風が来なかったところだ。

自然が変わってきている?

・「歴史的」とか、「かつてなかった」とか、「50年に一度」とか、「1日で1月分」とか、、、

だんだん、そういう言い方に慣れてしまうような、、、

・不安になるよね。

うん。

・前の台風では我が社の畑にも少し被害があった。

あらら。

・オクラやヤツガシラが倒れたり、ネギが折れたりした。

そうなんだ?ネギって折れるんだ?

・土寄せが中途半端だったかなぁ。いいネギになってきていたのに、、、

柔らかくて美味しかった。それに今の時季は高いから、助かる。

・美味かっただろ。去年よりずいぶん早くからの収穫だよ。2ヶ月くらい。

スゴイね。

・今年導入した夏ネギ品種だよ。植え付けたのはアメリカ人。

ずいぶん国際的ですね。ボランティアさん?

・そう。アメリカでもネギは食べるって言っていたよ。

へぇ。どうやってたべるのかなぁ。

・彼女はアジア系だから、炒めるって言っていたよ。

ふうん。ポロネギとか洋風のもあるもんね。

・うん。スープとか美味しいよね。アメリカじゃイカダ焼きはないかな。

ネギはいいよね。基本食材。

・ひっぱりくん、っていう道具で、チェーンポット苗っていうのを植えた。

よく、わかんないけど、、、

・ほれ、これが画像だよ。

アメリカ人に見えないねぇ。

・そこを見るか。確かに、、、

日本人みたい。

・アジア系です。だから、ひっぱりくんとチェーンポットを見てみてよ。

簡単に植え付けられるんだ。

・そう、まさにひっぱるだけ。2000株のネギが1時間もかからない。

へぇ。

・いや、もちろん、そこまでの準備には時間や手間がかかっているけどね。

でも、スゴイ。

・ま、それくらいやらないと、、、儲からないよ。

そうかぁ?

・2000株のネギがすごく順調に売れても10万円にもならない。

そうかぁ、、、

・植えた後から収穫までにもいろんな作業があるしね。

草取り、追肥、土寄せ、、、

・知ってんじゃん。

ときどきブツブツ言っている人がいたからね。

・そう?かぁ、、、

うん。

・でも、美味いネギができていて、バンザイだよ。

ごちそうさま。あとは、売り方でしょ。

・それも、俺、ブツブツ言っていた?

ははは。

・そう。早く収穫が始まったら、終わるのも早くて年明けに不足になるかも、だよ。

どんどん売れるならさっさと売り終わっちゃえばいいじゃん。

・いや、そうかも。だけど、そう単純でもない。

なぜ?早く売っても遅く売っても売り上げは同じでしょ?

・そうでもないんだよ。

あ、そうか、置いておけば大きくなるか?

・ま、タイミングによってはそういうこともある。そろそろ里芋だけど、、、

早く食べたいなぁ!

・そういう人は1㎏が500円でも買うでしょ。

うん。

・でも、9月に掘ったら1㎏の芋が11月まで置いておいたら1.5㎏になるかもしれない。

そしたら儲けも1.5倍!

・そう単純にはいかないだろ。11月になれば里芋の相場が1㎏300円になったりして、、、

なるほど。

・俺、算数が苦手だから、どっちが儲かるのか、よくわかんない。

だから、仮に1株の里芋が8月には2㎏で11月には3㎏になるとして、、、

・そんなにできないけどね。8月には1000円で、11月には900円かぁ。

やっぱ、早く売ったほうがいいじゃん。

・いや、これはもしもの話で、11月に1㎏400円だったら、11月のほうが得!

そうかぁ、、、そんなこと普段から考えているの?

・いや、いや、どうだろう?それに、8月の2㎏が11月に3㎏になる保証もないし、ね。

もう、食べたいときに食べるのがいい。

・食べたいときが美味しいとき。

早く食べたい!

・でも、例えば美味いからとどんどん食べて、年内に終わっちゃったら困るじゃん。

なんで?

・年明けに売るものがなくなっちゃう。食べる分もなくなる。

買って食べればいいじゃん。

・いや、そう、だけど、、、やっぱ畑からのものと金で買うものは違うじゃん。

うん。買うより獲ったものがいい。

・そうだよ。根本的に違うよ。(どうも、意見は同じでも根拠は大きくチガウなぁ)

それほどでもないけど。

・それに、やっぱ、食料は自分で獲得して蓄えておく必要があるんじゃないか?

そんなもんですか?

・飢えないために、だよ。

また、大袈裟な話になる。

・今の俺たち個人で言えば、大袈裟かもしれないけど、、、

大袈裟です。

・国レベルで考えて、「足りなければ買えばいい」は無責任。売ってもらえる保証はない。

自給率がドウノコウノの話ですか?

・そうだよ。明峯師匠は国の自給率の話をしつつ個人の自給を主張していた。

「一人一人が自給すべき」だと。

・よく、知っているじゃん。

もう、何回聞いたか分からないですから。

・ははは。

我が家だって広い土地があればいろいろ作りたいけどね。

・もちろん、そんな土地なんてない。狭い庭に無理にアレコレ植えている。

愉しみだから。自給なんて考えていない。考えられない。

・でも、横浜ではすぐ近くに耕作できなくなっている田畑がある。

でも、、、誰もがそこを耕作できるわけではない。石ちゃんはいいけど。

・ま、そう簡単ではないよね。確かに。

でも、やってみたいね。石ちゃんの仕事とは別に。

・そうそう、そう思うことが大事だよ。

自宅とは別に近くにちょっとした農園があっていろいろ作れたらいいなぁ。

・ロシアでは、「ダーチャ」っていうんだよ。菜園付き別荘というか小屋。

別荘は別荘で欲しい。(夏休みに友人の長野の別荘に行って感化されている)

・まぁ、ねえ。(すぐに所有したがる気持ちにはついていけない)

欲しくないの?(同調圧力)

・いや、今回みたいにお邪魔できればじゅうぶんでしょ。(どうにか抵抗)

自分たちでちゃんとしたほうがいいでしょ。人を呼べるでしょ。

・そうかもねぇ。でも、別荘もいいけど、自宅や菜園に人を呼べたほうがいい。

そうかなぁ?

・別荘は非日常じゃないか。(贅沢すぎる、し、俺の性に合わない)

まぁ、ねぇ。(でも、欲しい)

・日常に仲間がいたほうがいじゃん。(長野まで俺一人で運転じゃあ大変だし)

それはそうだけど、、、(欲しいと思ったら欲しい)

・俺は、ネギと里芋がそこそこあって仲間と呑めれば、それでいいよ。

うん。まぁ、ねぇ。

・まずは、みんなで集まる機会を作りたいね。去年の秋みたいに。

考えましょう、か。

・ネギと里芋を主役にしてね。

たいした主役だなぁ、、、

・エダマメもそろそろだよ。

大豆のエダマメ、本物のエダマメ。大事な大豆。

・それも、俺の得意フレーズか?

そうそう。

・ネギは、葉っぱも葉っぱのヌルも根っ子も坊主も食べよう!(新フレーズ)

坊主は天ぷらにして美味しかったけど、根っ子も?

・根っ子の掻き揚げ、美味いらしいよ。

そうなんだ?でも、数を集めるのが大変だね。食べてみたいけど、、、

・ネギ農家が捨てる分をもらうかな。

 

(石田周一。ついに55歳)