石田のおじさんの田園都市生活

第53回 春、大根談義

2013.2.1
いしだのおじさんの田園都市生活

聖護院大根、スゴイね。丸々太って。
・ヒデがよろこんでいたね。
どこの?
・我が社の畑でできたんだよ。
だれが作ったの?
・誰が、って。畝はほとんど俺が作ったけど・・・

・種蒔きは利用者さん。けっこう器用にできるんだよ。
そうなんだ。
・でも、作ったのは、土と太陽と水と・・・
そうともいうよね。
・いや、大根が自分でそうなりたいと思って、で、できたのかも。
よく、ワカラナイ。アイカワラズ。
・この、かたちがいいよね。
ヒデをよろこばすにはじゅうぶん。
・我が社のみなさんも喜んでいたよ。
そう。
・「初めて見たぁ!」って、ね。
そうだよね。
・「大根に種類があるなんて知らなかった」って。
うん、うん。
・職員の若い子に三浦大根をプレゼントしたんだ。
よろこんだ?
・うん、よろこんでいたけど、三浦大根も初めてなんだって、メモしていたよ。
種類があることにビックリだったんだもんね。
・ま、そうだよね。大蔵や練馬の話もしたんだ。目黒はないけど。

・そのお嬢さん、目黒に住んでいるんだよ。
じゃ、サンマがあるじゃない。
・サンマには大根おろしだよね。
どうなんだろう?
・世田谷には大蔵大根という在来種がある。煮崩れしないのが特徴。
烏山のFM(ファーマーズマーケット)に売っている。
・お嬢さん、練馬大根も知らなかった。
そう考えると、ここ武蔵野は練馬も世田谷もお隣。
・そうだね。練馬大根は沢庵にむいている。
大根を干している光景、あるのかなぁ?
・ 今頃、三浦海岸に行くと見られるよ。
三浦で練馬大根?
・いや、ほとんど青首だったね。
そう。
・知り合いのEさんのお宅があってね。あれは12月だったなぁ。泊まりに行ったの。
ふうん。
・朝は4時に起きて金田漁港の朝市に行ったよ。
魚が豊富?
・いやぁ、人間が豊富っていうか、えらく混んでいたよ。
大根は?
・海岸にさおが組まれていて、何百本も並んでいるんだ。
へぇ。
・そして、沢庵の軒先販売。
美味しい?
・うん。それに安い。
行ってみたいな。
・職場ではね。「なぜ、スーパーには青首ばかりか?」って、話題になったよ。
石ちゃんが、話題ふったの?
・いや、俺より年上のおじさん職員だよ。
へぇ、で、なぜなの?
・そのおじさんは「抜き易いんだよね」って、言っていた。
そうなの?
・うーん。俺もそんなに実体験があるわけじゃないけど。
うん。
・練馬は確かに抜き難いのを知っているよ。よく、折れるんだ。
モッタイナイ。
・と、いうか、確実に抜くには神経を使う。場合によっては、スコップも必要。
青首ならそんなことない。
・まぁ、ストレートに抜けるね。やっぱ、抜き易いが理由の一番かも。
ほかの理由もある?
・箱詰めし易い。
えー、そんな理由も?
・産地では当然箱詰めして、トラックに積むわけだ。しかも、かなり大量に。
そりゃそうね。
・まぁ、ナニナニし易い、が人気の理由?
人気というか、たくさん作られている理由だね。楽がいい。
・そういうこと。
このコラムの原稿というか、構成も楽な安易な方法。
・メンボクナイ。
方法は楽でも中身があればまだいい。
・それ以上、言わないで。
大根も楽を求め、石ちゃんも楽を求めている。
・でも、転職先でも畑で大根が収穫できて、よかったでしょ。まずは。
うん。プラスに、ポジティブに考えよう。
・毎年、進歩していけばいいよね。
少しずつ?
・うーん。蛇年だからね、皮がむけるような感じで行きたいけど・・・
頑張ってよ。
・だっぴーにゅーいやー
そこで、フザケルからいけない。
・ごめん。
来年度は?
・うん。もう、畑の春は2月からだから、計画しなきゃなぁ・・・
と、いうことは、まだしていない?
・頭の中にはあるつもりなんだけど・・・
見える化しないとダメじゃん。
・キビシー!
考えているのは?
・芋の大量生産。
それだけ?
・大根もたくさん。
そんなもん?
・今年度、大根を作って若い職員にプチ収穫体験をしてもらった。
前も、言っていなかった?それ。
・キャアキャア言って喜んでくれて盛り上がったよ。
珍しかったんだね。
・やっぱ、体験してもらう。触れてもらうというのが、いい。
いつも言っているね。それ。
・いいことは繰り返す、よ。
ま、ね。
・できれば、作る過程、育つ過程も体験してもらいたい。
人材育成?
・職場ではそうだけど、でも純粋にいろんな人に農を体験してもらいたいんだ。
その路線は変えないわけだよね。
・そう。一人でも多くの人に野良に出てほしい。
春に思う、ってトコロ?
・そ、NORAにも来てほしい。
いちおう、まとめた?
・春だぜ。

(いしだのおじさん)

 

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