第94回 START ME UP!

2016.6.30
いしだのおじさんの田園都市生活

何、聴いている?

・ストーンズ。ローリングストーンズだよ。

ふううん。(よく知らない)そして、何で本を積み上げている?

・明峯さんの本だよ。俺の手元にある7冊。明峯さんはストーンズファンだった。

亡くなられた方?

・うん。一昨年だったね。まだ68歳、だった。

うん。いっしょに呑んだりしていたよね。

・そう。ご長男の牧夫さんのお店、西荻の「のらぼう」にも行った。三鷹に来て、すぐ。

植物の絵のハガキももらった。

・農業生物学研究室主宰、だからね。

ムズカシソウデスネぇ。

・俺の師匠の一人だね。そういう言い方、本人はきっと拒否するだろうけど。

弟子はとらない、って?

・ま、ね。流派があるわけでもないし、、、

「先輩」?

・60年安保の翌年に高校に入学、って、俺の生まれた年だよ。

かなりの先輩。

・奥さんの惇子さんは「励ましあう仲間」って言ってくれていた。

ウレシイね。

・俺に味噌づくりを教えてくれたのは惇子さん。

そうなんだ?

・俺が明峯さんたちがやっていた『やぼ耕作団』(風濤社)を訪ねたところから始まった。

そうなんだ?

・惇子さん、今も日野で小さな畑を耕しているよ。

前に、野菜をいただいた?

・そうそう、せせらぎ農園の近く。

うん。

・今回ね、明峯さんの『著作集』が出たんだよ。

これですね。『生命を紡ぐ農の技術』(コモンズ)、、、3,200円。

・3,200円が気になるんだね。まずは、、、

仕方ないでしょう。少し高いけど、、、売れるんですか?

・明峯さんは、「ぼくの出す本は売れない」って、豪語していた。

それじゃあ、困るでしょ。

・「読んでもらいたい」という欲求は強いんだけれど、「売りたい」はそれほどでもない。

そうなんだ。

・そんなこともないか?ま、そのことは置いておくとして、いや、俺も宣伝はするけれど、、、

石ちゃんの宣伝じゃ、たいしたことない。

・でも、これは俺にとって大事な本だ。

どんなところが?

・全部だよ。師匠なんだから、、、

・明峯さん、「我々は」が「僕たちは」になり、そして「私たちは」になる。

時代の流れ?

・うん。ポジションもかわっている。

人はみんなそうでしょ。

・でも、明峯さんの本質は変わらない。

本質は?何なの?

・そんなこと、簡単には教えられないよ。

ケチ。

・でも、消費者自給農場、市民自給農場、農業生物学、、、そして、発言者。

、、、

・原発事故の後の発言ではずいぶんたたかれもした。

どんな発言?

・それも、簡単には言えないけど、「逃げるな(避難するな)」「故郷にとどまれ」みたいな、、、

それは、たたかれるかも。

・非難されるかもね。でも、それに負けて主張を曲げたりしない人。

そうなんだ?

・原発事故への発言、市民自給の主張、鳥インフル対策への提言、他にも、、、

この本に詰まっているわけですね。

・そう。そして、ずばり、この図、ですよ。

「まちづくり農業公社」???

・20年前に構想されたが実現には至っていない。けれど、目標のいくつかは進んでいる。

生ゴミの堆肥化、とか?

・うん。まさに、せせらぎ農園だよね。この構想ほど規模は大きくはないけど、、、

システム化まではされていないのかぁ、、、

・いや、せせらぎ農園も決して小さくはない。

うん。

・でも、小さく小回りを利かせたほうがいい、というか楽しい、よね。

顔の見える関係?

・うん。せせらぎ農園みたいな場がたくさんあることが大事なんじゃないか。

石ちゃんは?

・この構想に出てくる加工場、市場、堆肥センター、など、俺がやりたいこと。

俺が、って?

・仕事として、だよ。これから、、、

お仲間と?

・うん。明峯さんは、「公社」を中心とした「農がいきづくまち」を構想している。

うん。

・そして、「公社」を中心としたモノの流れも構想している。

うん、うん。

・これを参考にして、俺の今後のやりたい仕事を組み立ててみる。

パクリ、ですね。

・そうだよ。学ぶことは真似から始まるんだから、いいんです。

開き直り。

・生ゴミリサイクルは是非やってみたい。今も少しはやっているけど。

もっともっと。

・運び仕事が好きな利用者さんがよろこんでくれると思う。

うん。

・そして良い堆肥を作って、自分たちの畑はもちろん、周囲に供給する。

売って、儲ける。

・うん。仕事の社会性を高める。今、法人ではいくつかのリサイクル事業をしているし。

それを拡大する。

・そう、R事業と呼んでいる。山形長井市のレインボープランも参考になる。

ふうん。

・「台所と農業をつなぐながい計画」っていうだんよ。

法人内で出る生ゴミだけでも相当な量になるんじゃない?

・そうなんだよ。今はホントにゴミとして焼却に回しているけど、資源として利用したい。

発酵、ですね。

・うん、「発酵と腐敗はカミヒトエ」だから、扱いは気を付けないと、、、

明峯さんは、豚を飼うことも言っている。

・そう、10軒分の生ゴミで1頭の豚が飼える、って、そんなに出るかなぁ生ゴミ、、、

なんか、石ちゃんも豚肉申し込んだって、言っていたね。

・ああ、あれは、会津のひぐらし農園。

・農家ならではの庭先養豚を復活させる取り組み。

いろんな人がいろんなことをしていますね。

・そう。あと、加工。

味噌、惇子さんに教えられて以来作っているよね。

・うん。自分たちで作るのもいいんだけど、体験をしてもらう。

ふうん。

・我々の加工を販売にまで高めるには、いろいろハードルがある。

保健所とか?

・アレルギー対応とかね。どうしても加工する食材を絞り込まないとならない。

うん。

・でも、体験ならいろいろ一か所でもできる。

そうなんだ?でも、石ちゃんたちがいろいろできる?指導できるの?

・そこは、講師を呼んでくるんだよ。NORAなどに多彩な人たちがいる。

へぇぇ。

・味噌も、ジャムも、スイーツも、キムチも、コンニャクも、パンも、、、

多彩ですね!

・今年から、できること、から、、、まず、始める。

なるほど。人に頼るわけだ?

・そう。自給自立とは頼れる仲間をたくさん持つことだから。

明峯さんがそう言っている?

・いや、これは別のところからの引用。

パクリ。

・ま、学んでいるんだよ。この図のなかにはいろんなことが語られている。

うん。

・もともと日野市で20年前に構想されたわけだけど、今の横浜の我々にもにも参考になる。

うん。

・20年前に比べたら、都市農業の置かれている状況も変わってきた。

そうなんだ。

・都市農業振興基本法というものができた。

・「都市の農地は宅地開発されるべき」が「都市に農業は必要」に変わってきた。

うん。我が家も直売とかでお世話になっている。

・そう。だけど、明峯さんの論理はちょっとチガウ。

・都市住民にこそ農の営みは大切という。

好きな人、やっている人、たくさんいるもんね。

・そういうレベルの話ではないんだ。

・都市住民は「ケージ飼いのブロイラーのようだ」などと言う。自然を奪還せねばならない!

・土から切り離され、あてがわれたものを食べ、、、そんな暮らしから自立せよ!だよ。

・一人一人が耕すべきだと。

過激に主張するんだ?

・都市は解体されるべき、だと、、、

石ちゃんもそう思っている?

・「解体」はともかく「街人よ耕せ」とは思っているよ。

そうなんだ。

・そのための場を増やす。そんな仕事をしたい。

でも、本職は福祉でしょ。

・もちろんそうだけど、社会福祉法人が谷っ戸ん田みたいな場を作ることもありだよ。

それが利用者さんたちのためになる?

・そう。施設が開かれ、地域と交流し、地域に必要とされる。

うん。

・人が来てくれることが大好きな利用者さんも多い。もちろん逆もあるけど。

交流はギブアンドテイク?

・そうでありたいよね。お互いに「ありがとう」の場にしたい。

場を創るんですね。

・そう、スタート・ミー・アップ!。

 

(石田のおじさん)