第86回 酒・客・菜

2015.10.31
いしだのおじさんの田園都市生活

 

・このあいだのプチ収穫祭、ありがとう、ございました。

楽しかったね~。また、来てほしいなぁ。

・枝豆、落花生、サツマイモ、里芋がメインで、ネギと葉物が少々の収穫祭。

呑めればいいんでしょ。どっちにしても、、、

・そんなことないよ。そんな単純じゃあない。

単純に見えるよ。

・呑むには、畑のものが豊かで、手作りの料理、がいいわけで。

単純じゃん。みなさん、よく呑んだ。

・美味しかったし、楽しかったから、だよー。

石ちゃん飲み過ぎ。

・帰らなくていいからね。5時前から始めて、9時のお開きを延長して。

うん。

・シェフにはいろいろ作ってもらって、ホント、ありがとう。

作るのは楽しいからいいんだけど。

・酒呑みは、いろんなものを食べたいんだよね。

よかったね。

・20種類近くあったよね、料理。写真撮れば良かった。

そうだね。

・FBで紹介、してもよかったかも。

ううむ。

・でも、飲み食いが忙しくて、そういう気分にならなかった。

ま、呑めればいいわけで。

・そうなるな、結局。

みなさん、帰りが遠くてタイヘンだったんじゃない?

・三鷹からだからね。俺は毎日通っているけど、、、

電車はたいへんだ。

・畑から遠く離れて、、、うん、たまにはいいか。(横浜でやりたいぜ。俺の地元は横浜だ)

三鷹や調布あたりの視察もすればよかったかも。

・一応、新治で農作業してから、車の中から深大寺とは見たよ。

降りなかった?

・んー、まぁ、もう、プシュッを急いだんだな。頭の中で鳴っていたかもしれない。

ははは。

・次は、大根、白菜、キャベツ、ブロッコリーも加えて、収穫祭第2弾、だね。鍋か?

またまたぁ、呑みたいばかりに、、、

・酒客祭だ!いや、酒・客・菜か?

どうぞぉ、また家に来てもらっていいよ。

・うん、ありがとう。でも、畑で呑もうという案もある。

いいのかいーっ!?

・いや、借りている畑だし、ちょっとならともかく、、、

ちょっとじゃあ済まないでしょ。

・すまない、すまない。ゆっくり呑みたい。

それに、寒いでしょ。

・うん。キャンプするつもりでやらないとね。寒中キャンプ。

そんな場所ないでしょ。

・いや、昔やったことあるよ、俺、森の中で。内緒で、、、

へぇええ。

・河川敷とかもありかもよ。

なるほど、、、

・今は、地域に入って行っている立場上マズいかも。ゲリラ活動は、、、やりたいけど、、、

ま、立場も考えてください。

・ううぅ、考えながらやるよ。

ところで、利用者さんたちとはしないの?収穫祭?

・うん、何か考えなきゃあね。そうなんだ、畑の主人公と収穫を祝いたいよね。

呑み会?

・いや、呑む人もいるけど、なかなか呑み会という風にはならない。

じゃあ、鍋の会でもいいじゃない。

・うん。まぁ、夜とか集まるのも難しいし、、、

難しくてもやればいいじゃん。そういう状況、突破するの好きなんじゃないの?

・そう、だよね。そう、そう。ううんん。

自分がゆっくり呑めなくなるからメンドウなんでしょ。

・ええー、なんで、そう、ハッキリ言うわけ?

やーい、呑兵衛―!

・よし、なんとか、メンドウでムリっぽいことに挑戦してやるぜ。

食べるのが好きな人、いるでしょ。

・もちろん。みんな好きだよ。収穫しながら、「大根はおでん」とか言い出す人とか。

ははは。

・「枝豆、ずんだ餅」って言ってたのにはビックリ。

家で食べたんじゃないの。

・うん。食べることをイメージして畑に立つのはいいよね。

世の中、みんな、それくらい単純だったらいいのに、ねぇ。

・まったくだ。(でも、ちょっと失礼だろ)

施設の収穫祭とか、ないの?

・あるよ。

あるんでしょ。

・このあいだの日曜、出勤してたじゃん。

あれか?

・ソレナ。

そうだったんだぁ。収穫祭だったんだ。

・いや、フェスタ、だよ。法人の。畑のお祭りじゃない。ま、福祉バザーって感じかな。

どう、チガウの?

・そこのニュアンスの違いは説明しにくい。今日は省略、ご勘弁。

いいけど。

・美味しいパンとクッキー、買って来たでしょ。

ああ、あれは美味しかった。

・国産小麦と白神山地の天然酵母、他の材料も国産のいいもの、だよ。

美味しかった。作り方もいいんじゃないの。

・そう、そう。そうだと思うよ。普段から人気のあるパン屋なんだよ。

そこにも頑張っている人がいるんだね。

・障害者施設ではパンやクッキーが作り易く売りやすいんだよ。

どうして?

・特に焼き菓子は管理しやすいんだろうね。生産、販売が。

なるほど。

・おにぎり販売はその逆だよ。

うん。わかる気がする。

・でも、来年は田んぼをやるよ。

それはそれで楽しみだね。

・パン用の小麦の栽培もする。ユメカオリ。

それも楽しみだね。

・「麦秋」が好きなんだ。

爆笑?

・アホ。冬の間に青々している姿も好きだ。

好きなことが多くて、いいね。

・うん。しかし、麦は刈り取りと刈った後の管理がタイヘン。ハウスないし。

そうなんだ。

・いや、でも楽しみだよ。ほんの少しの栽培だけど。とりあえず、初年度は。

うまくいけば、ドーンといく?

・ま、ボチボチだよ。でも、人気のパン屋に供給できるように頑張るよ。

頑張れ。

・はい。そうそう、お祭りでね、スウィートポテトが大人気だったんだ。

へぇ。畑のサツマイモ?

・いや、今回は別の畑のもので、我々の芋じゃなかった。

それは、ちょっと残念。

・でもね。250セット以上が1時間かからずに完売したとか。

スゴイねぇ!

・スゴイよ。作って売った連中は盛り上がっていたよ。

でしょう。そりゃあ、、、スゴイスゴイ。

・スゴイけどね。でもね。

えっ、そこで、「でもね」が出るの?

・この数日、そのことについていろいろ考えていて、、、

何を?

・大人気でぇ、すぐに完売するぅ、そんな商品があったらぁ、商売人ならナニ考える?

・生活がかかっている、とか、稼ぎで家族を養う、とか、そんな場合を考えたら?

ん?

・ん?

経済経済って、稼ぎのことばかり言うのはハシタナイって、言っていたのは誰?

・ああ、そうだった。金と女は追いかけるな、だった。

でしょ。

・でも、ね。俺たち職員の給料は水準はともかく保障されているけど、、、

そうとも限らないでしょ。

・いや、その話は置いておいて、利用者さんの給料は稼ぎによって決まる。

そうなんだぁ?

・そうなんだよ。だから、彼らのためにはしっかり稼ぐことが大事、なんだよ。

ううん。で?

・それを考えるのが職員の仕事、だと思うんだけど、、、

はい。

・だから、スウィートポテトが大人気だったら、どうする?

もっと稼ぐために?もっとたくさん作ればいいんじゃない。

・そう、そうだよ!ねぇ。ほかにも方法あるでしょ。

例えば?

・値段を倍にするとか。

ええっー。

(つづく)

(つづく、と、言っておきながらスッポカシタこと何度もあるけど、、、つづく)

 

石田周一

いしだのおじさんの田園都市生活