神奈川・緑の劇場 vol.30

2023.12.29
神奈川・緑の劇場

2023年11月21日
関東学院大学人間共生学部共生デザイン科(ご担当・二宮咲子先生)『神奈川学』ー神奈川の里山と共生デザインーをテーマに90分のお話をさせていただきました。

約100名の学生の皆さんからいただいた感想や質問について、改めてお話できればと思い、書かせていただきます。何回かに分けてお話することになるでしょう。

大前提として、今回は私がお話するけれど、貴重な、そして過酷な時代に育った学生の皆さんのお話を伺いたいと思っていると、まず当日も、お話しました。

学生の皆さんは1~4年生でした。21世紀になって生まれた皆さんです。過酷な時代に生まれ育った学生の皆さんは、時代の証人、体験者です。

2001年9月10日に、日本で初めての〝狂牛病〟発症が報道されました。人間の都合で草食の牛に肉骨粉(ミートボーンミール)を与えたことが原因と言われています。環境破壊や汚染、食品公害や加工、流通の様々な不祥事はあとを絶ちません。

そして、翌日の9月11日に〝同時多発テロ〟が起こりました。超高層ビルに旅客機が突っ込んでいく様子を伝える映像が現実の出来事だとは、すぐには理解できませんでした。

そうやって始まった21世紀。20世紀は戦争の世紀と言われましたが、よもや、21世紀までも人間は戦争を止められないとは。

東日本大震災や、各地で続く震災に加えて、気候危機が現実のものと思わざるを得ない気候災害も続きます。

さらに福島第1原子力発電所の苛烈な事故は2011年3月11日。2020年1月には新型コロナウイルスによる感染が世界を覆いました。パンデミックです。

2022年2月にはロシアが核兵器の使用もあり得ると脅しながら、ウクライナに侵攻して、多くの犠牲者を出しながら今だに戦火が続いています。

2023年10月にパレスチナのハマスがイスラエルを攻撃し、イスラエルはパレスチナのガザ地区のハマスへの報復攻撃として、無差別大虐殺が続いています。ジェノサイドです。

日本の政治の劣化は深刻です。〝底が抜けた〟様相を呈しています。

失われた30年。学生たちの未来まで失わせようとするかのようです。

もうひとつ。お話をする大前提として、『里山』は特別なものではなく規模の大小でもない。ひとりひとりに当たり前に自分の里山があったと思う、とお話しました。

以下にも、考え方をまとめてみました。

『再開発』の名のもとに、神宮の100年の並木や、日比谷公園の150年の森が損なわれようとしています。先人たちが育みつなげてくれた生き物たちの宝庫。これも『里山』です。私たちには、ひとりひとりに、自分の『里山』がきっとあります。楽しい思い出と一緒に自分を育ててくれた場所。小さな公園でも、他には無いかけがいのない自分の居場所。

横浜市南区の蒔田公園は戦後に米軍が占領し、かまぼこ兵舎を建て、その跡につくった公園で70年たちました。

1945年5月29日の横浜大空襲では近くの吉野橋を中心に最も焼き払われた場所です。

今では、すっかり子どもたちにも、大人にとっても居心地の良い公園に育ちました。

これからも、子どもたちの成長と家族の幸せを見守って、あたりまえに私たちの町に、ありつづけますように!

質問から

神奈川の農業が理解されず、地産地消も関心を持たれなかった中、『里山』も次々と失われていった時代に、何故頑張れたのですか。

当日も、とっさに『仲間たちがいるから』と答え、85歳にして、杖に頼りながらも、石垣島で自衛隊の駐屯地建設反対の座り込みを続ける山里節子さんを紹介した。

農業や地産地消、里山や民話の語り、紙芝居。いろいろやっているように見られるが、元はひとつでしかない。

平和を作る仲間たちの輪に加わり自分ができることをやるだけだ。

戦争が始まったならば止められない。ウクライナやガザを見ても明らかだ。始まった戦争に命をかけるより、戦争にならないように命をかけたい。

ウクライナやガザは他人事ではない。学生の皆さんと同世代の若者たちがウクライナに、ロシアに、パレスチナやイスラエルにいる。

無差別大虐殺は、横浜で、日本で子どもたちに襲いかかった。あの時の子どもたちが今80代になり時代を語る。

関東学院大学も弾圧された戦前の歴史を持つ。六浦キャンパスは海軍関係の軍事施設であったし、南区三春台校舎への坂道では、横浜大空襲によって、焼死体が累々と重なった。

21世紀に生まれた人たちの未来を作るのは、先に生まれた私たちの責任だ。絶対に戦争にはさせない。

質問、疑問になるべく答えたいが、今回はこのくらいにします。

絵本や戯曲の読み方が上手でした。演劇をやっていたからですか?

都会で育ち里山と呼べる場所もありませんでした。里山を作るためにどうしたらいいでしょうか?

演劇の技術の話

子どもの森の話。子ども食堂との関わりから。

子どもの森に『茶堂』を作ろう。

次回が楽しみです。
(2023年12月29日記三好豊)

・京都で振り売り(伝統的な農産物の移動販売)をする角谷香織さん→★★
・日本の農産物流通に3つの提案 神奈川野菜を届けて36年 三好 豊→■■三好 豊(みよしゆたか)

“50年未来づくりプロジェクト”を提唱します。
“もりびと”が木を植えて育てるように、子どもたちが社会の真ん中で活躍する時代のために、今日できることを一つずつ。老いも若きも一緒になって50年のちの日本の景色を想い描きたい。
1954年に生まれ父親の転勤により各地で育ちました。 1975年10月、杉並区阿佐ヶ谷南の劇団展望に入団。1982年退団して横浜に戻り演劇活動に参加してきました。1987年5月、(有)神奈川農畜産物供給センターに入職し、県内各地、各部門の生産者に指導を受けることができました。2004年に退職し「神奈川・緑の劇場」と称して県内生産者限定の野菜の移動販売を始めました。NPO法人よこはま里山研究所・NORAの支援はたいへんに大きく、これからも都市の暮らしに里山を活かす活動の一環として生産者との関わりを大切にしたいと考えています。また(株)ファボリとその仲間たちとの繋がりには、心躍るものが生まれています。