神奈川・緑の劇場 vol.16

2022.10.30
神奈川・緑の劇場

ロシアより鳥たち迎え柿熟す

●お決まりのことば「緊迫する国際情勢」誰が緊迫させているの?

1945年8月。2発の原子爆弾が日本に落とされた、あの当時に比べて今が、どれほど緊迫しているというのか?直後にソビエトが日本に参戦し、15年続けた戦争の末に、遂に日本は無条件降伏した。アジアで2000万人を超える犠牲者を出し、日本人も210万人が亡くなったという。「老人たちが戦争を始め、若者たちが殺し合う。」社会的に弱い立場の人々が犠牲になる。

●私たちは、危機を煽られ、誰かが儲けてほくそ笑む軍事費の増大を許すのか?

貧しい者たちから、いよいよ食べものが手に入らなくなる、(富裕層・権力者たちは困ることは無い)という危機を国民に知らせること無く輸入自由化を進め、国内農林水産業を衰退させてきた。緊急に財政支援するべきは、農林水産業へ。消費税の減税、社会保障の拡充。

子どもたち、若者たちへの支援こそ優先しなければ未来が無い。

●「さかなの日」を制定しても魚は消える。

水産庁は魚を食べる日を増やそうと、毎月3~7日を「さかなの日」に制定した。

日本人の魚介類を食べる量が20年で半減したのだという。一方で、日本の漁獲高はどうか?1980年代半ばごろをピークに三分の一まで激減しているのだ。世界の漁獲高は、同時期に倍増している。(世界は2億トンを超え、日本は400万トンを下回る。)さらに世界の水産資源は枯渇しようとしている。森や農地を守り、河川を守り、海を守る。水産資源を豊かにすることは、海洋国家日本の役割だ。

日本の経済力の低下、急激な円安。魚介類を輸入したくても、世界の国々に買い負けて輸入できなくなっている。そして、輸入が減った日本の魚介類の食料自給率は上昇した。

●“食料自給率の向上を目指す”ということばのウソ・本気ならば軍事費よりも・・。

「緊迫する国際情勢」とセットで「食料安全保障」がしきりに言われるようになってきた。40年も50年も前から警鐘を鳴らし続けてきた人たちからすれば、今更である。食料自給率は、輸入が減れば上昇するのだ。輸入したくてもできない国にして、食料自給率が上がったと政府の成果にされてはたまらない。

何度でも繰り返して私は言いたい。大切なことは、日本の農地の耕作率をアップさせること。日本の風土に適した作物を、世界の食料危機に対応して充分に生産して輸出すること。世界の平和を願うならば、おおいに食べものの融通を、世界ではかりあうことのほうが現実的なのだ。(CO2排出の課題はあるが。)そう、気候危機にこそ緊急に世界で対応しなければならない時に、いさかいをおこしている場合ではない。

(2022年10月30日記 三好 豊)