第73回 手作りがいっぱい

2023.3.1
映像の持つ力

食べるまでに何と時間がかかることか

朝ご飯に、昨年、田んぼで収穫した、うちの新米をいただきました。
うーん、おいしい。品種は初霜。
新米の食べ初めは、お米のあまみを、しっかり味わいたいから、白米に精米します。
我が家の恒例は、今擦り米。籾も擦りたて、精米は炊く直前です。

うふっ、準備万端!!
自家製のタクアンが、この時を待っていました。
タクアンの色が黒いのは、黒米の糠が入っているからですヨ。

ご飯のお供には、素材も調理も自家製の手作りが勢ぞろいです。
お味噌は、豆も自分の畑でとれたもの。自家採種、自家栽培。
梅干しは果実だけでなく赤紫蘇も畑のものです。

 

一汁何菜になるのかしら。
全てのメニューの素材は、自分たちの畑や田んぼで採れたものが主。
他は、ほぼ川越か埼玉県の地元産です。

 

・タクアン

年末に仕込んでから、いい漬け具合に熟成しました。
糠は自然農の自家米。チベット黒米、緑米、初霜、朝日、紅染の混合です。

 

上から、
・蕗味噌
・ホースラディッシュのわさび漬け
・昨年に漬けたシソ漬け “梅干し”
正確には梅じゃなく別の果実です)

・蕗味噌は、畑で採れた蕗と自家製の大豆で仕込んだ3年味噌を使いました。
・山葵漬けは、畑のホースラディッシュと神亀の酒粕で我が家のオリジナル。
・梅干し?は、赤シソも果実も畑で採れたもの。
果実は、梅ではなく、梅の次に実る同じバラ科の果樹です。

 

・赤ネギ(レッドポアロー)の蒸したもの

肥料もなし、耕してもいないのによく育つね。ありがとう。


南部鉄器のたまご焼きパンで蒸しすだけ。
甘みを楽しみます。少し塩をかけても、さらに美味しい。

 

・ベランダ栽培の日本ほうれん草

雪が積もった時は葉が凍りカチコチに。
ゆっくり大きく成長しました。
だからとっても甘いです。


茹でても根はきれいな桃色。


蕾が出てる。春の知らせ。
日が長くなったものね、小さな株も花芽分化です。

 

・味噌づくりで残った黒豆の茹で汁入りの、野菜スープ

畑で摘んだ自生のヨモギ入り。
ビーツが入り赤いスープになりました。

 

・カレーやピラフにしたひよこ豆
ひよこ豆の戻し水に、味噌づくりで残った黒豆の茹で汁を使用。

雑穀ピラフ

カレー

 

 

縄文時代から続く道具

白菜漬け、タクアン、味噌の漬け込みにと、久松の壺や甕が大活躍です。
ありがたいなぁ。
発酵や熟成に壺の助けは欠かせませんよね。

ほんと、うちのタクアンは美味しい。
漬けものという、滋養たっぷりな保存食を、よく昔の人は考え出したものだと、感心しきりです。

そんなことに幸せを感じています。


うちの漬物容器は3種類。久松の壺、琺瑯、いきいきペール。

 

 

人が、調理道具の土器を使いはじめたのは、
氷河期の最中の2万年前になるのか、縄文初期の1万5000年前なのか、
本当のところは分かりません。

いずれにしても、
素焼きの土器が、陶器、磁器というように製法が広がった。
用途も煮炊きだけでなく、保存・熟成と広がった。

わたしたちの暮らしに、壺型の焼きものが、一万年以上に渡り、残り続けているなんて、ありがたいことです。

食べることは生きること。
生きることを助ける基本的なものは、時代や価値観が変わっても、絶えないものですね。

 

 

人は、食べること全てを、担うことができる存在

畑や田んぼで過ごすノラ(野良)しごとは、季節を追う作業。

植物が太陽エネルギーを変換して生長する生態のおかげで、わたしたちは食べ物をいただいます。

山のように収穫した、果実、野草、野菜。
食べるためには、まず泥落としと、傷んだ部分との選別。
永遠に思えるこの作業は骨がおれます。

面白いのは、一年を通し、何種類もの野菜の下作業を、繰り返しているうちに、そうか!と、仕組みや成り立ちに気づくこと。

稲の藁をない注連縄をつくるうちに、葉や茎がどうやって成長したか手のひらから伝わります。

つくって、料理して、語らう
わが家では話がつきません。

畑や食卓、節目の行事、どれも、大事な時間です。
人は自然の一部、
人も生態系の一部、そのことを実感できます。

 

 

小さな森のある畑、春がはじまっています。

あぁ、冬眠を起こしてしまったかしら?
バッタ?マツムシ?ムシが現れました。
調べてみると、クビキリギリスのようです。

・この体格そして成虫で冬越しをしている。

・口が赤い。よくみるとクビキリギリスに似た顎の部位が見えます。

・でも、触覚が短いからショウリョウバッタかな?

 

「蛇の髭」
鳥が種を運んだのでしょうか、いつの間にか畑に生えていました。
いつの間にか、細い葉が密に、こんもりと茂り畝のあちこちを占領しています。

地表を密に覆うし、土留めにもよさそう。
畑の際は側溝まで土があふれるため、移植することにしました。

葉をかき分けると・・
ラプスラズリが出てきました。こんなに種が実っていたなんて。

蛇の髭、花を見たことがありません。
細い葉が密集しカールしているうえに、花茎は葉より低いところにでるため、かき分けないと見えないからです。

調べてみると、蛇の髭は、漢方に利用されています。
名前は麦門冬(ばくもんどう)。
生薬になる部位は、この塊根。

塊根も葉と同じく、あちらこちらに出来ています。
漢方に利用されるだけあり、なかなかの生命力です。

 

「畝替えと赤ネギの移殖」

粘土質の土壌ですから、せっせと掘り上げます。
ネギは植え替えというより、埋めていると言った方が近いかな。
埋めて土を寄せただけでも、ネギは活着します。
うちのネギは、ほんと強い♡。

 

「季節を追う果樹」

グミの木も花芽がずいぶんと、ふくらみました。
梅の木は、来週に満開になりそうな勢い。

アンズ、スモモ、ポポー、
どの木も咲くのを今かと待っています。

(中川美帆)

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