第24回 うぃっしゅ ゆぅわ ひあ
2010.9.2いしだのおじさんの田園都市生活
夕方、田んぼの草刈りをしていました。
谷戸の奥からむこうの空にきれいな夕焼けを見ました。
あなたのことを思い出しました。
今年、グリーンが耕作する田んぼは3ヶ所3枚。
面積は4反近くあります。
あなたがいたころは、
T町の1枚だけだったから、だいぶん増えました。
そして、4年前から始めたな~に谷っ戸ん田があります。
あなたがいたなら、
きっと仲間として参加してくれたでしょうね。
あなたの大学の後輩に当たるNHKのカメラマンが参加していますよ。
あのグリーンの最初の田んぼは、
もう5年以上前に地主さんに返しました。
地主さんは埋めて畑にして家庭菜園としています。
もう1枚T町で耕作していた田んぼは、
去年からHくんが耕作しています。
彼は苦労の末やっと今年農家資格を取りました。
頑張って8反くらいの田んぼを耕作していて、
今年からは野菜も作っています。
応援しつつ、頑張りすぎを心配しています。
T町では今年もグリーンとして1枚田んぼを作っています。
しかし、今年が最後になる予定です。
グリーンは拠点を移しているのです。
T町では多くの農家さんにお世話になりました。
なかでもSさんにはとてもお世話になったのはあなたもよく知っていますね。
あなたと一緒にお邪魔したことや飲んだこともありましたね。
Sさんがいたから今のグリーンがある、
Sさんがいなかったら今のグリーンはない、
それくらいお世話になったと思っています。
しかし、ここ数年は疎遠になってしまいました。
いい条件を求めて移動してしまう我々、
T町を去る形になる我々が認めてもらえないのは、
しかたないとも思いますが、
グリーンなりの仕事を一生懸命にやっていれば、
いつかまた認めていただけると信じています。
もう2枚グリーンが耕作している田んぼはJ町にあります。
昨年、今年と1枚ずつ借りました。
面積は合わせると3反近くになります。
今の拠点であるK町の畑に隣接しています。
あなたとJ町の話をしたことはなかったかもしれませんね。
しかし、J町は私が以前から憧れていた農の豊かな町です。
もちろん、あなたもJ町がすてきな場所であることは知っていますよね。
J町で仲間たちといっしょに汗をかいて働きたい、
そんな思いを持ったのはもう20年以上前のことでした。
ただ、あのころは自分たちが田んぼを耕作するなんて、
現実的に考えられなかったし、
その後はT町で懸命にやっていたし、
20年以上前の「思い」については、
忘れていたというと正確でないけれど、
いわば封印されていたのかもしれません。
それが、3年前にK町に畑を借りて、
私の思いからということではなく、
グリーンの事業として取り組めています。
そんなことをあなたと話したいとあらためて思っています。
昨年借りた田んぼはJ町のはずれにあります。
K町のグリーンの畑の目の前です。
なんと、地主さんは私の中学の同期でした。
「俺や家族ができないことをやってくれてありがたいよ。」
って、言ってくれています。
荒らしたら、頑張っていた親父やご先祖様に申し訳ない、
けれど、(農家の仕事は)できないんだ。ということらしいです。
グリーンは使わせてもらえることがありがたいのですが、
地主さんには地主さんの論理と思いがあるようです。
お互いに「ありがとう」と言える関係です。
今年から作っているもう1枚は、J町の中心部にあります。
田園風景を保全しているJ町で大勢の人たちが通るエリアです。
地主さんは「土日には作業をしたくない」と言っておられました。
ギャラリーが多い中でやりにくいという意味でしょう。
ここ数日で赤米の穂が出てきました。
出そろえばかなり目立つと思います。
グリーンとしては、この目立つことをうまく活用したいと思っています。
あなたと私がグリーンで出会ったのは、もう15年以上前のことです。
あのときあなたが評価して励ましてくれたから今のグリーンがあるのです。
あのころ、私は自分にもグリーンにも自信が持てませんでした。
けれど、
チャレンジ精神はありました。
まわりが見えないからこその怖いもの知らずだったかもしれません。
でも、あなたがグリーンのいいところを発見してくれ、
そして、私やみんなに伝えてくれました。
チャレンジを続けられたのは、あなたがいたからです。
グリーンはまだまだこれからです。
チャレンジし続けなければなりません。
あなたの笑顔を思い出して楽しんでチャレンジを続けます。
とりあえず、私は田んぼの草刈りをして、夕焼けを見ていました。
あなたがここにいてほしいと思いながら・・・
いや、あなたはここにいると思いながら・・・
(いしだのおじさん)