第88回 まるで“芸術は爆発だ”。太陽フレアに豊年エビやら・・・
2024.6.1映像の持つ力
豊年蝦(ホウネンエビ)がいる!
その上、カブトエビの抜け殻?のようなものまで、夫が仕事の帰りに田んぼを観まわり発見できました。
太陽フレアの上に、豊作を招くエビまで・・・吉兆のなか田んぼが始まりました。
予定外の入水で水没した苗代を作り直すため、ひと袋25kgの土嚢を31個。作っては運び、土嚢を仕立て稲の苗を救出した労われました。
私たちの、小さな森のある畑では、イチゴも豊作です。通が好むらしい鶏冠果も多い。
何やらイチゴの畝に木が生えています。何の木?もちろん植えていません。
調べると欅(ケヤキ)と判明。巨木に育つ生命力とは打って変わり、欅の種の小ささに驚きです。
田んぼの地中で休眠していたホウネンエビは、孵化の条件が揃うと大量発生し、ほんの1ヶ月で一斉に姿を消してしまうなんて。
爆発だ。
生きものに目を向けると、その場面を目撃します。
一斉に胞子を飛ばすツクシ。
円居・団居(マドイ)から次々と飛行準備に入り拡散してゆくクモの幼体。
花を咲かせ芳香をまとうカボス。
裂開したガガイモの果実から小さな種髪が空中に放たれ、渦を作りテレポーテーションのように瞬間移動してゆく。
あ、これって“芸術は爆発だ”わ。岡本太郎がそう話した時に感じた記憶が時を経て、生きものの姿と重なり合います。
岡本太郎は、“芸術は爆発だ”を用い、人間としての生き方のこと、いのちの本当のあり方を語っていたのですね。
無条件に生命をつき出し爆発する。
全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらく
人生は本来、瞬間瞬間に、無償、無目的に爆発しつづけるべきだ。(著書の抜粋)
うちの畑のイチゴの畝に芽吹いた欅、その種が小さい理由は、風に種を散布させるためでした。
台風の風に乗り枝先に結実した小さなケヤキの種の数々が遠くへ飛ぶ。
欅は、ひとつの種を大きくして発芽に必要な栄養分をたくさん蓄えさせることではなく、胚の栄養を少なくし数を増やすことを選んだ。
台風の大きな風の力を借りて、枝先に結実した種が遠くに散布されることで次世代が続いていく形態を獲得した。
先人は、1000年続く清水寺の舞台を支える柱の建材に欅を選んだ。柱は平成の大改修を終え、同時に400年先の改修を見据え、建材として使うための欅が植樹されている。
全くもって人も生態系の一部ですね。
桜の花が一斉に散る姿に、いさぎよさを感じる情緒。この感性からくる連綿と継がれた選択は、生態系が持つ不思議とも親和性があり両輪となり、里山の景観をつくってきたのでしょう。
(中川美帆)
(参考)