第59回 釜飯仲間・おこげのお話
2013.10.1神奈川・緑の劇場
子どもたちと、草花がいっぱいの野山で、転がるように遊びたい、時には、生き物たちを追いかけたり、花の蜜を味わったり、草花が遊び道具で、石ころも、おもちゃだったではないですか。
いく世代も歌いつがれた唄を楽しみに、語りに胸を踊らせて。
わらべ唄。
民話・伝説。
都会暮らししか知らずに過ごしてきた身では、何の説得力もないのは承知です。
それでも、日本列島に暮らし、命を繋いできた、私たちの祖先からは、山に生き、川に生き、海に生き、自然と向き合いながら暮らしてきた遺伝子が伝えられているはず。
もう一度、帰りませんか、祖先たちが生きた”本物の人間の暮らし”へ。
日本列島の自然は、まだ、私たちを忘れていないのでは?
大人たちが、向きを変えなければ、子どもたちには、これからも、冷たくて息が詰まる、大人たちが歩いてきた以上に生きづらい道しか見えないではないですか?
いよいよ、取り返しのつかない、この国のありさま。
まさか、まさか、と思っているうちに、気がつけば、瞬く間です。
地産地消も、有機農業も迫害され、自粛を迫られようとしているなんて、まさか信じられないことですね。
ごく一部の、巨大企業の利益のために。
カネでしか、ものの価値をはかれない一握りの人たちのために。
日本の文化も、コミュニティも、景観も、そして、子どもたちの未来も、失われてしまいます。
私たちが、子どもたちに伝えたいものは?
なんだったのでしょう?
このコラムは、『はまどま』に集う仲間たちに視点をあてて書いて来ました。
それは同時に、活動の記録として、やがて振りかえることもできるかと思っていたところもあります。
2013年9月15日(日)台風18号は、激しい気象現象を引き起こし、直接の進路ではない地域にまで記録的な豪雨と水害をもたらしました。
神奈川でも交通機関が乱れるなど激しい雨に見舞われましたが、この時、かけがえのない仲間たちの暮らす地域、和歌山県高野町富貴・筒香では、60年前の台風被害を上回ると言われる水害に見舞われていたのです。
このコラムの、7月、8月、に連続してお知らせした集落です。
“田んぼつくりタイ”の田んぼは、溢れた川の激流に流され、Chojiさんがライヴを催し、横浜からも、大勢の仲間で参加した”田んぼオブザワールド”の会場から私たちの目の前に広がっていた田んぼは、そのほとんどが河原となってしまいました。
『すっかり景色が変わってしまった。』
とはChojiさんのことばです。
『復興には何年もかかる。』とも。
けがをされた方がいなかったのは、せめてもの幸いでした。
先が見えない日々が続きます。
その中に、土地の人間ではない立場で身を置く辛さ、厳しさと向き合って。
いつか”表現”でしか、本当の自分の担い処はないのだとわかりながらも、簡単ではないでしょう。
『はまどま』では、町内会の仲間が一緒に、イベントの野菜市を出店してくれました。
また、年末の光のプロムナードの屋台に出すメニューの試作に『はまどま』を使ってくれます。
そして、町内会の盆踊りでご一緒した師匠から、せっかく覚えたのだから、忘れないように”新春盆踊り”をやりましょう!というお話が出たところです。
他にも、少しずつ、少しずつ、地域の皆さんに役立つ『はまどま』へ。
ときに、勇み足、空回りも乗り越えながら。
出会いと、つながりを大切にと思う、夏が遠のいて行きました。
2013年10月1日
(おもろ童子)